研究課題/領域番号 |
23K20004
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
1002:人間情報学、応用情報学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
中村 晃大 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 助教 (70967778)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | スパイキングニューラルネットワーク / 脳波 / 運動制御 / 間欠制御 / データ同化 / スパイクタイミング依存的可塑性 / ベータリバウンド |
研究開始時の研究の概要 |
脳波は皮質神経回路網の電気活動を頭皮上電位変化として捉える生体信号である.マクロ・メゾスコピックな脳波の時空間動態からどこまで脳内情報処理に迫れるだろうか.本研究は,スパイキングニューラルネットワーク(SNN)を制御器として,ヒト立位姿勢倒立振子モデルを安定化する運動学習モデルを構築し,SNNの出力から再構成された擬似脳波がヒト姿勢制御関連脳波の特徴を再現するという拘束条件を満たしつつ,振子の姿勢を安定化する学習戦略(強化学習の報酬関数等)を構成論・計算論的に明らかにする.獲得制御器の間欠制御特性を検証すると共に,脳波に符号化された立位姿勢制御に関わる情報処理の脳内メカニズムの解明を目指す.
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研究実績の概要 |
本研究課題の目的はスパイキングニューラルネットワーク(SNN)を制御器として,ヒト立位姿勢倒立振子モデルを安定化する運動学習モデルを構築し,SNNの出力から再構成された擬似脳波が申請者が同定した姿勢制御関連脳波の特徴を再現するという拘束条件を満たしつつ,振子の姿勢を安定化する学習戦略(強化学習の報酬関数等)を構成論・計算論的に明らかにすることである.そのために,ヒト立位姿勢間欠制御のSNNによる獲得(課題1)とニューロンの活動の線形和として計測脳波を再構成した際に運動時のベータ帯域振幅の減少と停止時の増加をよく説明できるのが間欠制御を獲得したSNNであることを示す(課題2)ことを目指している.間欠制御は足関節の能動的制御トルクを間欠的にオンからオフへと切り替える制御で,ヒト姿勢動揺の計測データをうまく説明できる制御である. 1年目の2023年度は課題1に対応する倒立振子を制御するSNNの学習を行い,ヒトで計測した姿勢動揺データと類似の特徴を生成するSNN制御器が獲得される条件を調べた.学習則として報酬に比例したスパイクタイミング依存的可塑性(R-STDP)を用いた.報酬は直立姿勢からの近さを反映する位置エラーの項と,制御に使用したエネルギーを反映する項の和とした.上記の下で間欠制御が獲得されるパラメータの探索を行った結果,制御時間遅れの長さに依存して獲得制御様式が持続的制御から間欠的制御へと遷移することを明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題はヒト立位姿勢間欠制御のSNNによる獲得(課題1)とニューロンの活動の線形和として計測脳波を再構成した際に運動時のベータ帯域振幅の減少と停止時の増加をよく説明できるのが間欠制御を獲得したSNNであることを示す(課題2)ことを目指している. 1年目の2023年度は課題1に対応する倒立振子を制御するSNNの学習を行い,ヒトで計測した姿勢動揺データと類似の特徴を生成するSNN制御器が獲得される条件を調べた.学習則として報酬に比例したスパイクタイミング依存的可塑性(R-STDP)を用いた.結果として制御時間遅れの長さに依存して獲得制御様式が持続的制御から間欠的制御へと遷移することを明らかにした. このようにヒト立位姿勢間欠制御のSNNによる獲得については順調に進めることができた. 現在は課題2の倒立振子を制御しつつヒト運動中にロバストに現れるベータ帯域の脱同期・同期の活動を再現するSNNの構築を行っている.
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題はヒト立位姿勢間欠制御のSNNによる獲得(課題1)とニューロンの活動の線形和として計測脳波を再構成した際に運動時のベータ帯域振幅の減少と停止時の増加をよく説明できるのが間欠制御を獲得したSNNであることを示す(課題2)ことを目指している. 1年目の2023年度は課題1に対応する倒立振子を制御するSNNの学習を行い,ヒトで計測した姿勢動揺データと類似の特徴を生成するSNN制御器が獲得される条件について明らかにした. 今後は課題2の倒立振子を制御しつつヒト運動中にロバストに現れるベータ帯域の脱同期・同期の活動を再現するSNNの構築を行う.そのために,脳波ベータリズムの生成源の一つと考えられている皮質-基底核回路を模したネットワークを構築し,倒立振子制御課題を学習させることを目指す.
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