研究課題/領域番号 |
23K19953
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
1001:情報科学、情報工学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高橋 翔大 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 助教 (20981773)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 非凸最適化 / 一次法 / 複素最適化 / 画像処理 / 電波干渉計 / ブレグマン距離 |
研究開始時の研究の概要 |
非凸・非平滑複素最適化問題は目的関数と制約に凸性と連続的微分可能性を課さない複素変数の最適化問題である.本研究では,非凸・非平滑複素最適化問題に対して,ブレグマン距離に基づく一次法と凸最適化手法を組み合わせた汎用的・効率的な交互最適化手法を開発する.提案手法の応用先として,天文学における電波干渉計の画像化と自己校正への実用化を行う.また,複素非凸最適化理論を新たに構築し,提案手法の理論的な保証を確立する.
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研究実績の概要 |
主に以下の3つの研究を行った. [1] 非凸・非平滑複素最適化問題に対する交互最適化手法を開発した.また,天文学における電波干渉計の画像化と自己校正へ手法を適用した. [2] 非凸複素最適化における劣微分を考案した.また,その性質,具体例を研究した. [3] 非凸・非平滑最適化問題に対して,ブレグマン距離を用いた汎用的・実用的な手法に関して研究を行った. まず,[1] に関しては,ブレグマン近接DCアルゴリズムと凸最適化手法を組み合わせた手法を開発した.さらに,電波干渉計で得られるデータに手法を適用した.適用するために,適切なブレグマン距離を考案し,実際に,一反復の計算が簡単に行えることを確認した.数値実験では電波干渉計におけるゲインを推定することで,天体画像の復元に成功した.[2] では,[1] で開発した手法に対して,理論解析を行うために必要な劣微分を研究した.非凸な実数値複素変数関数に対して,従来の劣微分を自然に拡張することができた.その性質や具体例に関しても研究を行った.[3] については,ブレグマン距離を用いた汎用的な手法を新たに開発した.従来のブレグマン距離を用いた手法は子問題が必ずしも初等関数や加減乗除で表すことができない.そこで,一反復における計算を効率化するために,ブレグマン距離を近似することで,子問題の計算を簡単にした.実際に,従来手法では適用できない問題に対して,開発した手法を適用した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
非凸・非平滑複素最適化問題に対する交互最適化手法を開発し,電波干渉計のデータに適用したものの,数値実験結果に関しては改善の余地が大きい.また,論文としての精緻化にやや遅れが生じている.一方で,当初予定していた方向とは違う汎用的手法に関して,論文を投稿することができた.ブレグマン距離を用いた手法が近年,活発に研究される中,子問題が閉形式で計算できるようにブレグマン距離を与えるため,従来手法は適用範囲が限定的である.今回,開発した手法は汎用的で適用し易いという点で,大きな進歩といえる.よって,おおむね順調に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
電波干渉計のデータでの数値実験結果に関して,改善,考察を行う.具体的には,ハイパーパラメータの調整,復元した画像の妥当性についても考察を行う.また,これらの結果を精緻化し論文投稿を目指す.ブレグマン距離を用いた汎用的手法に関しては,加速を行い,より実用的な手法として改善することや信号処理における問題に適用することを行う.
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