研究課題/領域番号 |
23K20085
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補助金の研究課題番号 |
20H01241 (2020-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2020-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02020:中国文学関連
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
福満 正博 明治大学, 経営学部, 専任教授 (60165313)
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研究分担者 |
加藤 徹 明治大学, 法学部, 専任教授 (80253029)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
11,960千円 (直接経費: 9,200千円、間接経費: 2,760千円)
2024年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2020年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 中国演劇・芸能の成立と伝播 / 儺戯 / 包公案 / 関漢卿と観阿弥 / 明清楽 / 巫覡と演劇 / 中国演劇の成立 / 仁半塘 / 唐戯弄 / 散楽 / 京劇 / 安徽省貴池儺戯 / 京劇の上演と脚本改編 / 参軍戯 / 包公戯 / 歌舞戯 / 散樂 / 婆羅門 / 包公案劇 / 青陽腔 / 包公文学 / 女巫・男覡 / 王国維「宋元戯曲考」 / 周礼 / 妓女 / 儺戯劇本 / 京劇包公戯 / 琵琶記 / 冨春堂 |
研究開始時の研究の概要 |
福満:中国の演劇成立の歴史を調べると、観客を楽しませる側面と、宗教的側面という二つがあると思われる。意外ではあるが、その宗教的な側面が、中国の近世の白話文学の爆発的な広がりに貢献しているように思われる。本研究は、その点における具体的な展開を後付けたいと思っている。 加藤:福満の中国演劇成立史研究で明らかになった娯楽性と宗教性という2大ファクターが、中国芸能の日本伝来の原動力としても重要であることを、加藤が担当する近世・近現代の中国伝来芸能研究でも明らかにしつつある。
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研究実績の概要 |
福満:今年度もコロナの影響で、中国における現地調査をすることができなかった。中国でも現地調査の可能性は依然不透明である。しかし、2022年8月に共同研究者の加藤先生に同行し、沖縄での調査研究の一端を見せてもらい、非常に勉強になった。 今年も文献研究を中心に行った。中国演劇において、王国維の研究以来、巫覡に起源するつぃ適されながら、具体的に巫覡のどのような側面が、演劇の成立にかかわっているか十分には明らかにされていなかった。私としては、女性の巫と妓女との関係について一部書いたので、これとは別に巫覡の宗教性の方面についてより深く研究してみた。 古代の演劇史について、中国では、王国維・呉梅・趙景深・周貽白などの大家が知られているv。日本でも、狩野直喜・青木青児・吉川幸次郎などが知られている。古代の萌芽的な芸能についても、浜一衛の研究が知られている。しかし、私は仁半塘の『唐戯弄』の研究が群を抜いて優れていることを見つけた。任氏の研究は、特に日本ではまだ十分に理解されていないように思われる。そこで今年は、任氏に研究を基礎に古代中国演劇研究を行った。 加藤:今年度も、研究代表者である福満教授との共同での研究調査と、加藤個人の研究調査の両面を進めた。共同調査としては、2022年8月に福満先生と加藤の2人で沖縄に出張し、首里城など関連の史跡の巡検を行った。沖縄滞在中の8月21日に「APCN沖縄―アジア・太平洋文化交流ネットワークin沖縄(Asia Pacific Culture Network in Okinawa)」の主催で沖縄県浦添市産業振興センターで行われた研究会「知りたい!京劇 ――伝統劇でつながる中国と沖縄――」では加藤が沖縄の聴衆を相手に発表を行った。福満先生も同席され、現地の中国伝来芸能の研究者や実演者と交流と意見交換を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
福満:コロナの影響で、現地調査ができていない。文献調査を中心にせざるを得なかった。しかし、仁半塘の『唐戯弄』の研究を中心として、関連する中国古代の演劇の資料を多く発掘することができた。 加藤:コロナの影響で、加藤も出国を控え国外での現地調査ができなかった。そのぶん、オンラインによる国際学術会議「4th International Conference of Narrative Art」(第4回国際説唱芸術シンポジウム)に参加して中国語で「日中両国の寄席芸能の特徴と交流 ――相声 、 落語 、 漫才-」について発表を行い諸外国の研究者と意見交換を行ったり、日本国内の資料の調査に力を入れた。
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今後の研究の推進方策 |
福満:コロナの影響と、日中間の政治的な関係悪化により、今後どれだけ中国現地調査が実行できるかわからない。もし今後も現地調査が困難な情況が続く場合は、(1)取りあえず中国演劇に関する文献研究を中心に研究を進める、(2)日本国内における中国伝来芸能の上演記録や関連文献の研究を行う、などの方法をメインに研究を推進する予定である。幸い、中国演劇について文献麺から研究を進める余地は大いにある。例えば仁半塘の『唐戯弄』には、相当な量の資料が示されており、またその後に孫崇濤氏などが研究を続けている。これらの研究をまとめて、中国における散楽系統の演劇の歴史を調べてみる。またこれと並行して、儺戯関連の演劇の資料を独自に発掘して両者の関係について考察してみる。 加藤:さらに、日本国内における中国伝来芸能の上演や継承のついての研究も、可能性がある。平安時代以来の雅楽や仏教系音楽、近世の御座楽(琉球王国)や明清楽、近現代の京劇など日本に伝来した中国芸能の受容について、日本国内での現地調査と支流収集も引き続き推進する予定である。
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