研究課題/領域番号 |
23K20152
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補助金の研究課題番号 |
20H01518 (2020-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2020-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07060:金融およびファイナンス関連
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
吉見 太洋 中央大学, 経済学部, 准教授 (30581798)
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研究分担者 |
吉田 裕司 滋賀大学, 経済学系, 教授 (40309737)
鯉渕 賢 中央大学, 商学部, 教授 (60361672)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
15,730千円 (直接経費: 12,100千円、間接経費: 3,630千円)
2024年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2023年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2021年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2020年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 決済通貨 / 為替パススルー / 決済条件 / 税関データ / 輸出経験 / タイ / トルコ / 中小企業 / 国際金融 / 交渉 / 貿易信用 / 決済手段 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題では、国際貿易取引における重要契約事項である貿易決済通貨を企業がどのように決定しているのか、タイとトルコの税関データ(企業レベル貿易取引データ)と、中小企業向けのアンケート調査結果を用いて明らかにする。決済通貨の決定は国際貿易取引における重要な契約事項であるとともに、企業が為替リスク管理を行う上で非常に重要な要素でもある。特に、輸出者・輸入者の間の交渉、企業の輸出経験、貿易信用の選択などが、決済通貨選択に与える影響に着目する。
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研究実績の概要 |
本研究課題では「国際貿易における決済通貨は何によって決まっているか?」という問いに対し、以下三つの研究目的を設定し、主に実証分析による検証を進めている。第一の目的は、「決済通貨の決定に、輸出側と輸入側の間の相対的な交渉力がどういった役割を果たしているのかを明らかにする」ことである。第二の目的は、「企業の輸出経験蓄積が、決済通貨選択に与える影響を明らかにする」ことである。第三の目的は、「決済通貨選択と、貿易信用などその他の契約事項の選択との相互関係を明らかにする」ことである。これら三つの研究目的を達成するため、タイとトルコの税関データおよび、2019年度に実施した中小企業向けアンケート調査の結果を用いて研究を進めている。 2023年度の研究実績として主なものは、四編の論文が査読付き国際誌に掲載されたこと、四編の論文をディスカッションペーパー等として出版したこと(NBER Working Paper、RIETI Discussion Paper等、うち二編は一度公表したものの更新版を別機関のディスカッションペーパー等として発表しているため、のべ数は六編となる)、一回の国際研究セミナー報告である。四編のディスカッションペーパーのうち二編は、2022年度から開始した日本の税関データを用いた研究に関わるものである。公表済の四編のディスカッションペーパーに加えて、未公刊の論文を一編、計五編は現在査読付き国際誌に投稿中である。さらに、現在はこれらの研究論文に加えて、複数の研究プロジェクトを並行して進め、それらに関わる論文の執筆も進めている。具体的には、トルコのデータを用いた決済手段と決済通貨の関係に関わる発展的研究に着手している。また、日本の税関データを用いた研究では、決済通貨の決定要因分析に加え、決済通貨と関係の深い為替パススルーの分析も進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2023年度は、【研究実績の概要】に示した三つの目的それぞれを達成するための作業を並行して進めてきた。 第一の目的である「決済通貨の決定に、輸出側と輸入側の間の相対的な交渉力がどういった役割を果たしているのかを明らかにする」ことを達成する点においては、日本の中小企業へのアンケート調査結果を用いた実証分析に基づき、一編の論文を出版した。当該論文はRIETI Discussion Paperとして出版され、さらに修正を加えたバージョンをSSRNを通じて発表した。 第二の目的である「企業の輸出経験蓄積が、決済通貨選択に与える影響を明らかにする」ことを達成する点でも、上述の出版済ワーキングペーパーで分析を行っている。さらに、タイのデータを用いた論文をSSRNで発表した。 第三の目的である「決済通貨選択と、貿易信用などその他の契約事項の選択との相互関係を明らかにする」ことを達成する点でも、未発表の論文を査読付き国際誌に投稿中である。 公表済のワーキングペーパー等もすべて、査読付き国際誌に投稿済である。昨年度は「今後の研究の推進方策」として、執筆した論文の投稿を目指すとした。したがって、計画との関連という意味では、前年度に想定していた事柄については概ね達成できている。また、2023年度は成果論文が四編査読付き国際誌に掲載された。これらの成果を踏まえて、当初の計画以上に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度の方策としては、まず現在取り組みを進めている複数のプロジェクトに関する論文を執筆し、ディスカッションペーパー等として公表する(四編程度を予定している)。また、最終年度である2024年度は、国内外での学会や研究会での成果発表を進めていく。既にWestern Economic Association International (WEAI)での報告は決定しているが、その他の報告機会も確保していく。さらに、投稿済の複数の論文について、査読付き国際誌への出版実現に向けて尽力する。 2024年度は最終年度ということもあり、これまでの研究期間に行ってきた研究を今後どのように発展させていけるかについても検討する。具体的には、まずトルコのデータを使った研究について、これまで繊維製品の輸出に絞って行ってきた研究を他の産業にも広げて分析を行うことを考えている。繊維製品の輸出は差別化の度合いが低い品目であり、最初に分析を行う産業としては適切であったが、トルコの決済通貨選択や決済手段との関係が産業ごとにどのように異なるかといったことを明らかにするためには、分析対象を拡大する必要がある。2024年度は分担者や研究協力者と綿密なやり取りを行い、この分野の発展研究実施に向けた計画を策定する。 また、日本の税関データを用いた分析についても、財務総合政策研究所との共同研究期間の延長終了年度となる。こちらについてもこれまでの蓄積を生かして今後どのような発展的課題に取り組むことができるかを検討する。例えば、ディスカッションペーパーの一つで企業内貿易における決済通貨選択が、企業間貿易と異なることを明らかにしたが、分析の対象はフランスに絞られていた。この対象国を拡大することで何が見えるかを検証することが一つの例である。
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