研究課題/領域番号 |
23K20036
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際先導研究)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
笠原 次郎 名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 教授 (60312435)
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研究分担者 |
松尾 亜紀子 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (70276418)
船木 一幸 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 教授 (50311171)
中田 大将 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 准教授 (90571969)
内海 政春 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 教授 (60727634)
羽生 宏人 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 教授 (60353421)
松岡 健 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (40710067)
川崎 央 静岡大学, 工学部, 准教授 (20802242)
江口 光 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 助教 (30904552)
伊東山 登 名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 助教 (50881215)
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研究期間 (年度) |
2023-11-17 – 2030-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
685,100千円 (直接経費: 527,000千円、間接経費: 158,100千円)
2029年度: 91,000千円 (直接経費: 70,000千円、間接経費: 21,000千円)
2028年度: 96,200千円 (直接経費: 74,000千円、間接経費: 22,200千円)
2027年度: 93,600千円 (直接経費: 72,000千円、間接経費: 21,600千円)
2026年度: 93,600千円 (直接経費: 72,000千円、間接経費: 21,600千円)
2025年度: 96,200千円 (直接経費: 74,000千円、間接経費: 22,200千円)
2024年度: 120,900千円 (直接経費: 93,000千円、間接経費: 27,900千円)
2023年度: 93,600千円 (直接経費: 72,000千円、間接経費: 21,600千円)
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キーワード | デトネーションエンジン / 推進工学 / 航空宇宙工学 / 観測ロケット / デトネーション |
研究開始時の研究の概要 |
デトネーション(極超音速)燃焼を用いた推進機構が航空宇宙工学分野に革新をもたらしている。本研究では、日本、米国、ドイツのデトネーションエンジン研究をリードする研究機関で強力な共同研究を実施し、多数の若手研究者の活発な3カ国交流を実施する。米国(Purdue大:先導的PGCガスタービン研究を実施)、欧州(ベルリン工科大:先導的PGC解析研究を実施)と国際共同で強く連携しながら、動的な回転デトネーションエンジン、液体推進剤回転デトネーションエンジン、システムインテグレーション、宇宙飛行実証の関連研究を実施する。
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研究実績の概要 |
(1) 2024年夏・秋打ち上げ観測ロケットS-520-34号機実験用液体推進剤デトネーションエンジンが完成させた。微粒化・気化過程を含む液体推進剤(エタノール-N2O )に対し,フライト条件でのデトネーション伝播に成功した。最大15秒の試験に成功し,理想的な推力を得た。 (2) 液体推進剤デトネーションエンジンのBBM作動特性実験を実施し、フライトとほぼ同じコンポーネントにて、燃焼作動させ、全システムとしての安定作動を確認した。 (3) 観測ロケットS-520-34号機用デトネーションエンジンシステム2(DES2)のPFMが完成した。2024年2月に室蘭工業大学白老試験場にてDES2-PFM単体燃焼試験を実施した。 (4) H3用リテンションスラスタ軌道上実証に向け水素ー酸素RDEで比推力436秒を達成した。 C*性能、振動計計測に関して詳細解析を実施した。 (5) ヘリカル壁の回転デトネーションエンジンにて,デトネーションの回転伝播方向の制御に成功(25回連続再現)した。単一の点火器で2つの回転デトネーションエンジンを5ms以内に同時点火に成功した。 2026年度以降に3回目のJAXA宇宙科学研究所の観測ロケット実験の採択が決定し、国際共同研究の枠組みを米国、欧州、アジアで再構築することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
世界初のエタノール-N2O液体推進剤デトネーションエンジンシステムのフライトモデル(観測ロケットS-520-34号機用)を完成させた点、水素酸素RDEで高Isp(438秒)を達成しH3リテンションスラスタへの適用検討が具体的に行えている点は、世界的に高い評価を得ており、計画以上である。 2026年度以降打ち上げ予定のJAXA宇宙科学研究所の3回目の観測ロケット実験に採択された。これは、当初予定よりも、格段に早いプログラム進捗である。JAXAと通じて、欧州のESA(ヨーロッパ宇宙機関)との協力関係構築にも着手できたので、この点も国際共同研究上、大きな成果であり、計画以上である。
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今後の研究の推進方策 |
若手研究者の雇用を一層拡大し、また、2024年度から研究設備として、極低温に対応させた、燃焼チャンバーを導入し、拠点として、より一層の充実をはかる。 (1) 動的(Dynamic)な回転デトネーションエンジンの物理解明(名大、Purdue大、ベルリン工科大:実験、慶應大:数値解析):今後も引き続き、「内部空力利用型」「浮遊回転型」「自己圧縮型」の動的(Dynamic)な回転デトネーションエンジンに関して、内部可視化、理論解析モデルの構築を行う。 (2) 液体推進剤のデトネーションエンジン性能の解明(名大、室蘭工大、ベルリン工科大:実験、慶應大:数値解析):高速度の圧力・温度計測手法、高速度カメラと透過系エンジンを駆使した可視化手法、デトネーションエンジンに特化した数値解析手法を適用し、微粒化実験等を通して、引き続き詳細解明を実施する。 (3) 観測ロケットS-520-34号機を用いた宇宙弾道飛行実証(名大、室蘭工大:実験、慶應大:数値解析、JAXA/ISAS:システム検討):2024年度の夏に観測ロケットS-520-34号機を用いた実験によって、デトネーションエンジンをキックモータ、イプシロンの上段Post Boost Stage (PBS)等として、用いることができることを宇宙実証を達成する。 (4) 地球周回軌道上でのフライト実証(名大,室蘭工大:実験,慶應大:数値解析,JAXA:システム検討):イプシロンの上段Post Boost Stage (PBS)及びH-3ロケットReaction Control System (RCS)、リテンションスラスタとして、軌道上実証する。さらに、3回目の観測ロケット実験が採択されたので、長秒作動・軽量の回転デトネーションエンジンを研究し、軌道上実証に貢献する。
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