研究課題/領域番号 |
23K20138
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補助金の研究課題番号 |
20H01450 (2020-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2020-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分06010:政治学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
赤井 伸郎 大阪大学, 大学院国際公共政策研究科, 教授 (50275301)
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研究分担者 |
湯之上 英雄 名古屋市立大学, 大学院経済学研究科, 教授 (10509590)
広田 啓朗 武蔵大学, 経済学部, 教授 (10553141)
齊藤 仁 和歌山大学, 経済学部, 准教授 (50707255)
倉本 宜史 京都産業大学, 経済学部, 准教授 (70550309)
宮錦 三樹 中央大学, 経済学部, 准教授 (70733517)
足立 泰美 甲南大学, 経済学部, 教授 (80734673)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2024年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2023年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2022年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2021年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2020年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
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キーワード | インフラ / 教育財政 / 社会保障 / 広域行政 / 市町村合併 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、これまでの自治体の財政制度における「価格付け」(制度・政策における価格設定)が、自治体および住民の行動をいかに誘導し、その結果、財政の持続可能性にどのような影響を及ぼしてきたのかを、理論的・実証的分析を通じて検証するとともに、その結果から、現在の行政サービスを保ちながら今後の財政の持続可能性を高める方策を、適正な「価格付け」の視点で提案する。
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研究実績の概要 |
2023年度は12月8日に大阪大学中之島センターにて「科研セミナー」を実施し,同時に最終年度に向けたまとめ方を議論した.ユニット別の会合は随時実施し,研究を進めた.そして,9本の学術論文の公刊と9回の学会報告,上記のセミナー以外に7本のセミナー報告,研究に関する一般紙等への2本の記事の執筆,単著で1冊の書籍の刊行がなされた. 特に,査読付き国内雑誌への論文が掲載されるなど,学術的成果を挙げた.例えば,研究代表者は中央政府が事前コミットメント能力を持たず,財政の地域間移転は事後的に最適に設計されることで,選挙結果が歪められ,地域公共財の提供に非効率性が生じることを示した研究成果を“Electoral outcomes and local public goods provision with ex post interregional transfer”(Takahiro Watanabe氏との共著)と題してInternational Tax and Public Financeにて公刊できた. また,分担者は,地域や組織の統廃合に注目した研究を行った.例えば,都道府県の境界線を識別に考慮したSynthetic Control Methodによる実証分析により,市町村間の社会的つながりがコモンプール問題を緩和させることを示した.また,市町村データを用いて,公立小学校の統廃合等による再編が自治体財政,特に小学校費総額や物件費,人権費などの削減に影響することを固定効果モデルで示した.このほか,発生主義的な財務諸表の導入が予算の組み換えという視点から扶助費を減少させる傾向を示した.また,図書館サービスに焦点を当て,空間的相互作用の存在を実証的に示した.さらに,市町村合併により,空間的な影響が内部化できることも,空間計量経済学の手法を用いて示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度も研究計画はおおむね順調に進めることができた.具体的には,全体会合と研究発表セミナー,ユニット別の会合を計画どおり実施できた.また,学会やセミナーでの研究発表も予定通りに参加できた. 具体的に,学会報告は研究代表者と分担者により8件が行われた.参加学会は,98th Annual Conference in Western Economic Association International,93rd Annual Conference in Southern Economic Association,日本経済学会2023年度秋季大会,日本財政学会第80回大会,日本地方財政学会第31回大会である.国内外の学会に参加することで,専門を同じくする研究者との議論を通じ,それぞれの研究を進めることができた.また,全体会合を12月8日に実施し,研究代表者と分担者は進捗状況,ならびに研究成果の発表(「科研セミナー」を開催)を行った.そのほか,分担者は7つのセミナーでの研究発表も行っている. また,上記の学会やセミナーでの発表の成果は,公刊された8本の論文に表れている。それぞれの研究は『財政研究』,『日本経済研究』『地方分権に関する基本問題についての調査研究会報告書・専門分科会(座長:堀場勇夫)』,『甲南大学経済学論集』,『下水道協会誌』,International Tax and Public Finance,The Annals of Regional Science, Applied Economics Lettersといった研究雑誌や報告書へ掲載されており,順調に研究の成果をあげることができている。このほか,分担者により教科書も1冊、刊行されている.
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今後の研究の推進方策 |
2024年度も各研究成果を学会・セミナーで発表する.そして,実施した研究論文の改訂作業と最終的なまとめを行う. 自治体全体の財政,特に都市構造の研究では,コンパクトシティ形成の要因とその効果に関して取りまとめた研究書の刊行を目指す.財政ルールに関しては,旧財政再建法下での自治体の財政運営方法と財政赤字との関係を引き続き研究する.また,分権化における政策競争の有無や程度に関して,空間的相互作用を考慮したSpatial model やDifference in Differencesを用いて検証する.また,自治体レベルの決算統計データや地域経済データと,アンケートで取得した家計データとの接合を試みる.特に,旧財政再建法下において,自主再建か財政再建団体としての再建か,という手法の違いがもたらす健全化の進展の違いをSynthetic Control Methodを用いて分析する.さらに,法人住民税均等割の超過課税を対象に,租税競争の程度をStaggered DIDの枠組みで実証的に示す. インフラ分野(水道事業)では費用面の非効率要因の分析を継続する.特に,平成の大合併時の水道事業の外生的統合の影響を広域化の効果として検証する.また,地域内の社会資本ストックが与える公共施設等総合管理計画の策定効果についても分析する.教育分野では,引き続き公共施設や義務教育の在り方を研究する.また,高齢化が義務教育費に与える影響を示す.教育財政に関する研究取りまとめ,研究書としての刊行を目指す.社会保障分野では,普通会計と公営企業会計の対象事業を区分し,公的データやアンケート調査等で入手した個票データを整理する.そして,税収と地方債・企業債からの安定した財源確保や,広域化・民営化等による給付の適正化の可能性を探る.
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