研究課題/領域番号 |
23K20177
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補助金の研究課題番号 |
20H01654 (2020-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2020-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09030:子ども学および保育学関連
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
高橋 直也 新潟大学, 医歯学系, 教授 (30293210)
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研究分担者 |
的場 光太郎 北海道大学, 医学研究院, 教授 (00466450)
成田 啓廣 新潟大学, 医歯学系, 助教 (10770208)
高塚 尚和 新潟大学, 医歯学系, 教授 (40242490)
舟山 一寿 新潟大学, 医歯学系, 助教 (80568486)
石川 浩志 新潟大学, 医歯学系, 教授 (90377151)
堀井 陽祐 新潟大学, 医歯学総合病院, 准教授 (90464015)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
9,360千円 (直接経費: 7,200千円、間接経費: 2,160千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2020年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 小児死後CT / 小児死後変化 / 小児死因 / 死後画像診断 / 死後CT / 小児死因究明 / 小児死後画像診断 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、小児の死後CTの撮像・読影の標準化を目指し、以下の検討を行う。1)小児死後CTの撮影条件を確立させるため、さまざまな撮像条件で撮影した小児ファントム(X線撮影用の模型)のCT画像を評価する。2)小児死後CTを生前CT画像と比較し死後変化の検討する。3)小児死後CTの読影チェックシートを用いた読影方法の基準を確立し、解剖所見と比較しその有用性を明らかにする。
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研究実績の概要 |
1)小児死後CTの至適条件の検討について。新生児の体格とX線吸収値を模した新生児ファントムを新潟大学医学部法医学教室の16列DualエネルギーMDCTで撮像して得られたCT画像の画質を検討した。複数の管電流を用いて得られた頭部CT画像に、計算ソフトウェアを用いて作成した仮想模擬病変を挿入し、病変の検出能を検討した。模擬病変の直径が7.5 mmの場合,240mAsが最適線量であった.直径5 mmの病変でコントラスト差が小さい場合500 mAsでも検出が困難であった.この結果は、第79回日本放射線技術学会総会学術大会で発表した。同様に5歳幼児の体格とX線吸収値を模した幼児ファントムを複数の管電流を用いて撮像した頭部CT画像に、仮想模擬病変を挿入して、病変の検出能を検討した。管電流が高い場合、模擬病変の検出率は向上したが、直径8 mm以下の模擬病変で4HUのコントラストの差の場合,設定可能な最大の線量である400 mAsでも検出できなかった.コントラストの差が小さい場合、高線量でも検出が難しいことが明らかとなった。この結果は、第21回オートプシー・イメージング学会学術総会にて発表した。 2)小児死後CTにおける死後変化について。新潟大学と北海道大学で解剖を行った小児症例において、病院で死亡直後に撮影されたCTと死後数日間の冷蔵保存後に撮影されたCTの、肺の含気量を比較検討した。成人例でも同様の検討を行い、成人と小児における死後変化の差異を明らかとした。小児、成人とも死後冷蔵保存していたにも関わらず死後の時間経過で肺の含気領域は減少し、特に乳幼児でその傾向が強かった。肺の含気体積の減少は、小児の方が成人よりも減少率が大きかった。この結果は、第21回オートプシー・イメージング学会学術総会にて発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
検討を行う3項目についてそれぞれの進捗状況を記す。 1)小児死後CTの撮像条件の検討については、新潟大学法医学教室の遺体専用CTにて新生児ファントム・小児ファントム実験を行った。加えて、新潟市民病院のCT2機種で小児ファントムの撮影を行った。新生児・幼児の頭部ファントムを用いて異なった管電流における画像評価については、国内外の学会で結果を発表を行った。腹部の撮像条件についても、肝臓、腎臓、腹腔内脂肪織の画像条件について、検討を行い結果を得ている。今後、研究内容をまとめて発表を予定している。 2)小児死後CTにおける死後変化については、新潟大学法医学教室・北海道大学法医学教室において行われた小児の死亡直後のCTと数日経過したCTを比較検討した研究を行っている。肺の含気量の変化については、結果をまとめて、第21回オートプシー・イメージング学会学術総会にて発表した。小児の心臓体積の測定方法について検討を進め、肺の検討と同様に死亡直後CTと死後数日を経過したCTを比較検討を行う予定としている。 3)小児の死後CTにおける画像所見の拾い出しについては、新潟大学法医学教室で死後CTと解剖が行われた14例の死後CT所見について、経験年齢の異なる診療放射線技師、放射線科診断専門医による読影実験に着手した。死後CTで認められるさまざまな所見をチェックシート化し、所見を拾い出す実験を行っている。CT画像で拾い出した所見は、解剖所見と比較することで、拾い出しの正確性を検討できる。さらに、検者間の比較を行い、職種の違い、経験年数の差異による所見拾い出しの差の検討を行う。
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今後の研究の推進方策 |
検討を行う3項目についてそれぞれの推進方策を記す。 1)小児死後CTにおける至適撮像条件の研究について。5歳児相当の体格、X線吸収値を模した小児腹部ファントムを用いて得られたCT画像の肝臓、腎臓、腹部脂肪織にデジタル模擬病変を埋め込んだ画像の視覚実験行う。複数の診療放射線技師、放射線科診断専門医がさまざまな撮影線量で撮像した画像を視覚的に評価する。得られた結果から、至適撮像条件を導き出す。 2)小児死後CTにおける死後変化の検討について。新潟大学法医学教室で解剖と死後CTを行った症例を用いて、死後の心臓の体積変化を検討する。成人では死後CTを用いた心臓体積の測定法が報告されているが、小児では明らかとなっていない。小児における死後CTを用いた簡便な心臓体積の測定法を開発し、解剖時に測定した心重量と比較する。開発した測定法を用いて死亡直後のCTと死後数日の保存後に撮影されたCTで測定した心臓体積を比較することで、死後のCT画像変化を明らかにすることができる。 3)小児死後CT診断のためのチェックリスト作成について。診療放射線技師は客観的な画像所見を医師に報告することが可能である。正確な画像所見を拾い上げることは診療放射線技師に必要な技能となりつつある。死後CTは生前のCTとは異なる所見が生じ、死後CT上の所見を拾い上げることは重要である。小児死後CT所見を拾い上げるためのチェックシートを用いて、その有用性を検討する。新潟大学医学部法医学教室でCT検査と解剖が行われた小児症例において、経験年数の異なる医学生、診療放射線技師、放射線科医が小児死後CTチェックシートを用いて、小児死後CTの所見を拾い上げる。CT所見を解剖所見と比較する。見落としやすいCT所見を明らかとし、併せて、検者それぞれの職種と経験による所見拾い上げの精度を比較検討する。
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