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自由行動下脊髄損傷サルの麻痺肢の随意運動制御を実現する携帯型人工皮質脊髄路の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23K19946
研究種目

研究活動スタート支援

配分区分基金
審査区分 0909:スポーツ科学、体育、健康科学およびその関連分野
研究機関公益財団法人東京都医学総合研究所

研究代表者

尾原 圭  公益財団法人東京都医学総合研究所, 脳・神経科学研究分野, 研究員 (00981292)

研究期間 (年度) 2023-08-31 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
キーワード脊髄損傷 / 運動機能再建 / 一次運動野 / ブレインコンピューターインターフェイス / 脊髄刺激
研究開始時の研究の概要

我々は普段拘束されず自由に移動でき、自分の意思で自分の身体を動かしている。この四肢を随意的に制御する能力は中枢神経損傷により脊髄下行路が切断されることで失われ、運動麻痺を引き起こす。研究代表者はこれまで大脳皮質と脊髄を人工的に再結合する「人工皮質脊髄路」を開発してきた。この研究は、大きく重い装置につながれ拘束された環境で行われてきた。しかし我々は普段拘束されていない状況で動いており、その環境で人工皮質脊髄路が麻痺した上肢の運動機能を取り戻せることを示す必要がある。よって本研究では脊損サルに小さく頭部に固定できる携帯型人工皮質脊髄路を適用することで、失われた上肢運動機能を再建できるか検討する。

研究実績の概要

本研究にて使用する携帯型人工皮質脊髄路装置(共同研究を行っている韓国電子通信研究院の研究グループが開発)の挙動を検証した。本システムは、信号(神経細胞活動・筋活動)の検出および電気刺激信号出力の可能な小型コンピューターチップと、その挙動を無線通信によってモニタリングおよび制御可能なPCソフトウェアによって構成される。コンピューターチップはサル頭蓋骨上に設置することのできる大きさ(10mm×17mm×35mm、9g)となるように製作した。チップが入力信号(神経細胞活動または筋活動)を検出したタイミングで任意に設定した強度の電気刺激用信号を生成し、最小10ミリ秒の遅延時間で出力できることを確認した。チップへの入力信号を無線通信によってPCに送り、ソフトウェア上でリアルタイム描画およびデータ記録できることを確認した。この機能によって、人工皮質脊髄路の動作状況のモニタリングおよびオフラインでの詳細な解析が可能である。また、最大4台のチップを同時に制御し、データを同期させ記録できることを確認した。これによって、神経細胞活動・筋活動・課題進行状況を同期させ、課題依存的な神経活動・筋活動変化をオフライン解析することができる。外部装置に物理的に繋がる必要なく、行動の自由度の高い状態において人工皮質脊髄路を適用できるシステムを開発することができた。
また、本研究にて使用するボタン押し・レバー引き課題装置を作製した。本装置はボタン・レバーと、その挙動を制御する制御部で構成される。制御部でボタン押し・レバー引きを継続する時間や制限時間(0-100秒)を設定することができる。課題成功時には報酬としてチョコレートを与える。本装置を用いて、2頭のサルが自由行動下でのボタン押し・レバー引き課題を学習済みである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究の1年目において、当初計画していた通りに、携帯型人工皮質脊髄路の作製を行った。携帯型人工皮質脊髄路装置による大脳皮質ニューロンの神経活動記録、上肢筋の筋活動記録、ボタン押し・レバー引き課題のイベント信号記録が可能であることを確認した。また、その信号を電気刺激信号に変換し、電気刺激が可能であることも確認できた。ボタン押し・レバー引き課題装置を作製し、サルにその課題を学習させた。サルは、ボタン押しのタイミングとレバー引きのタイミングを示す信号を判別し、一連の課題動作を円滑に行うことができた。

今後の研究の推進方策

今後は上部頚髄の右側索を損傷させた2頭のサルを用いて、自由行動下の脊髄損傷サルに対する人工皮質脊髄路の有効性を立証する。具体的には、(1)自由行動下脊損サルの麻痺肢のレバー把持・引き上げ運動を携帯可能な人工皮質脊髄路で実現できるのかを検証する。また、(2)脊損前の特徴によって人工皮質脊髄路に対する接続ニューロンの活動パターンは変化するのかを明らかにする。これらの目的を達成するために、2頭のサルに対して左一次運動野前腕領域に96chマルチチャンネル剣山電極を、右脊髄膨大部の後根神経束上に電気刺激用電極を埋め込む。人工皮質脊髄路は任意に接続ニューロンを選択し、その発火頻度の変調に依存して脊髄への電気刺激の周波数を変調するように設計する。あらかじめ脊髄損傷前にサルにボタン押し・レバー引き課題を行わせ、大脳皮質の神経細胞の発火頻度を記録し、運動関連・非運動関連ニューロンを識別する。脊髄損傷後に人工皮質脊髄路の無しの状態でボタン押し・レバー引き課題を行わせて課題成功率と筋活動からどの程度の上肢運動機能が残存しているのかを明らかにする。その後人工皮質脊髄路を適用し、課題成功率と筋活動を人工路なしと比較して麻痺した上肢の運動機能をどの程度再建できたか、また脊髄損傷前に記録した神経細胞を記録チャンネルと波形から同定し、人工皮質脊髄路によって順番に運動関連・非運動関連ニューロンの活動を脊髄刺激に変換し、人工皮質脊髄路に対して活動を変化させることができるかを明らかにする。これらの実験・解析により、自由行動下の脊髄損傷サルの麻痺した上肢随意運動機能を人工皮質脊髄路によって再建できるのかを検証する。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2023-09-11   更新日: 2024-12-25  

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