研究課題/領域番号 |
23K19976
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
1001:情報科学、情報工学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
白木 隆太 京都大学, 情報学研究科, 助教 (20969216)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | フォトニックネットワーク / 波長分割多重 / 光パス割当問題 / 光ファイバ通信網 / 数理最適化 |
研究開始時の研究の概要 |
光ファイバ通信網は,医療,教育,農業,娯楽など多くの産業を支える基盤技術である.DX推進に伴い通信需要は指数関数的に増加している.この問題に対応するために,光ファイバ通信網が扱える通信量の増大,すなわち大容量化が急務となっている.光ファイバ通信網では,機器の制約により利用可能な波長帯域が制限されているため,大容量化にはこの限られた帯域を有効利用することが求められる.本研究課題では,光ファイバの利用効率を向上する通信網制御技術の創出を目的とする.全ての光信号の伝送経路・使用波長を制御することで,利用効率向上に伴う種々の信号劣化の発生を回避するという申請者独自の着想により大容量化を実現する.
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研究実績の概要 |
光ファイバ通信技術は,現代の情報通信社会の礎である.スマートフォン等の無線端末であっても,基地局間の通信には光ファイバが用いられている.通信需要の増大に対応するために,この光ファイバ通信網の大容量化が喫緊の課題となっている.本研究課題では,数理最適化により波長分割多重システムの最大利用効率を実現する方法論獲得を目標とする. 2023年度は,小課題(1) 数理最適化のための定式化に取り組み,波長分割多重の高密度化による「容量」と「信号品質」のトレードオフを考慮したネットワーク制御法を実現した.波長分割多重の高密度化により,信号の経路制御の際の非理想的なフィルタ特性に由来するスペクトル狭窄という信号劣化を引き起こす.この信号劣化によって信号の伝送可能距離が著しく制限されるため,スペクトル狭窄を考慮しない既存のネットワーク制御方式による波長分割多重の高密度化は困難である.提案方式では,スペクトル狭窄を考慮した光パス設定モデルを提案する.スペクトル狭窄の発生が,方路制御装置の隣接波長信号の入出力ポートの関係性に依存することに着目し,整数線形計画法として定式化を行った.スペクトル狭窄の発生回数が許容回数以下となるように条件を加え,トラフィックを収容するための必要波長数最小化を目的関数とした.定式化したモデルを解くことでトポロジの形状にかかわらず信号劣化の制御が可能となる.さらに,整数線形計画法が適用困難な大規模通信ネットワークに向けて,発見的手法を開発した.本研究成果を電子情報通信学会フォトニックネットワーク研究会にて発表した.また,同研究会にて,本課題に関連する光ネットワーク制御技術に関して招待講演を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は,研究計画通り小課題(1) 数理最適化のための定式化を実現し,国内学会にて発表した.また,こちらの研究内容を発展させ,学術雑誌論文の投稿に向けて研究活動を進めている.小課題(2) 計算コストの低減に向けた,線形計画問題の新しい定式化手法についても検討を進めている.以上から,本研究課題の進捗状況はおおむね順調といえる.
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は,2023年度において検討した内容をさらに発展させ,学術雑誌論文IEEE/OSA Journal of Optical Communications and Networking に投稿する予定である.本論文では,現在運用されている静的な光ネットワーク運用に加えて,通信需要が生じているときのみ通信を確立する次世代の動的な光ネットワーク運用にも適した手法を考案する.ネットワークが複雑化することで計算コストが増大する問題を考慮して,計算コストを削減する新しいネットワーク制御方式についても検討する.
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