研究課題/領域番号 |
23K20141
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補助金の研究課題番号 |
20H01460 (2020-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2020-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分06020:国際関係論関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
岩下 明裕 北海道大学, スラブ・ユーラシア研究センター, 教授 (20243876)
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研究分担者 |
福原 裕二 島根県立大学, 国際関係学部, 教授 (30382360)
BOYLE EDWARD 国際日本文化研究センター, 総合情報発信室, 准教授 (30760459)
黒岩 幸子 京都外国語大学, 外国語学部, 教授 (80305317)
益尾 知佐子 九州大学, 比較社会文化研究院, 教授 (90465386)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2024年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2023年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2021年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2020年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
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キーワード | 領土 / 地政治 / 北東アジア / 国境 / 境界研究 / 主権 / ボーダースタディーズ / 領土問題 / スケール / 境界地域 |
研究開始時の研究の概要 |
ともすればナショナリズムに翻弄され、一方的な資料利用によって、フィクション化されやすい領土や国境に関する諸問題を、当事者の双方向及び第3者的な視座を検証するとともに、実態の解析に加え、社会構築的な側面の分析も併せて行う本研究は、国際関係のみならず民主社会における紛争解決の新しいロールモデルも提示する。本研究は、領土や国境問題にアプローチする際の学術的な貢献とは何かを実社会に示すという意義ももつ。
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研究実績の概要 |
本研究では、ユーラシアや諸外国の事例を参考にしつつ、北東アジアに関わる国境・領土をめぐる社会構築と実態の連関を、時系列と地理スケールを変えることを通じナショナルとローカルのフレームにおいて析出する。 ローカルとは境界に接する自治体レベルの場合もあれば、国境点(まち)そのものもあり、スケールは伸縮される。フレームの相互作用を検証し、領土をめぐる社会構築が、ある場合にはナショナリズムの激化と相関し、ある場合にはこれを鎮静化させる二面性パターンを解析する。国境を越えるローカルな場からの「メッセージ」を学術的に総合し、領土をめぐる社会構築を相対化し乗り越える道筋をつくるのが本研究の狙いである。 空間や境界をめぐる諸問題を学際的に研究するボーダースタディーズ(境界研究)の理論と枠組をもとに、本研究では北東アジア地域の「領土」(領海、領空、経済水域などを含む)をめぐる表象を実態との連関において検証する。争点化されている空間をめぐる対象は、ロシア、中国、韓国(北朝鮮)、日本など北東アジア地域の構成国の社会的な表象の構築の分析を中心とするが、域外の諸地域・諸国などにも目配りし、比較を通じて、それぞれの「領土」に関わる実態と表象の特性を明確にする。かかる作業を通じて境界地域を安定と平和の表象に転換するための諸策を世界的研究の文脈のなかで再構築する。 なお、昨今のコロナ禍の世界的な広がりは、ナショナルとローカルのフレームを大きく揺さぶりつつあり、当該研究テーマたる国家や領土を分析する際、実態においても社会構築においても考慮せざるをない影響力をもつ。本研究はこれらについても目配りしつつ、地域の変貌を追跡する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度前半は引き続き、新型コロナウィルスの問題もあり、国内外の出張打ち合わせや現地でのフィールドワーク及び調査は困難であったが、後半から、昨年度構築したオンラインのネットワークをベースにしつつ、海外での調査、聞き取り及び成果報告なども可能になったことで進捗をみた。 また北東アジアの現在から未来を見通すべく、国家中心かつ地理を普遍的なものと考える、いわゆるGeopoliticsではなく、国家を相対化し、境界地域や現地の人々のくらし、国家を超えるエリアを包摂的にとらえるGeo-politics(地政治)という新たな枠組みを通じて、当該地域を分析した研究成果Geo-politics in Northeast Asia (Routledge, 2022) (研究分担者、福原とボイルも執筆し、研究代表者の岩下とボイルほかが編集した)が最新の研究成果として刊行された。 さらにシドニー、キャンベラ、メルボルン(オーストラリア)、ワシントン(米国)、ウディーネ(イタリア)などで成果報告をする機会を得た。 また11月に日本の境界地域研究ネットワークの集会を対面にて沖縄県石垣市で実現するなど、コロナ禍で止まっていた実務者との研究連携も再開できた。とくにロシアのウクライナ侵攻及び中国の膨張という現況を鑑みるに、当該研究課題の重要性は日増しに高まっており、これらにも迅速に対応できた。またこれに加えて、関連するテーマでのセミナーを数多くオンラインで組織した。以上が、当初の計画以上に進捗しているという理由である。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウィルスについては海外での調査や成果報告の障害ではなくなりつつあるが、ロシアによるウクライナ侵攻が、ロシアの現地調査はおろか、学術交流それ自体を事実上、止めている。また近年の中国国内の人権状況を考えると、中国での報告や調査もリスクがたかい。したがって、本研究のテーマは、ロシアと国境に面しているフィンランド、ポーランド及び中国と海を巡って対峙するオーストラリア、あるいは米国でインド太平洋をカバーするハワイの研究者群との共働を強める方向を目指すべきだと考えている。 もっとも個人レベルでの学術的な協力は可能な限り、中露とも推進することを前提に、上記の作業を行う。また理論的な分野での研究発展を目指し、域外の欧米諸国との連携も進める。
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