研究課題/領域番号 |
23K20143
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補助金の研究課題番号 |
20H01475 (2020-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2020-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07010:理論経済学関連
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
山本 裕一 一橋大学, 経済研究所, 教授 (40855178)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
16,250千円 (直接経費: 12,500千円、間接経費: 3,750千円)
2024年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2023年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2021年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2020年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
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キーワード | Model misspecification / Bayesian learning / Overconfidence / model misspecification / ベイズ学習 / Bayesian Learning / Model Misspecification / 行動頻度 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、旧来の経済学で想定されていた「賢い」経済主体ではなく、個々人が様々なバイアスを持つような状況を考え、そのバイアスを持つ人々がどのような行動を取るのかについて分析する。特に、model misspecificationを持つ複数の経済主体が存在する場合、「相手のバイアスについてバイアスを持っているかどうか」といういわゆる「高次のバイアスの有無」について考慮していく必要があるが、本研究では、その高次のバイアスが経済主体の行動にどのような影響を与えるかについて分析する。これにより、例えば「相手が自信過剰で、自分がそれに気づいていないときに何が起こるか」といったことが明らかになる。
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研究実績の概要 |
前年度(2022年)に続き「ある経済主体がバイアスを持つ時に、周囲の経済主体がそのバイアスに気づいているか否かが均衡にどう影響を与えるか」という問題に取り組んだ。前年度は、(a) 経済主体の持つバイアスが周囲の人々に知られている場合、バイアスの程度が変化するに応じて均衡も連続的に変化するが (b) 周囲の人々がバイアスに気づいていない場合、均衡は非連続に変化するような例を発見したが、本年度(2023年)は、この結果はどの程度一般化可能なのか、この結果をもたらす本質的な理由は何なのかについて研究を進めた。 結論から述べると、前年度発見した「自信過剰な労働者がjoint projectに参加する例」だけでなく、「需要に関して自信過剰な企業が存在する寡占市場」「環境技術について自信過剰な企業が存在する汚染問題」など様々な例を含むクラスのモデルにおいて同様の結果が成立し、「自信過剰であることが相手に知られているかどうか」が人々の行動に大きな影響を与えることが分かった。またこの結果の本質は、「自分が相手のバイアスについて気づいていない場合、相手の行動について誤った予測をしてしまうinferential naivity という現象が起こり、それが各人のベイズ学習に大きな影響を与える」ことからきていることが分かった。実際、誰もバイアスを持っていないが相手の行動に関するinferential nativityを持つようなモデルを考えると、ある意味で今回と似たような結果が得られることが分かった。この結果は、10月にソウル大学校の経済理論セミナーにスピーカーとして招かれた際に発表した。現在は結果を論文の形にまとめているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
すでに述べたように、一定の興味深い結果が出て対外的な発表も済ませ、あとは論文にまとめて投稿する段階となっている。
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今後の研究の推進方策 |
理論的な結果はほぼ出揃ったので、あとは論文にまとめて投稿する段階まできている。新規性のある面白い結果なので、経済学の雑誌でもトップ5と呼ばれる最高峰の雑誌への掲載を目指すのだが、これらトップ5に載せるためには、理論経済学者だけではなく経済学の他分野の読者にも興味を持ってもらうような論文にすることが重要である。この点については、応用行動経済学を専門とする共同研究者の協力の下、今回の結果が応用上どのような意義を持つかについてなるべく説得的な議論を展開してゆく予定である。
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