研究課題/領域番号 |
23K20078
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補助金の研究課題番号 |
20H01231 (2020-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2020-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
亀井 森 鹿児島大学, 法文教育学域教育学系, 准教授 (40509816)
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研究分担者 |
下原 美保 関西学院大学, 文学部, 教授 (20284862)
菊池 庸介 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (30515838)
天野 聡一 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (50596418)
川平 敏文 九州大学, 人文科学研究院, 教授 (60336972)
長福 香菜 和歌山大学, 教育学部, 准教授 (90634949)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
9,620千円 (直接経費: 7,400千円、間接経費: 2,220千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 日本文学 / 近世文学 / 阿蘇神社 / 台湾大学 / 長沢伴雄 / 写本 / 国文学 / 書誌学 / 絵巻 / 国学 / 近世絵画 |
研究開始時の研究の概要 |
「近世後期写本文化の横断的研究-未整理古典籍・台湾大学・絵巻模写の学術的調査-」 「人はなぜ書物を写すのか」。本研究は、近世期に作成された写本群の学術的な調査を行いながら、多面的・横断的な切り口で近世期の写本文化を解明していくものである。そこには近世期の出版では現れてこない人間の知への根源的な欲求を探る狙いがある。 本研究では膨大な写本群を、近世後期の「写本文化」という軸で貫き、研究対象を明確にした。そして、以下に示すように大きく3本の柱を立て、研究分担者とともに目的を達成する。これらの解明によって、近年、研究者の注目を集めている写本文化に新しい切り口を提供することができると考えている。
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研究実績の概要 |
本研究の3つの柱は1.九州地域における写本の学術的調査、2.国立台湾大学長沢文庫所蔵写本群の調査、3.近世後期絵巻模写における国学視座からの再検討であるが、1~3はすべて現地調査を基本としており、昨年度よりようやくコロナ禍前の状況となり調査も計画通りに行うことができた。 各テーマについて具体的に述べていきたい。まず1は今年度は昨年度の遅れを取り戻すために阿蘇神社へ3回のグループ調査を行うことができた(6月9月、2024年3月)。これによって調査全体の8割まで調査が終了した。目録化の作業についてもグーグルドライブを用いたクラウド上の目録作成の方法を用いて作業を進めている。 2の台湾大学調査については12月に現地調査を行った。これによって昨年度に発表した「国学者の絵巻模写-長沢伴雄稿『年中行事画巻略』を中心に-」(語文研究、130・131号、pp.280-293、九州大学国語国文学会編、2021年6月)の中で未確認であった台湾大学の資料を確認することができた。 3の絵巻模写については昨年度の予算で購入した長沢伴雄自筆の業務日誌(『西浜御殿御用留』)を用いて、論文を作成した(「徳川治宝の有職―長沢伴雄自筆『西浜御殿御用留』を中心に―」)。これを2024年2月締め切りの「雅俗」23号に投稿し、採用が決定している(2024年7月刊行)。紀州藩が江戸時代後期に進めた『春日権現験記絵巻』模写について、『西浜御殿御用留』を用いて模写を指示した徳川治宝の学問的志向について復古というキーワードで様々な現象を捉えることができるのではないかということを述べた。 またこれによってこれまで推測の部分が多かった空白時期について大きな進展を見込むことが可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究はすでに述べてきたように現地調査を主体としており、コロナ禍が収束した今年度は遅れを取り戻すために、調査を積極的に行った。その結果、阿蘇神社に3回、台湾大学へ1回の調査を行うことができた。これによって阿蘇神社他未整理古典籍調査は8割程度調査が終わり、最終年度での現地調査に見通しが立った状況である。 研究分担者の業績も着実に増えており、研究全体の推進力は失われておらず、最終年度に向けて各研究者がテーマを挑げて研究を進めていると考えている。研究全体としては十分にその成果をあげているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の手法は研究分担者が現地集合しての調査を基本として資料収集を計画している。 来年度は最終年度であるが、1年目2年目で行えなかった台湾大学の調査について、研究分担者3名とともに合同で調査を行うことで、大きな進展をもくろんでいる。各研究者が「写本」をテーマとして調査することによって、台湾大学所蔵の古典籍に新しい切り口が得られることになると期待している。調査は9月に予定している。 2024年度はグーグルドライブを用いたクラウド上の目録を作成して、これまでの阿蘇神社での現地調査で得られた写真を鹿児島・福岡・東京・和歌山に点在する研究分担者がタイムラグやファイル交換することなく同時的に作業を進める予定である。これによって作業効率を上げるとともにまずはデータ上で不備を確認することが可能となると考える。 研究分担者とは頻繁にメール等で連絡をとっており、コミュニケーションには問題はないと考えている。また昨年度の業績も各分担者ともに業績をあげており、研究グループとしても機能していると考えている。
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