研究課題/領域番号 |
23K19992
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
1002:人間情報学、応用情報学およびその関連分野
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
亀岡 嵩幸 筑波大学, システム情報系, 研究員 (50984192)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 触覚 / HMD / 負圧刺激 / 吸引圧刺激 / 空気圧触覚 |
研究開始時の研究の概要 |
我々はヘッドマウントディスプレイ(HMD)を用いたバーチャルリアリティ(VR)体験において、VR環境(視覚)で手指と物体の接触時に物理世界で手指でなく顔面に刺激をすることで触覚を提示する技術を開発してきた。本研究課題では視覚(指先)と触覚(顔面)の空間的不整合がVR体験の質に及ぼす影響を検証する触覚刺激装置の開発を目的とする。これを実現するために、指先と顔面で同様の感覚強度の刺激を提示するための刺激強度を調整する機構の開発・検証を行う。
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研究実績の概要 |
本研究課題はヘッドマウントディスプレイ(HMD)を用いたバーチャルリアリティ(VR)体験において、視覚(指先)と触覚(顔面)の空間的不整合がVR体験の質に及ぼす影響を検証する触覚刺激装置の開発を目的としている。これまでに開発した空気吸引による皮膚吸引圧刺激提示をさらに改良し、HMDに内蔵可能な機構を目指す。従来の気圧制御機構では1箇所の気圧制御に対し最低で2つの電磁弁が必要であり、HMDへの内蔵を行うにあたり装置の小型軽量化を困難としていた。そこで2023年度では複数個所の気圧制御を流路の切り替えと気圧制御を担う電磁弁を共通化させることで必要な電磁弁の数を減らすことに成功した。また負圧刺激を提示するために吸引部と皮膚の密閉性を確保する必要があり、HMDのようなユーザーが自由に動くことを想定した機器においては特に検討が必要である。そこで光造形3Dプリンタを用いた柔軟な素材によるクッション性を持つ吸引部機構を設計し、安定して負圧刺激を提示できるよう改善を行った。 現在はこれらの機構を小型化し、HMDへの内蔵に取り組んでいる。また空気吸引流路の改良と並行し、気圧制御機構の抜本的な改善を図るため電磁弁を用いた従来の手法と異なりピストンを用いた吸引や流路の断面積を動的に変更する機構の開発に着手している。次年度ではこれらの改善にさらに取り組み、ウェアラブル性や装着性の観点から評価を行いその結果を学会等にて報告する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の取り組みとして予定していた最小限の吸引ポンプおよび電磁弁による吸引気圧制御機構の開発は達成された。また使用する吸引ポンプ、電磁弁の再選定を行い、システムの改良を行った。しかしながら当初予定されていた小型マイクロブロアを用いた負圧の提示は十分な負圧を確保できない点から断念されており、劇的な小型軽量化には至っていない。他方HMDに装着する吸引部の形状改良に取り組んでおり光造形3Dプリンタを用いた自由度の高い設計により皮膚への密閉を改善する柔軟構造を取り入れた設計を行っている。このように当初予定されていた計画とは異なるが、先んじてHMDへの内蔵を見据えた吸引システム構築に取り組んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
前年度開発した吸引気圧制御機構をウェアラブルデバイスとして身体に搭載できるようアクチュエーターの配置の改善と無線化の実装を行う。現在の機構では1つの吸引ポンプにて7箇所の吸引を制御可能としているが、装置小型化の観点から5箇所の制御にとどめバーチャルリアリティ環境の指先インタラクションにおける各指の触覚イベントに対応させる。また従来の研究では片手のみの基礎的な検討のみを行っていたため、装置を複製し、両手への対応や手以外の身体へ応用することであらゆる部位への触覚提示に気軽に応用可能とすることを目指す。加えて異なる身体部位における適切な吸引部形状の検討と代替的触覚提示の有用性の評価を行い、学術誌や国際会議にて報告する。
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