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視覚・聴覚等に障害をもつ人の英語能力の測定法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23K20099
補助金の研究課題番号 20H01289 (2020-2023)
研究種目

基盤研究(B)

配分区分基金 (2024)
補助金 (2020-2023)
応募区分一般
審査区分 小区分02100:外国語教育関連
研究機関東京大学 (2022-2024)
日本社会事業大学 (2020-2021)

研究代表者

斉藤 くるみ  東京大学, 先端科学技術研究センター, 客員研究員 (30225700)

研究分担者 高山 亨太  日本社会事業大学, 付置研究所, 研究員 (00869919)
日置 淑美  日本社会事業大学, 付置研究所, 研究員 (00869977)
末森 明夫  日本社会事業大学, 付置研究所, 研究員 (20357255)
福島 智  東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (50285079)
日比野 清  日本社会事業大学, 付置研究所, 研究員 (50310222)
斉藤 みか  東京経済大学, 全学共通教育センター, 特任講師 (60851805)
槻舘 尚武  山梨英和大学, 人間文化学部, 准教授 (80512475)
大野 ロベルト  法政大学, 国際文化学部, 准教授 (80728915)
佐伯 敦也  日本社会事業大学, 付置研究所, 研究員 (90881673)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2024年度)
配分額 *注記
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2024年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2023年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2022年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2021年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2020年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
キーワード英語教育 / 検定試験 / 視覚障害 / 聴覚障害 / 英語検定 / 障害文化 / 能力測定 / 盲ろう / 英語能力検定 / 外国語検定試験 / スピーキング / ライティング / リスニング / リーディング / インターアクション / 視覚障碍
研究開始時の研究の概要

既存の民間の英語検定における能力の測定が視覚障害者・聴覚障害者にとって公正なのか、ハードの面、モーダリティの視点、そして試験のコンテンツ(題材)の視点で検証する。それを通して、言語の本質とモダリティの関係を考察し、言語能力を聴力・視力と切り離せない四技能という視点で測定するのではなく、生成と理解という言語学的・脳科学的機能の視点で測定することが、より公正であることを証明する。またコンテンツによる不公正を証明することで障害を文化と認める根拠のひとつとして提示する。それらの結果を実際の試験作成により証明する。同じ工程を対象を他の障害(盲ろう・吃音・ディスレクシア等)に広げていく。

研究実績の概要

これまで各種英語検定における障害者への配慮について調べ、コロナ禍にオンラインのみになった際の各種語学検定試験の状況も調べた。政府による共通試験への各種英語検定の導入提案、後に凍結、その後東京都の高校入試へのリスニング導入と、いくつかの動きがあり、その議論の検証も行った。特に視覚障害者・聴覚障害者と四技能との関係を再考する必要性が明らかになった。四技能という視点が語学能力の測定に必須のものと考えるのは、CEFRが手話も言語と認め、検定する言語に入れていることとも矛盾する。言語を読むという行動は視覚と必然的な関係はなく、言語を聞くという行動も聴覚と必然的な関係はないということが障害に注目することによって明らかになった。それを根拠とし、4技能ではなく「生成か理解か」「受動か能動か」という枠組みを作る可能性を提示した。
さらに、試験の内容についても、障害者の権利条約でいうところの文化的同一性の承認に基づき、見直すことが必要ではないかと考え、文化的(認知の違いが影響する)に不公正である問題がないか調べた。方法としては、最も最近のTOEICと英検に使われたPassageを、選別することなく(第一問から)100題ずつ、ETS(Educational Testing Service)のsensitive reviewおよびDIF(Differential Item or Task Functioning)を用いてチェックした。その結果、視覚障害者にとって不適切・不利益な問題が約20%、聴覚障害についても5~8%あった。障害者の文化的同一性については、育った国等で培われる文化を越えた認知的な異文化である視覚障害・聴覚障害をもつ受検者に不利益のない問題を作成することは可能かつ有効であると考え、試案も含め国際学会で発表し、国際ジャーナルにも掲載された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

申請時の学術的問い①既存の外国語能力測定法で、視覚障害、聴覚障害、吃音、ディスレクシア等の受検者の英語能力をどの程度正確に測ることが可能なのか。②既存の英語の検定試験の障害者の「配慮」の方法は、認知科学的な知見と英語教育の評価の理論に照らして、適切なのか。③マジョリティたる健常者のための測定方法以外に英語能力は測れないのか。視覚・聴覚等に縛られた4技能(あるいはinteractionを含め5技能)という切り口ではない測定の方法はないのか。視覚・聴覚、あるいは音声表出に縛られない本質的な言語能力を測定する方法はないのか。④認知科学等の新たな知見は言語能力の検定にどこまで応用可能か。⑤外国語の能力の視点でモダリティ(五感)とは何か。リタラシーとオラリティとは何か。⑥外国語の能力の測定において障害者の権利・言語文化モデルを実現することは可能か、の6点はほぼ解答が得られた。最終年度(2024年度)は⑥の実現を目指す。
ここまで、毎年研究分担者はそれぞれの分野と外国語教育や障害者の文化等の研究を結びつけて知見をもちより、それをさらに自らの研究課題に反映させてきた。研究代表者は上記の課題をステップ・バイ・ステップに解き、論文にし、それらは毎年国際ジャーナル等に掲載されてきた。2023年度はそれぞれの分野からの視点を、発表し合い、それをこう表した。分野横断的に考察することにより、最終年度の結論及び、さらなる研究課題への展望も開けてきた。2024年度には障害学(特に歴史)および文学の知見を活かして、文化言語モデルに基づく検定試験のカスタマイズを行い、試験作成のプロセスも含め、測定方法の改革を提案することができそうである。

今後の研究の推進方策

毎年研究分担者はそれぞれの分野と外国語教育や障害学との関連を研究してきた。最終年度以降は、これらをそれぞれの分野の研究にも活かして、その分野の発展に貢献する。また各種検定試験の配慮や問題の検証の際には今後も協力し合う。最終年度はそれらを分野横断的に結集して、英語検定試験の在り方を、作問のプロセス、問題の枠組み、出題のスタイル、コンテンツの選び方、そして試験の適切さと公正さの検証の方法、というふうに網羅的に構築し、新たなモデルを提示することを目指す。分担研究者の中で、障害当事者はその文化が現われた文献を収集し、英語のネイティブスピーカー(翻訳家でもある)は翻訳のみならず、慎重なスクリーニングを行う。また障害のある生徒の指導も行っている分担研究者は指導の中でも文化言語モデルを取り入れ、生徒の観察を行う。
最終的なモデル構築に至る過程で、被験者には障害のある生徒・学生のみならず、非障害者も使って、例えばろう文化や盲文化を重視したコンテンツと従来の検定試験の問題とで、同じレベルの文法・語彙の問題でも、2グループとも、結果に差が出ることを証明したい。すなわちろう文化や盲文化にカスタマイズした問題にすると、従来の問題と同じ語彙や文法を使った問題でも、ろうの受検者、盲の受検者は点数が高くなり、非障害者は点数が低くなると仮定して、それを証明する。元々ETSやDIFは黒人文化やアラブ系文化の受検者の不利益から発達してきたが、それと同様の文化的な影響が障害のある受検者にも見られることを証明することで、本研究の結論や提示するモデルが説得力をもつとともに、障害者が文化的に尊重されるべき存在であることを示すことができる。

報告書

(4件)
  • 2023 実績報告書
  • 2022 実績報告書
  • 2021 実績報告書
  • 2020 実績報告書
  • 研究成果

    (24件)

すべて 2024 2023 2022 2021 2020 その他

すべて 雑誌論文 (17件) (うち国際共著 2件、 査読あり 8件、 オープンアクセス 14件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件) 図書 (2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Cultural and Cognitive Factors in English Assessment Bias for Visual/Hearing Impaired Examinees2024

    • 著者名/発表者名
      Saito, Kurumi
    • 雑誌名

      International Journal of Science, Engineering and Management

      巻: 11-3 ページ: 43-49

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] ろう・難聴の生徒のための古典学習教材の検討2024

    • 著者名/発表者名
      斉藤みか
    • 雑誌名

      リベラルアーツ&マイノリティ―

      巻: 1 ページ: 36-51

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 日本に住む聾者・聴覚障害者の英語共同体にみる規則・規範の習得における translanguaging の援用2024

    • 著者名/発表者名
      末森明夫
    • 雑誌名

      リベラルアーツ&マイノリティ

      巻: 1 ページ: 78-79

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 英語教育の背景 ―研究者の交流と影響関係を中心にー2024

    • 著者名/発表者名
      大野ロベルト
    • 雑誌名

      リベラルアーツ&マイノリティ

      巻: 1 ページ: 71-72

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 米国のソーシャルワーク専門職資格試験におけるろう・難聴者に対する アクセシビリティーの現状と課題2024

    • 著者名/発表者名
      高山亨太
    • 雑誌名

      リベラルアーツ&マイノリティ

      巻: 1 ページ: 80-81

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 聴覚障害者の英語学習におけるつまずきと自己効力獲得の一事例2024

    • 著者名/発表者名
      槻舘尚武
    • 雑誌名

      リベラルアーツ&マイノリティ

      巻: 1 ページ: 82-83

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 英語圏における『土佐日記』受容史の概略(戦後編) : 国文学と日本研究2023

    • 著者名/発表者名
      大野ロベルト
    • 雑誌名

      異文化

      巻: 24 ページ: 71-88

    • DOI

      10.15002/00026263

    • ISSN
      27585824
    • 年月日
      2023-04-01
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 「『権利委員会』による初の対日審査と我が国のもろう者施策」2023

    • 著者名/発表者名
      福島智
    • 雑誌名

      『コミュニカ』

      巻: 66 ページ: 27-31

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [雑誌論文] 「支援を受けるという体験:言語化しづらい思い」2023

    • 著者名/発表者名
      福島智
    • 雑誌名

      『これからの障害心理学』(有斐閣)

      巻: 1 ページ: 127-128

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [雑誌論文] Reconsidering Language and Modality through Remote online Certificate Examinees with Visual/Hearing Disabilities during COVID-19 Crisis2022

    • 著者名/発表者名
      Saito, Kurumi
    • 雑誌名

      ARICON

      巻: 4-6, Nov. ページ: 3-19

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] 「戦時下の軍国主義教育における『竹取物語』の教材化とその影響」2022

    • 著者名/発表者名
      斉藤みか
    • 雑誌名

      『アジア文化研究』vol.48、2022年3月、pp.75-94

      巻: 48 ページ: 75-94

    • 関連する報告書
      2021 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 「視覚・聴覚障害者のオラリティとリテラシー」2021

    • 著者名/発表者名
      斉藤くるみ
    • 雑誌名

      日本社会事業大学研究紀要

      巻: 68 ページ: 193-209

    • 関連する報告書
      2021 実績報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 日本手話語彙にみる線条性:表語音節語につなげられた指文字にみる音声補字的用法に関する一考察2021

    • 著者名/発表者名
      末森明夫・斉藤くるみ
    • 雑誌名

      日本社会事業大学研究紀要

      巻: 68 ページ: 109-125

    • 関連する報告書
      2021 実績報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] "From the Tale of the Bamboo Cutter to Princess Kaguya: Metamorphoses of the Tale in Manga and Beyond"2021

    • 著者名/発表者名
      Saito, Mika
    • 雑誌名

      Japanese Language and Literature

      巻: 55 (1) 号: 1 ページ: 181-213

    • DOI

      10.5195/jll.2021.153

    • 関連する報告書
      2021 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 「『土佐日記』英訳ことはじめーフローラ・ベスト・ハリスの業績」2021

    • 著者名/発表者名
      大野ロベルト
    • 雑誌名

      日本研究

      巻: 62 ページ: 69-91

    • NAID

      120007001498

    • 関連する報告書
      2020 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 「〈なごり〉考-「土地の名」を中心に」2020

    • 著者名/発表者名
      大野ロベルト
    • 雑誌名

      人文科学研究(キリスト教と文化)

      巻: 52 ページ: 135-162

    • NAID

      120007031588

    • 関連する報告書
      2020 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 「検査性能に関わる諸概念」 .2020

    • 著者名/発表者名
      槻舘尚武
    • 雑誌名

      コミュニケーション障害学

      巻: 37号 ページ: 117-121

    • 関連する報告書
      2020 実績報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] Cultural and Cognitive Factors in English Assessment Bias for Visual/Hearing Impaired Examinees2024

    • 著者名/発表者名
      Saito, Kurumi
    • 学会等名
      International Conference on English Language Teaching (ICENLATE - 24)
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] Para-linguistic Eye Gaze as Setting Switch Marking2022

    • 著者名/発表者名
      SAITO, Kurumi
    • 学会等名
      3rd International conference on Sociolinguistics (Prague, Czech)
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] "The Three Trials of Flora Best Harris"2021

    • 著者名/発表者名
      Robert Ono
    • 学会等名
      16th International Conference of the European Association for Japanese Studies
    • 関連する報告書
      2021 実績報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] 国際教育と教養教育と手話研究~COILによる日米協働教育2020

    • 著者名/発表者名
      斉藤くるみ
    • 学会等名
      日本手話学会
    • 関連する報告書
      2020 実績報告書
    • 招待講演
  • [図書] 『Butoh入門 肉体を翻訳する』2021

    • 著者名/発表者名
      大野ロベルト・相原朋枝共編
    • 総ページ数
      352
    • 出版者
      文学通信
    • ISBN
      9784909658685
    • 関連する報告書
      2021 実績報告書
  • [図書] 東京堂出版2020

    • 著者名/発表者名
      斉藤みか
    • 総ページ数
      416
    • 出版者
      『竹取物語』から「かぐや姫」へ 物語の誕生と継承
    • ISBN
      4490210418
    • 関連する報告書
      2020 実績報告書
  • [備考] 科研基盤B(2020-)「視覚・聴覚等に障害をもつ人の英語能力の測定法の開発」

    • URL

      https://kurumi-zemi.amebaownd.com/posts/6105184

    • 関連する報告書
      2020 実績報告書

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公開日: 2020-04-28   更新日: 2024-12-25  

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