研究課題/領域番号 |
23K20115
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補助金の研究課題番号 |
20H01345 (2020-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2020-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03050:考古学関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
菊地 大樹 金沢大学, 古代文明・文化資源学研究所, 客員教授 (00612433)
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研究分担者 |
覚張 隆史 金沢大学, 古代文明・文化資源学研究所, 助教 (70749530)
板橋 悠 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (80782672)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2024年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2021年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2020年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
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キーワード | 馬車文化 / 騎馬文化 / 骨考古学 / 古代DNA / 同位体化学 |
研究開始時の研究の概要 |
中国における騎馬文化のはじまりは、戦国時代の趙武霊王が北方遊牧民の騎馬習俗である「胡服騎射」を導入したことに端を発することが定説化している。しかし、近年の調査成果からその導入経路が多元的であり、開始年代が遡る可能性が指摘されはじめている。そこで本研究課題では、春秋戦国時代にみられる馬車から騎馬への変革を、ウマとそれを利用したヒトに主眼をおき、実践的な骨考古学と理化学分析を基軸に、他の考古資料や歴史学を融合させた研究視角から解き明かす。そして、騎馬習俗導入にかかわる社会階層の視点にたってその意味づけを検討しつつ、中国古代における家畜史と人類史の再構築を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究課題では、中国の古来より社会・経済システムの中核的役割を担っていたウマと、それを利用する社会階層の視点に立ち、馬車から騎馬への転換過程の背景を探る事を目的としている。コロナ禍によりメンバー全体での現地調査が難しい現状にあるが、制限されていた海外の移動制限が緩和されたことで、可能な範囲で実地調査を実施した。寧夏回族自治区文物考古研究所の協力のもと、固原市の姚河原遺跡の大墓群区と東部墓葬区で検出された3基の車馬坑と馬坑に対して調査を実施し、ウマの埋葬過程についての検討や形態学的データの取得をおこなった。また、出土した馬歯から歯エナメル質を採取し、炭素・酸素同位体分析を進めた。現在、前処理が完了した試料を順次、金沢大学のGasBench/IRMSを用いた炭素・酸素同位体比測定をおこなっている。すでに先行研究で報告してきた他地域データと比較することで、当時のウマ飼育形態に関する多様性について評価を試みる予定である。また、エナメル質のほか、骨のコラーゲン抽出も同時におこなっており、成獣となった後の食性についても分析を進めた。このほか、考古資料のウマと比較するために現生の馬である与那国馬の生態調査を行い、骨と餌となる植物を採取し、同位体分析を実施した。研究成果の一部は、『家畜の考古学』(雄山閣)、『牧の景観考古学』(六一書房)や『馬・馬車・騎馬の考古学』(臨川書店)で発表するほか、国内外の学会等で報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実践的な調査が可能となり、実地で貴重な形態データを取得するとともに、サンプリングを実施し、分析を進めることができ、実証的な比較基準データが増加したことは大きな進展である。そして、考古資料や古典籍から、ウマの飼養に欠かせない塩や飼養環境にかんする情報を抽出し、当時のウマの飼養管理の実態に迫ることができた。また、牧畜文化圏と農耕文化圏それぞれのウマの同位体や古代DNA分析報告の集積を終えて解析作業に移っており、研究計画を調整しながら着実に成果を出せている。積極的なアウトリーチ活動についても国内外で実施できていることから、順調に計画研究は遂行されている。
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今後の研究の推進方策 |
現地研究機関と引き続き連絡を取り合いながら分析を進めつつ、現地の情勢を見極めながら、更に実地調査を展開する。特に、古代DNA分析については、中国社会科学院考古研究所との連携を加速させる。同位体比測定については、金沢大学での日程調整が進まない場合は、他研究機関の同じ分析装置を用いて円滑にデータを出す仕組みを構築していきたいと考えている。また、比較データの取得を目的に、キルギス共和国のアク・べシム遺跡出土の動物骨の同位体分析も行う予定である。
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