研究課題/領域番号 |
23K19978
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
1001:情報科学、情報工学およびその関連分野
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
白木 詩乃 東京都立大学, システムデザイン研究科, 助教 (90980243)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 無線センサネットワーク / 位置推定 / 相関 / 近接関係 / 焦電型赤外線センサ / 測位 / IoT / 空間相関 |
研究開始時の研究の概要 |
デジタルツインによる実世界の再現精度を高めるために,産業用ロボット,車両,人等の位置を高精度に推定する技術が必要である.本研究では,空間的類似度の高いデバイスの観測データは暗に位置情報を含んでいることに基づき,(A)空間的類似度に基づくデータドリブン位置推定手法の確立,および(B)実環境における位置推定実験を通した提案手法の実現可能性の検証を行う.
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研究実績の概要 |
本年度は,物体検出型センサの応答データの相関を利用した近接関係に基づく位置推定手法について,シミュレーションによる詳細な性能評価を行った.多くの車両が通過する交差点を模した監視領域を想定し,設置されたセンサが車両を検出した場合1,それ以外の場合に0の応答を返すバイナリセンサを対象とした.これらのセンサ応答データをある程度の期間に渡って収集し,収集した応答データからセンサ間の相関係数を計算する.次に,計算した相関係数から,「近い/遠い」で表すセンサ間の近接関係を決定する.これらのセンサ間の近接関係に基づき,相対的な位置マップを推定し,その後,相対位置マップを絶対位置マップに変換することで位置を推定する.シミュレーション実験を通して,センサの検知半径および近接関係を判定するための閾値が位置推定精度に対して影響することが確認できた.
加えて,シミュレーション実験だけではなく実環境における実機実験を実施した.焦電型赤外線センサとシングルボードコンピュータであるRaspberry Piを組み合わせたセンサデバイスを29台作成し,人の動きを検出する機能を持たせた.8m × 8mの監視領域の床にセンサデバイスを格子状に配置し,3名または5名の歩行者が監視領域内を歩行することによってセンサ応答データを収集した.収集したセンサ応答データからそれらセンサの位置を推定したところ,位置推定誤差は1mから3.5mとなり,この実験結果を分析することで実環境における課題が明らかとなった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,データドリブン位置推定手法について,物体検出型センサの応答データに基づく既存手法を拡張したセンサ位置推定手法の確立,および,シミュレーションによる性能評価が終了した.加えて,物体検出型センサとシングルボードコンピュータであるRaspberry Piを組み合わせたセンサデバイスを作成し,これら実機を用いた実環境の位置推定実験に着手でき位置推定を行うことができた.研究計画に示した研究の順番は前後しているが,おおむね順調に進展していると考える.
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今後の研究の推進方策 |
本年度までは,物体検出型センサの応答データに着目した研究を進めてきた.今後は,データドリブン位置推定手法の確立のために,物体検出型以外の複数の種類のセンサデータに拡張する.実機デバイスを用いた位置推定実験を視野に入れ,人の歩行の振動を計測可能な振動センサ(加速度センサ)や,音センサ等の環境情報を収集するセンサを用いることを検討している.これらのセンサデータはシミュレーションで生成することが困難であることから,実機デバイスによる計測実験に基づくセンサデータの生成が必要である. 物体検出型センサ以外のセンサデータが得られた後,これらの複数の種類のセンサデータ間の類似度を求める手法を構築する.その後,本年度で研究した位置推定手法が適用可能であるか確認し,必要に応じて位置推定手法を拡張していく.
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