消化器官は、様々な多細胞生物が普遍的に有する器官でありながら、その初期進化は謎に包まれている。本研究では、動物とは独立かつ比較的新しく消化器官を獲得した食虫植物を研究材料として、その進化過程を明らかにする。収斂的に何度も出現している食虫植物に着目することで、(1)消化器官が異なる進化段階にある種のゲノム情報を比較可能、(2)ホモログ器官を用いて消化器官の初期進化を再現した実験が可能、(3)消化器官成立に寄与した細胞・遺伝子を追跡可能、などの利点を活用できる。本研究では、分子進化学・ゲノム生物学・植物分子生物学を統合したアプローチによって、消化器官の初期進化に関与した遺伝的変化を明らかにする。
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