研究課題/領域番号 |
23K20160
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補助金の研究課題番号 |
20H01541 (2020-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2020-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07080:経営学関連
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
洞口 治夫 法政大学, 経営学部, 教授 (20209258)
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研究分担者 |
河村 哲二 法政大学, イノベーション・マネジメント研究センター, 研究員 (20147010)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
16,640千円 (直接経費: 12,800千円、間接経費: 3,840千円)
2024年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2021年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2020年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | ディグローバリゼーション / 多国籍企業 / 経済制裁 / 覇権安定理論 / 組織哲学 / 海外直接投資 / パックス・アメリカーナ / 制度の進化プロセス / 集合知 / 労使関係 / 覇権国家 / 戦時経済 / 資本主義 / グローバリゼーション / 組織 / 経済システム / 国際経営戦略 / パンデミック / ウクライナ侵攻 / 研究開発 / 製品開発 / コーポレート・ガバナンス / 群集生態学 / コメンサリズム / ハイブリッド生産システム / COVID-19 / 新型コロナウィルス感染拡大 / 外生的経済危機 / 群集生態学的アプローチ / 覇権 / 国際経営 / 経営戦略 / 経済政策 / 異種交配 |
研究開始時の研究の概要 |
「ディグローバリゼーションにおける国際経営戦略の再設計-群集生態学的アプローチ-」は、国際経済政策と国際経営という異なる研究領域を専門とする研究者による共同研究である。2020年代、資本主義の経済発展は、グローバリゼーションを前提とした拡張的なものから、分断と経済制裁を内包した内向的なものに変化しつつある。この認識をもとに西欧で発達した個人主義的経済理論と利潤極大化を求める企業戦略を批判的に検討する。それとともに、その外延にある経済政策の限界を摘出する。海外学会での研究報告によって日本発の経営理論を精緻化し、方法論的個人主義への批判という分析視角を維持しつつ、組織の革新を考察する。
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研究実績の概要 |
「ディグローバリゼーションにおける国際経営戦略の再設計-群集生態学的アプローチ-」における2023年度の研究成果は以下のとおりである。河村は「グローバリゼーション/ディグローバリゼーションのダイナミズムと経済システムの変容―制度・組織革新とシステム形成の視点から―」『イノベーション・マネジメント』第21巻、2024年3月、pp.35-70を発表した。洞口は“Forecasting foreign exchange rates as group experiment: Actuality bias and fact-convergence effect within wisdom of crowds,”Review of Behavioral Finance, vol.15, issue 5, pp. 652-671, August 2023.(査読有)および「組織哲学の論理―組織善の探究―」『経営志林』第61巻第4号、2024年1月、pp.57-72.を発表した。これらの論文では、制度研究、集合知研究、組織哲学という視点から、それぞれの原理的基軸に立ち返った理論的分析を発表した。河村は、パックス・アメリカーナの変容に関連して、世界資本主義フォーラム、経済理論学会第71回大会共通論題、SGCIMEで報告を行い、アメリカ学会ではコメンテーターを務めた。洞口はThe Production and Operations Management Society (POMS)、the Academy of International Business (AIB)において学会報告を行った。POMSでは、ホンダと三菱重工業のジェット機開発プロジェクトの比較研究を報告した。AIBでは日産による経営責任者の排除について国際経営戦略の観点から時系列的に跡づけた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
現在までの研究の進捗状況として、学会報告および研究論文発表の実績を概観すると、当初の計画以上と評価できる。洞口は国際学会で2回研究報告を行った。うち一回は、Academy of International Businessであり競争率の高い国際的な学会での報告であった。河村は日本国内の学会での共通論題報告を一回、国内学会ないし研究会での研究報告ないしコメントを3回行った。洞口は査読付き英語学術雑誌への掲載論文1本、日本語論文の掲載1本、河村は日本語論文掲載1本であった。ディグローバリゼーションに着目して本研究プロジェクトが構想された2019年春は新型コロナウィルス感染拡大前であり、その後、研究プロジェクトが開始されてから、新型コロナウィルス感染拡大、ロシアによるウクライナ侵攻と西側諸国による経済制裁、ハマスによるテロとイスラエルの報復が進展し、ディグローバリゼーションを考察する重要性は、ますます高まっている。河村、洞口の研究は、グローバリゼーションが反作用を伴わずに拡大するものではなく、単線的な歴史観に立脚した経済分析や経営戦略の立案に警鐘を鳴らしたものである。つまり、従来の研究でみられたグローバル化への根拠なき楽観主義を廃したところに視点の転換がある。研究を進めるにあたっては、分析用具となる鍵概念の開発にも意を用いたが、具体的には、制度の進化プロセスに着目しつつ、組織と制度、組織哲学、集合知の変容といった分析用具を開発しながら論理を構築することになった。
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今後の研究の推進方策 |
Academy of International Business(AIB)は2024年7月に韓国・ソウルで国際コンファレンスを開催する。洞口・河村は、そこでID#:418、TITLE: 30 Years of Hybrid Factory: Japanese FDI and World Automotive Industry というタイトルのパネルを開催する。このパネルは査読を経たものである。パネリストとして洞口、河村のほかに、糸久正人法政大学教授およびTomasz Olejniczak, Kozminski University, Polandの参加を得ることができた。Hybrid Factoryというコンセプトが、その発表後30年を経て、どのように受容され、進化してきたのかを検証するパネルである。AIBは競争率の高い全世界的な学会であり、パネルセッションの開催を認められたことは科研費支出に相応しい名誉ある研究業績となろう。その発表準備と発表へのコメントなどの反響を踏まえた新たな研究分野の開拓が今後の研究課題である。AIBには多国籍企業研究者が参加し、AJBSには日本企業の経営研究を行う研究者が参加する。Association of Japanese Business Studies (AJBS)はAIBの開催前日に開かれる姉妹学会であり、同学会でも同名のパネル・セッション開催が許可された。年度後半、河村はバックス・アメリカーナの変容過程に関する研究、洞口は組織哲学がディグローバリゼーションと反響する状況について研究を進める。洞口は、具体的にはウクライナ侵攻以降、ロシアから撤退した多国籍企業がある反面、日本たばこ産業(JT)のように事業を継続している企業もあり、それらのデータを収集する。「ディグローバリゼーションにおける国際経営戦略の再設計」を検討するためである。
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