研究課題/領域番号 |
23K20106
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補助金の研究課題番号 |
20H01305 (2020-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2020-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03010:史学一般関連
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研究機関 | 大谷大学 |
研究代表者 |
井黒 忍 大谷大学, 文学部, 准教授 (20387971)
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研究分担者 |
和崎 聖日 中部大学, 人文学部, 准教授 (10648794)
小沼 孝博 東北学院大学, 文学部, 教授 (30509378)
塩谷 哲史 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (30570197)
小川 道大 東京大学, 東洋文化研究所, 准教授 (30712567)
西川 優花 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, その他部局等, 日本学術振興会特別研究員 (70898197)
熊倉 和歌子 慶應義塾大学, 経済学部(三田), 教授 (80613570)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2024年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2023年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2022年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2021年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2020年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
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キーワード | 水利権 / 灌漑 / 水文化 / 社会秩序 / モンスーン / 井戸 / 輪作 / 水利共同体 / 社会結合 / 水利社会 / 比較 / アフロ・ユーラシア / 農村 / 記録 / 信仰 / ミーラ―ブ / 水利慣行 / 遊牧民 / 帝国 / 資源分配 / 遊牧 / 水役人 / 水利碑刻 / ミーラーブ / 渠長 / 裁判記録 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、中国西北部、ウズベキスタン、イラン、インド、エジプトを対象地域に設定した上で、文字資料の読解を通して各地域の水利権の内容を明らかにし、メンバー共同でのフィールド調査の成果との融合を行う。さらに、共通項を設定して各地域の水利権に関する情報を類型化し、比較を通して地域間における異同を明らかにする。研究の成果として、各地域の水利権のあり方を形成と変容のプロセスを踏まえて叙述するとともに、これをモデル化し、他の研究分野との対話のためのプラットホームの構築を目指す。
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研究実績の概要 |
2023年度には、3回の研究会および2回の現地調査、1回の国際学会でのパネル報告を行った。研究会ではゲストスピーカーからの報告を聞き、専門的な知見を得るとともに、最終成果のとりまとめに向けて、その形式や内容などに関する議論を行った。 研究会の1回目は、大東文化大学名誉教授の原隆一氏よりイランの灌漑水利と地域社会の関係に関する報告を得た。灌漑方式や水管理のための組織、さらに対象の作物などに関する情報のみならず、日常生活での水利用や祭祀、信仰との関わりについても理解を深めることができた。2回目は、小川道大よりインドの水利と社会に関する報告を得た。気象や地理などの基本的な情報に加えて、井戸を用いた灌漑や輪作方法などデカン高原特有の状況について理解を深めることができ、現地調査への接続に有効に作用した。さらに3回目は当該年度に行った現地調査および学会報告のまとめを行い、その状況をメンバー間で共有するとともに、最終成果の公表方法について議論を行い、論文集の執筆とその刊行スケジュールについて意見をまとめた。 現地調査に関しては、インドデカン高原における水利・農業調査を実施し、階段井戸を灌漑に用いる方式を実見するとともに、雨季と乾季に大きく水環境が変化するモンスーン地域の水利と農業に関する多くの知見を得ることができた。また、トルコ・モンテネグロ・セルビアにおける現地調査を通して、比較の対象となる十分な成果を得ることができた。そのほか、これまでの本課題に関する研究成果をとりまとめ、東アジア環境史学会の第7回大会にてパネル報告を行った。パネルでは熊倉和歌子、小川道大、井黒忍が報告を行い、中央研究院台湾史研究所の顧雅文氏がコメンテーターをつとめた。本パネル報告を通して、地域間の比較を行い、水利権と社会の関係に関するモデルを構築することができ、最終的な成果とりまとめに向けて大きな一歩となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していたインドデカン高原での現地調査をメンバーと共同で実施することができたことに加え、東アジア環境史学会においてこれまでの研究成果をパネル報告の形で公表し、成果をとりまとめることができた。パネル報告を通して、他の地域を専門とする研究者との交流を行い、多くの貴重なコメントを得ることができた。さらに地域間の比較を行う中で、各地域における顕著な特徴を見つけてそれを比べ合わせるのではなく、それぞれの地域における弱い特徴がどこに存在するのかを見極めるために比較を行い、なぜその特徴が弱く現れるのかという背景を地域社会との関係から明らかにするという方法を着想できたことは、極めて大きな前進であった。あわせて、今回の研究期間中には現地調査を予定していなかったイランの状況について、豊富な研究の蓄積と経験を有する専門家から情報を得ることができたことは非常に有意義であり、今後の新たな展開の糸口を見出すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
当初、最終年度には海外現地調査を予定していなかったが、途中、新型コロナウィルス感染症の流行によって予定していた調査を実施することができない状況に陥った。したがって、その不足を補うために最終年度においてもウズベキスタンにおける海外現地調査の実施を予定する。くわえて、研究会を継続的に実施し、国内外の専門家から関連する地域や隣接する分野の報告を聞き討論を行う。さらに、最終成果のとりまとめに向けて、論文の執筆を進めるとともに、その成果を国内学会および国際学会にて発信する。
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