研究課題/領域番号 |
23K20091
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補助金の研究課題番号 |
20H01258 (2020-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2020-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02060:言語学関連
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
風間 伸次郎 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (50243374)
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研究分担者 |
江畑 冬生 新潟大学, 人文社会科学系, 教授 (80709874)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
12,870千円 (直接経費: 9,900千円、間接経費: 2,970千円)
2024年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | アルタイ諸言語 / 言語類型論 / 言語接触 / 文法カテゴリー / 言語間の対照 / 比較言語学 / 対照研究 / コーパス / 辞書 / ツングース諸語 / チュルク諸語 / モンゴル諸語 |
研究開始時の研究の概要 |
音声付き「アルタイ諸言語文法対照用例文データベース」を作成する。そのデータに基づき研究会での議論を重ねることによって、各グループおよびさらに下位の諸言語間における異同を明らかにする。そこに観察・整理された異同は、言語接触や独自の改新によって似てきたり、異なってきたりした結果であり、本研究では、その丁寧な分析によって、これらの言語が歩んできた歴史も明らかにすることができると考えている。コロナ後にやや可能となってきた現地調査を行って、少数民族言語の一次資料の収集を再開し、そのデータの刊行を目指す。
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研究実績の概要 |
A. Vovin, J. A. Alonso de la Fuente and J. Janhunen 共編による The Tungusic Languages. がついに刊行され、風間執筆分のOrochi, Nanai, Ulchaの3言語の文法記述がやっと読まれるようになった。論文「「人」を指す名詞が1人称の人物を指す用法について」では日本語にみられる「人」名詞の1人称用法が他の言語にもみられるかを調査し、特に日本語と類型的に近いとされてきたモンゴル語と朝鮮語の当該現象をエリシテーションを通じて分析し、日本語のそれとの異同を明らかにした。論文「疑問詞疑問文における述語の名詞化 ―日本の近隣の言語を中心に―」ではいわゆる日本語の係り結びが脱焦点化であることを論じ、日本近隣の諸言語や日本語諸方言における類似の現象について脱焦点化の観点から分析し対照を行った。テキスト集である『ソロンの文化と生活 5』は研究協力者であるバイカル氏が現地調査で録音してきた音声資料を氏と協力して書き起こし、分析して日本語訳をつけ刊行したものである。さらに『モンゴルの動物・生き物の物語』をアルタイ言語文化論集3として刊行したが、これはモンゴル語原文の民話を母語話者の協力のもとに逐語訳したものである。さらに研究ノートとして、「モンゴル語文法研究ノート 4」を発表した。研究発表に関しては、日本言語学会のワークショップにて東外大語学研究所の特集データを活用した研究結果として「特集:言語類型論の諸問題に対する帰納的アプローチ―『語学研究所論集』特集データを活用して―」「アスペクトと動詞連続に関する類型論的考察」を発表し、これは『思言』19号に論文として刊行した。3月のCSELでは「サハ語におけるモンゴル・ツングース的要素」という題での発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍の余波により、現地調査やコンサルタントの招聘はできなかったが、その時間を生かし、これまで現地調査で録音・記録したが、その分析・整理が間に合っ ていなかった大量の資料のうちの一部の整理を進めていくことができた。 国内にもコンサルタントとなってくれる母語話者は一定以上存在し、文法調査票が確立しているため、これを用いて一定以上の重要なデータを集めることができた。これを整理するための時間もあった。むしろマンパワーは不足するぐらいであったが、科研費からの謝金によって大学院生の助けを受け、分析・整理を進めていくことができた。
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今後の研究の推進方策 |
『語学研究所論集』の10年間の特集で、文法体系全体の調査のための調査票が完成した。これは約300の文例からなる体系的なものである。すでにいくつかのアルタイ諸言語(ハルハ・モンゴル語、トルコ語、ナーナイ語、ソロン語、エウェン語、トルクメン語、タタール語、チュヴァシュ語、キルギス語、ウズベク語、ウイグル語、トゥバ語、サハ語、ハカス語、ダグール語など)についてそのデータを公開した。現在さらにいくつかの言語のデータを収集しグロス付けなどの整理を行っているところである。この成果の次年度中の刊行を目指している。他にいくつかの言語の現地調査で得た資料に基づくテキスト、比較語彙、辞書等の刊行を目指している。文法のトピックについての論文もいくつか執筆予定である。今年度夏には中国に現地調査に行く予定である。
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