| 研究課題/領域番号 |
23K20035
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| 研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際先導研究)
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| 配分区分 | 基金 |
| 審査区分 |
理工系
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| 研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
河野 孝太郎 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (80321587)
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| 研究分担者 |
竹腰 達哉 北見工業大学, 工学部, 助教 (00714164)
森脇 可奈 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (60962321)
田村 陽一 名古屋大学, 理学研究科, 教授 (10608764)
池田 思朗 統計数理研究所, 数理・推論研究系, 教授 (30336101)
吉田 直紀 東京大学, カブリ数物連携宇宙研究機構, 特任教授 (90377961)
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| 研究期間 (年度) |
2023-11-17 – 2030-03-31
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| 研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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| 配分額 *注記 |
688,870千円 (直接経費: 529,900千円、間接経費: 158,970千円)
2029年度: 79,430千円 (直接経費: 61,100千円、間接経費: 18,330千円)
2028年度: 79,430千円 (直接経費: 61,100千円、間接経費: 18,330千円)
2027年度: 79,430千円 (直接経費: 61,100千円、間接経費: 18,330千円)
2026年度: 83,980千円 (直接経費: 64,600千円、間接経費: 19,380千円)
2025年度: 124,150千円 (直接経費: 95,500千円、間接経費: 28,650千円)
2024年度: 142,480千円 (直接経費: 109,600千円、間接経費: 32,880千円)
2023年度: 99,970千円 (直接経費: 76,900千円、間接経費: 23,070千円)
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| キーワード | 輝線強度マッピング / 集積超伝導分光 / 面分光装置 IFU / データ科学 / ミリ波サブミリ波 / CO, [CII]輝線銀河 / 銀河形成シミュレーション / 大規模サーベイ観測 / 疎性モデリング / 深層学習 / サブミリ波 / サブミリ波輝線強度マッピング / 宇宙における重元素生成集積史 / 集積超伝導分光器 / 大規模宇宙論シミュレーション / データ科学に基づく観測・解析手法 |
| 研究開始時の研究の概要 |
生命や惑星を構成する重元素が宇宙史の中でいかに形成・集積されたかという根源的な疑問に迫るため、炭素や酸素のイオンから放射されるスペクトル線に着目したサブミリ波帯での輝線強度マッピングを行う。超伝導ナノエレクトロニクス・大規模宇宙論シミュレーション・データ科学・観測天文学の緊密な連携により、既存計画と比して1桁以上の性能飛躍をもたらず次世代3次元分光撮像器TIFUUNを開発し、その性能を引き出す新たな観測およびデータ解析の戦略を策定する。ASTEでの輝線強度マッピング観測に加え、LMT-FINER等を用いた個別観測とあわせ、宇宙最初の20億年間における塵に隠された星形成史の全貌を明らかにする。
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| 研究実績の概要 |
研究2年次となる2024年度は、集積超伝導技術を駆使したミリ波サブミリ波帯超広帯域分光装置DESHIMA2.0をチリ・アタカマ高地で稼働するサブミリ波望遠鏡ASTEに搭載し、試験観測を実施した。2023年後半の試験観測における天体信号検出成功を受け、約半年間という長期間での観測をチリ・日本・オランダおよびスウェーデンから安定的に実施し、合計6,300回以上の観測実施と1,663時間にもおよぶ観測データの取得に成功した。性能評価については、ほとんどの観測周波数範囲において、測定された雑音レベルが概ね設計からの予想 (photon-noise model)で説明できることが分かった。また、解析に使うべきでない検出器の選別手法について、経験豊富な研究者が一つ一つ目視で測定された特性を判断するというプロセスを自動化するデータ科学的手法の開発にも着手した。この次のステップとして、DESHIMA2.0で使用した検出器数(約350個)から約一桁の飛躍、すなわち約3,000個の検出器を使った3次元分光撮像装置 (TIFUUN-2G) の設計開発を進めている。輝線強度マッピングの理論的な研究では、大規模な銀河形成シミュレーションに経験的な輝線モデルを組み込み、これを仮想的な分光撮像装置で観測しつつ、赤方偏移z~6付近での[CII]158um輝線のパワースペクトルを制限・検出するための手法、特に前景輝線銀河の除去の手法の検討を進めた。そこで鍵となる相互相関解析についての理論的な成果も出版している。またベイズ的な考え方を導入するための検討にも着手した。ALMA・JWST等を使った銀河の研究では、ALMA重力レンズ銀河団探査(ALCS)の成果をまとめた論文が出版されたほか、JWSTで約300時間を投入する大規模プログラム(VENUS)が新たに採択され、今後、大きな成果が期待される。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
集積超伝導分光技術を使ったDESHIMA2.0の大規模な試験観測に成功し、得られた膨大なデータ解析が進んでいる。この過程で、いくつかの課題も明らかになってきているが、これはDESHIMA2.0を空間方向に並べて3次元分光撮像装置TIFUUNへと発展させるための重要な知見であると捉えている。課題の一つは、測定された雑音特性と、設計からの予想(photon-noise model)との乖離が一部の周波数帯で見られることである。これは低い周波数側(約250GHzより低い周波数帯)のみで見られ、その影響は小さい(全帯域に対して2割程度)が、今後TIFUUNでは同様の低い周波数帯での観測も想定されるため、TIFUUNの観測周波数範囲の策定とあわせ、今後さらなる検討が必要である。また、高速で観測方向を切り替えるsky chopper機構を開発・導入して行った大気由来雑音の除去についても課題が明らかになってきた。3次元分光撮像を実現するTIFUUNにおいては、望遠鏡を空間的に高速で駆動しながら観測を行うことで、目的の天体信号に対して変調をかけ、大気由来雑音等との分離を行うことを検討しているが、この観点での観測手法・スキャン・パターンの検討なども今後必要である。CMB観測での手法の検討にも着手している。 若手育成の観点では、初年度に雇用を開始していた研究員/特任助教に加えて、2024年度中に、さらに4名の特任助教の雇用が開始され、超伝導工学・データ科学・理論天体物理学それぞれの分野で精力的な研究活動を展開している。のべ15名のポストドクター・大学院博士課程学生の海外派遣をはじめとして、輝線強度マッピングに関する国際会議・銀河のモデリングに関するワークショップの開催、また関連する国際会議等にあわせて海外のポスドク・大学院生また著名な研究者の招聘を行い、日本の若手との交流を進めている。
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| 今後の研究の推進方策 |
集積超伝導技術を活かした3次元分光撮像装置TIFUUN、特に合計検出器数として約3,000個を目指すTIFUUN-2Gの設計開発を加速していく。超伝導検出器KIDの製造については、実績豊富なデルフト工科大学のクリーンルームを使った開発に加え、新たな試みとして、東京大学武田先端知スーパークリーンルームを活用した製造を行うための検討・準備も進めている。日本の若手研究者や大学院生が超伝導デバイス開発でより多くの経験を積み、デルフト工科大学の研究者・大学院生との国際連携を、より発展させ、実りあるものにすることができると期待している。TIFUUN-2Gの次のステップとしては、合計約20,000個の検出器を使ったTIFUUN-3G実現のための技術開発も進めていく。特に鍵となるのはKIDの小型化であり、直径100mmφのウエハ上に約10,000個のKIDを集積することが目標となる。この実現のため、KIDの窒化ニオブチタン(NbTiN)の部分にpararell plate capaticy(PPC)構造を新たに導入する方針であり、そのために必要な、アモルファスSi誘電体膜の開発準備を進める。これらのハードウエアの開発に加え、TIFUUNにおける大気および検出器由来の雑音成分 (1/fノイズ) の除去の方策についても、輝線強度マッピングの理論的な検討・シミュレーションによる検討からの要求の整理、CMB観測での手法の検討など、総合的かつ具体化な検討を、今後加速していく必要がある。こうした状況を踏まえ、異なる分野の大学院生・若手・そして本研究に参画する研究者が、より相互に交流し、よりよい方策を見出していくような取り組みの強化も今後の課題である。また、若手海外派遣の観点では、現在までのところ、比較的短期の渡航が多いため、より長期的に、腰を据えて海外機関での研究に取り組むための支援も進める。
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