• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

高速処理を目指した微細藻類-硝化菌共存系カプセルによる低コスト廃水処理技術の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23K20026
研究種目

研究活動スタート支援

配分区分基金
審査区分 1101:環境解析評価、環境保全対策およびその関連分野
研究機関創価大学

研究代表者

西 健斗  創価大学, 理工学部, 助教 (80980771)

研究期間 (年度) 2023-08-31 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
キーワード窒素除去 / 微細藻類 / 硝化菌 / カプセル / 硝化反応 / 微生物固定化 / 省エネルギー / グラニュール
研究開始時の研究の概要

曝気不要な微細藻類-硝化菌共存系を用いた窒素除去法は、光合成による酸素供給のため低コストな処理法として注目されている。さらなるプロセス高速化に向けて、グラニュール(粒状)汚泥を用いた処理法が期待されているものの、自己造粒に長い形成時間が必要かつ、大量生産が困難という課題がある。そこで、微生物固定化法であるカプセル法を用いることで、人為的にカプセル層および内部で微細藻類-硝化菌共存系を、短時間で容易に作製できる。本研究では、グラニュール汚泥を短時間で大量生産可能な「微細藻類-硝化菌共存系カプセル」に置き換えることで低コストかつ高速処理可能な窒素含有廃水処理法の実用化へのブレイクスルーを目指す。

研究実績の概要

省エネルギーな処理法である「微細藻類-硝化菌共存系」による窒素除去処理を高度化するために、微生物カプセル固定化技術を用いて硝化菌をカプセル内部に、微細藻類を外層膜に固定化した「微細藻類-硝化菌共存系カプセル」の開発を行った。本年度は、カプセルの調製法やカプセル膜厚の最適化およびその光照射回分実験を試みた。まず、カプセル材料には、アルギン酸を膜材料として利用し、カプセル調製法には滴下法を採用した。カプセル径は、アルギン酸の架橋時間を変化させることで粒径および膜厚を制御することが可能であるため、5-30分の架橋時間でカプセルを調製し、架橋時間と膜厚の関係を明らかにした。架橋時間15分のとき、すべてのカプセルが均一に球体となり、微細藻類と硝化菌の比率もおよそ2倍となることが確認された。したがって、実験設計の際に最も用いやすい15分を本実験条件における最適な架橋時間とした。これらの結果を踏まえて、上記条件で調製した微細藻類-硝化菌共存系カプセルの光照射回分実験を実施した。光照射装置には、LED白色光源を用いて、光強度200 μmol photons m-2 s-1で12時間/12時間の明暗周期を設けた。実験では、外層膜に固定化された微細藻類が酸素を生成し、内部の硝化菌が曝気なしで硝化反応を進めるか確認するために、pHを6.5-7.5の範囲で調整を行った。実験開始から7日後、カプセルによるアンモニア除去率は80.4%を達成した。実験期間中には、アンモニアの減少だけでなく、亜硝酸および硝酸の生成が確認されたため、本研究では、曝気なしの微細藻類による酸素供給のみで完全硝化を達成することができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

微細藻類-硝化菌共存系カプセルの開発のために、カプセル材料や調製法の検討およびカプセル膜厚の最適化を実施した。カプセル材料にはアルギン酸だけでなく様々な高分子材料を用いて調製を試みた。さらにカプセルの調製法として、単ノズルによる滴下法が最も再現性が高いことから採用した。カプセルの光照射回分実験の結果から、アルギン酸カプセルでは実験期間中にカプセル内部に気泡ができ、これにより1割程度のカプセルが浮遊してしまうことが明らかとなった。さらに、アンモニア除去速度が低かったため、カプセルの拡散抵抗が大きかったことが懸念される。今後は長期連続実験前までに、拡散抵抗の小さいカプセル材料や調製法の再検討を行う必要がある。したがって、当初の予定通り、本年度の目標である調製条件の検討は順調に進み、回分実験から得られた課題点を洗い出すことができたため、「おおむね順調に進展」であると結論付けた。

今後の研究の推進方策

本年度の実験を通して、「アンモニア除去速度の低さ」および「カプセル内における気泡の生成」の2点の課題が抽出された。今後は、アンモニア除去速度に影響しやすいゲルマトリックスによる拡散を最小限にするため、拡散抵抗の小さい固定化材料や濃度条件を探索する。また、回分実験中に生成されたカプセル内気泡がなに由来であるか特定することで、気泡生成の抑制やカプセル強度の改善を試みる予定である。また、カプセル調製において、一度に大量のカプセルを調製するには多くの手間が掛かってしまうため、大量調製可能な装置の設計・作製を同時に進める。これらの方策を進めた上で、光照射連続実験を実施する。光条件や用いる人工廃水は回分実験と同様とし、無曝気におけるアンモニア除去性能だけでなくカプセルの耐久性を評価する予定である。最終的には、提案する微細藻類-硝化菌共存系カプセルによる窒素除去プロセスの有用性について明らかにする。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (2件)

すべて 2024 2023

すべて 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] 窒素除去のための微細藻類-硝化菌共存系カプセルの調製2024

    • 著者名/発表者名
      西健斗, 松山達, 井田旬一
    • 学会等名
      第58回日本水環境学会年会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] To examine the influence of biomass ratio on ammonia removal by advanced microalgae-nitrifying bacteria consortia under semi-continuous experiment2023

    • 著者名/発表者名
      Kento Nishi, Shinichi Akizuki, Tatsuki Toda, Tatsushi Matsuyama, Junichi Ida
    • 学会等名
      9th IWA-ASPIRE Conference & Exhibition 2023
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会

URL: 

公開日: 2023-09-11   更新日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi