研究課題/領域番号 |
23K20132
|
補助金の研究課題番号 |
20H01412 (2020-2023)
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2020-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分04030:文化人類学および民俗学関連
|
研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
島村 恭則 関西学院大学, 社会学部, 教授 (10311135)
|
研究分担者 |
周 星 神奈川大学, 国際日本学部, 教授 (00329591)
山 泰幸 関西学院大学, 人間福祉学部, 教授 (30388722)
桑山 敬已 ノートルダム清心女子大学, 文学部, 教授 (50288057)
岩本 通弥 東京大学, 大学院総合文化研究科, 名誉教授 (60192506)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2024年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2022年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2021年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2020年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
|
キーワード | 世界民俗学 / 対覇権主義 / 知の世界システム / 柳田國男 / ヴァナキュラー / フィンランド民俗学 / エストニア民俗学 / ラトビア民俗学 / クィアの民俗学 / 対啓蒙主義 / 現代民俗学 / 韓国民俗学 / アイルランド / イギリス / 王立人類学協会 / 民俗学 / 山下欣一 / 荒木博之 / インディアナ大学 / 奄美学 / 覇権主義 / 中国民俗学 / フォークライフ研究 / フォークライフ・フェスティバル / アメリカ民俗学 / 民俗学理論 / ネイティヴの人類学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、アメリカ・イギリス・フランスが頂点として君臨する「知の覇権主義的構造」とは異質の、世界中のすべての地域の民俗学が対等な関係で連携、協働することを理想とした「対覇権主義的(counter-hegemonic)な学問ネットワークとしての『世界民俗学』」を構築することをめざしている。そのための方法として、「知の覇権主義」とは異なる次元で個性的な民俗学が展開されている中国、韓国、台湾、インド、エストニア、ラトヴィア、リトアニア、アイルランド、ブラジルを対象に、それぞれの民俗学の特性とそれをふまえた世界連携の可能性について、実態調査と共同討議を実施する。
|
研究実績の概要 |
フィンランド、エストニア、ラドビア、リトアニアにおける民俗学の発生と展開、現状について研究代表者である島村恭則の指揮・監督のもと研究協力者の周丹を派遣して現地調査を実施した。具体的には、Anonymous Frog(ヘルシンキ大学)、Pertti Anttonen(東フィンランド大学)、Pekka Hakamies(トゥルク大学)、Ulo Volk(タルトゥ大学)、Rita Treija(ラトビア大学)、Ausra Martisiute-Linartiene(リトアニア語文学・民俗学研究所)の各氏に詳細なインタビューを実施した。中でも、Ulo Volk氏は、アメリカのSimon Bronner氏と並ぶ世界トップクラスの民俗学者であり、同氏との議論で島村恭則による「対覇権主義的世界民俗学論」について大きな同意を得られたのは収穫であった。さらに同氏とは日本の大学院生の留学受け入れについても話を進めることができ、研究者養成の観点からも大きな成果であった。 本年度は、コロナ禍で初年度以来実施できていなかった中国での現地調査・学術交流を実現することができた。広東省の中山大学、広東外語外貿大学、華東師範大学を訪問し、各大学の民俗学者から中国民俗学の現状について情報収集を行うとともに、本科研成果にもとづく招待講演を実施した。なお、中国との間では、これ以外にもオンラインによる研究発表、講演を本年度中に2回実施している。 また、このほか、理論・文献研究としては、アメリカ民俗学における批判的民俗学の動向把握につとめ、その成果をふまえるかたちで辻本侑生・島村恭則編著『クィアの民俗学』(実生社)を刊行した。加えて、本科研の成果の社会的還元として、島村恭則編『現代民俗学入門』という啓蒙書も刊行した。さらに、奄美大島等において科研成果にもとづく一般向け講演も実施した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.当初計画通り、フィンランド、エストニア、ラトビア、リトアニアでの現地調査を実施し、同地域の民俗学の歴史と現状についての大量の情報を得ることができたから。 2.コロナ禍のために初年度以来実施できていなかった中国での現地調査と招待講演などの学術交流を実施でき、十分な調査成果をあげたことはもちろん、予想以上のレベルで学術ネットワークの構築を行うこともできたから。 3.本科研の成果として辻本侑生・島村恭則編著『クィアの民俗学』、島村恭則編著『現代民俗学入門』を刊行できたから。 4.本科研成果の社会的還元の一環として奄美大島等での公開講演も実施できたから。 以上を踏まえ、おおむね順調に進展していると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
2023年度までの成果を土台に、2024年度は、世界民俗学論を総括的に理論化する方向に進む。具体的には、2024年5月18日に関西学院大学で開催される現代民俗学会年次大会でのシンポジウム「現象学と民俗学」(この主題は、ドイツ民俗学と中国民俗学の展開をふまえてのものである)を研究代表者がコーディネーターとなって実施し、そこでの議論を本科研の総括につなげる。 また、並行して海外調査も引き続き実施し、総括に含める。2024年度はブラジルとインドを予定している。 研究成果の刊行は、本科研で実施してきた国際シンポジウム、研究会、現地調査、招待講演などの内容を収録した島村恭則編著『世界のなかの民俗学』(実生社)として実施する。 また、世界的にも民俗学はグラスルーツの人びとを主な担い手としていることが本科研において明確になったことから、本科研の後継課題として、グラスルーツ民俗学の現代的再構築に関わる科研の申請に向けた準備も実施する。
|