研究課題/領域番号 |
23K20080
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補助金の研究課題番号 |
20H01233 (2020-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2020-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
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研究機関 | 二松學舍大學 |
研究代表者 |
山口 直孝 二松學舍大學, 文学部, 教授 (30297741)
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研究分担者 |
石橋 正孝 立教大学, 観光学部, 准教授 (70725811)
竹内 栄美子 明治大学, 文学部, 専任教授 (00236415)
福田 桃子 慶應義塾大学, 経済学部(日吉), 准教授 (10793234)
橋本 あゆみ 愛知淑徳大学, 文学部, 講師 (10962780)
竹峰 義和 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (20551609)
坂 堅太 就実大学, 人文科学部, 講師 (30755757)
木村 政樹 東海大学, 文学部, 講師 (90869679)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
11,310千円 (直接経費: 8,700千円、間接経費: 2,610千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2020年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 戦後文学芸術運動 / 知識人 / 大西巨人 / 神聖喜劇 / 新日本文学会 / 記録芸術の会 / 芸術運動 / 『近代文学』 / 対馬 / 中野重治 / 文学芸術運動 |
研究開始時の研究の概要 |
『神聖喜劇』で知られる作家大西巨人(1916~2014)の旧蔵資料(二松学舎大学寄託)の整理調査作業を行い、草稿、原稿、蔵書などのデジタルデータ化、データベース化を行う。新日本文学会を始めとする大西が関わった文学芸術運動体の活動を追い、アジア太平洋戦争後の日本において知識人が果たした役割を西欧の知識人と比較しながら考察する。成果は、「芸術運動と知識人」研究会などの活動を通じて発信する。
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研究実績の概要 |
大西巨人資料の整理調査を20日程度実施し、自筆資料および大西巨人宛書簡の仕分けやリスト化を進めた。『神聖喜劇』原稿約6600枚を系統、種類別に分類し、デジタルスキャン化した。特別企画展没後10年記念「作家・大西巨人」を開催し(二松学舎大学大学資料展示室、2024年2月21日~4月13日)、調査成果の一端を披露した。大西赤人氏(長男)、大西美智子氏(妻)に巨人について、聞き取りを行った。前年度に続き、神奈川近代文学館所蔵の中野重治および野間宏宛書簡の調査および翻刻を進めた。 2023年8月28日~31日、対馬でのフィールドワークを実施した。鶏知重砲兵聯隊跡ほか、『神聖喜劇』に登場する地を踏査した。また、関係者への聞き取りや資料収集を行った。成果報告として、「芸術運動と知識人」第4回研究会を2024年3月10日に開催し、木村、杉山、橋本、山口が報告し、対馬という場所が『神聖喜劇』において持つ意味や戦争遺跡の歴史的評価について考察した。 ほかに木村は、戦後の文学、思想の基盤となった戦前期の革命的知識人の動向を考察した。坂は、1950年代の大衆文化と社会との関係を整理し、60年安保運動を支えた生活保守主義の形成過程を考察した。竹内は、日本アジア・アフリカ作家会議の成立について、関係者へのインタビューを行い、また『アジア・アフリカ通信』総目次を作成した。竹峰は、マルクス主義知識人の批評理論が今日の芸術文化を考察する上でのアクチュアルな可能性と限界とを検証する作業を進めた。福田は、引用や記憶のテーマにおいて巨人と親和性の高いマルセル・プルーストについて考察し、またプルースト論の翻訳を行った。山口は、大西巨人についての論考を集成し、新稿を加えて『大西巨人論』を刊行した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大西巨人旧蔵資料の整理調査を当初計画した規模で実施し、『神聖喜劇』原稿の整理およびデジタルデータ化を終えることができた。対馬フィールドワークも予定通り実施し、『神聖喜劇』に登場する場所について、有用な研究資料を得、「芸術運動と知識人」研究会で成果を報告することができた。大西巨人宛中野重治、野間宏書簡の翻刻作業も順調に進行している。 研究分担者個々の研究も着実に進展している。木村は、平野謙を始めとする戦後批評についての調査を進めている。竹内は、アジア・アフリカ作家会議の『月報』総目次を作成し、同会が果たした役割を第三世界との連帯の観点から検討している。竹峰は、大西巨人とフランクフルト学派との比較研究を続けている。橋本は大西美智子氏への聞き取りと旧蔵資料調査とから巨人の知的交流を明らかにする作業に取り組んでいる。福田は、巨人の作品における映画への言及のリスト化を行っている。山口は、大西巨人作品の生成論的研究を継続中である。
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今後の研究の推進方策 |
大西巨人旧蔵資料の整理調査を引き続き行い、研究成果を「芸術運動と知識人」研究会で発信する。 大西巨人旧蔵資料のデジタルデータ化を進め、リストの公開を目指す。『神聖喜劇』関連資料および自筆資料のデジタルデータ化を優先して進めたい。旧蔵書についてもリストの公開を目指す。書簡のうち、中野重治書簡については、神奈川近代文学館所蔵の中野重治宛大西巨人書簡と合わせて翻刻し、往復書簡集として公刊することとしたい。関係者のインタビューのうち、大西赤人氏のもの、また浦和高校入学拒否問題の関係者のものを文字に起こし、注解を付して発表する。大西巨人の作品における映画についての言及リストを作成する。知識人言説に関しては、知識人と階級をめぐるフランクフルト学派の理論を大西巨人の知識人刊、階級認識との比較、戦後アヴァンギャルド作家たちが60年安保運動とどのように向き合ってきたかの解明、批評史研究の方法論の再検討などの課題にも取り組む。
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