研究課題/領域番号 |
23K20196
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補助金の研究課題番号 |
20H01765 (2020-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2020-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10030:臨床心理学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
山中 克夫 筑波大学, 人間系, 准教授 (50282314)
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研究分担者 |
武藤 崇 同志社大学, 心理学部, 教授 (50340477)
河野 禎之 筑波大学, 人間系, 助教 (70624667)
野口 代 東大阪大学短期大学部, その他部局等, 准教授 (80744854)
新井 哲明 筑波大学, 医学医療系, 教授 (90291145)
松田 圭司 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 主任研究員 (50358024)
山田 亨 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 主任研究員 (10344144)
西田 健次 東京工業大学, 工学院, 特任准教授 (50344148)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2024年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2021年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2020年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
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キーワード | 認知症 / デイケア / シームレス / 心理介入システム / 介護者 |
研究開始時の研究の概要 |
本人や家族が障害と共に生きることを支援するという認知リハビリテーションの趣旨に沿い、デイケアをハブとした本人のみならず家族介護者を含めたシームレスな支援体系を構築する。具体的には、本人に対し認知症の進行に沿った健康プログラムやセルフマネジメト・社会的健康促進プログラムの開発、家族に対しBPSDへの対応とACTを組み合わせた応用行動分析によるプログラムの開発を行い、さらに必要な効果検証ツールの開発も行う。
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研究実績の概要 |
「シームレスな認知機能改善のための新たなデイ活動プログラム開発」の方向性に関しして認知症ケアの主なパラダイムのレビューを行い、特にセルフフッドの充実を中心とした自宅から地域、それを繋ぐ医療・介護のデイ活動の在り方について、学術誌において新たな提言を行った。 また、「自助グルーブで実施する社会的健康促進プログラムの開発」に関しては、認知症施策推進大綱に「共生」が掲げられてもなお、認知症の診断により、社会との繋がりが絶たれてしまう事例があとを絶たないことを示した上で、学術誌において、「社会モデル」「当事者参画」「Equity」をもとに、認知症の人が自身の存在を失うことなく社会に参加し続けられる、新たな支援モデルを提案した。 「家族会で実施する介護者の心理的サポート・ケアプログラムの開発」に関しては、認知症の人を介護する家族介護者に実施したインターネット調査をもとに、介護負担感の高低により、心理・社会的サポートやケアのニーズが異なることについて学会発表を行った。また、家族のディストレス軽減や人生の展望等を組み合わせたプログラムの「プロセス」を評価するための2つの尺度の標準化作業を行い、その成果は国際学術雑誌に掲載された。 「介入で必要な新たな評価法の開発」では、各活動場面で認知症の人の笑顔を計測することで、QOLの状態を客観的に把握する技法の開発を目指している。今年度は計算量の負荷の少ないシステムの構築と高速化および可搬性の向上を図り、画像情報処理の全体を計測装置内で完結させることで、個人情報である顔画像のサーバーへの転送・蓄積による情報保護上のリスクを回避できるようにした。さらに様々な場面で計測を可能とするために小型化を図った。改良された装置は産総研顔表情データベース2017を用いて性能評価を行い、デイケアでパイロット・スタディーを実施した成果について学会発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「シームレスな認知機能改善のための新たなデイ活動プログラムの開発」に関しては、回想をベースにプログラムを作成しているが、これまで軽度認知障害や軽度認知症の人を対象に一部の試案について実施したパイロット・スタディーを基に、軽度認知障害、軽度および中等度の認知症の3つのレベルの試案を考案し、コンテンツ全体の約3分の2が完成した。 「自助グルーブで実施する社会的健康促進プログラム開発」では、認知症の人の社会参加活動の取り組み経験の無い1介護事業所(認知症対応型デイサービス)にヒアリング調査を実施し、これまでのヒアリング調査のデータと合わせて解析を行い、予備的な分析の段階まで終えることができた。 「家族会で実施する介護者の心理的サポート・ケアプログラムの開発」では、認知症の人の家族介護者への支援ニーズに関して行ったインターネット調査について、さらに詳細に分析を行い、それに基づくケア・プログラムの検討を継続的に行っている。また、認知症への心理的障壁を除去するために、パーソンセンタード・ランゲージ・ガイドラインについて調査を行った。結果からは、BPSD等の用語について、より具体的な表現を使用することの重要性が指摘されていた。 以上の分担研究に関しては、特に介護現場では、Covid-19の感染対策の点から調査・介入の受け入れが極端に制限されていたことにより研究がやや遅れている。 「介入で必要な新たな評価法の開発」に関しては、笑顔度の測定機器(SmileMeasure)の改良を行い、対象者の登録を行い対象者を特定して笑顔度を計測できるようになった。これにより複数の対象者の同時計測や、プライバシー保護のために対象者以外のサービス利用者を排除し計測することも可能になった。日常的な認知的活動や社会的活動の形成的評価に関しては、前年度は認知的活動尺度の試案を作成し、現場の職員等の意見をもとに改良を行った。
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今後の研究の推進方策 |
「シームレスな認知機能改善のための新たなデイ活動プログラムの開発」に関しては、前年度の取り組みをもとに認知機能のレベルに応じたプログラムの試案を完成させ、予備的な介入研究を開始する。 「自助グルーブで実施する社会的健康促進プログラム開発」では、これまで実施したヒアリング調査を総合的に分析し学会発表または投稿論文の形式での公表を目指す。また、全国的な調査研究を計画している。そして、それらの調査結果を通じ、地域特性に応じたプログラム開発の基盤データを得る。 「家族会で実施する介護者の心理的サポート・ケアプログラムの開発」では、BPSDへの対応の研修と家族のディストレス軽減や人生の展望等を組み合わせたプログラム(試案)を開発することを最終的な目標としている。今年度はこれまでのニーズ調査の結果についてさらに分析を進め、介護負担感等の関連要因に応じた、きめの細かいケアおよびサポート・プログラムのコンテンツの作成および試作版の試験的運用やその評価を実施していく。 「介入で必要な新たな評価法の開発」に関しては、笑顔度の計測に関しては、研究分担者の松田(産総研)、研究協力者の山田(筑波大)、西田(筑波大)への体制に変更を行ったうえで、これまで明らかにされた実際に現場で利用する際の問題点を踏まえ、測定プロトコルの現場での試行し、実際の使用に耐えるものに改良していく。日常的な認知的活動や社会的活動の形成的評価に関しては、専門家の意見を踏まえ、内容的妥当性を検討し実際に現場で試行する。この研究では研究協力者として、大庭輝氏(弘前大学)、鈴木則夫氏(滋賀県立総合病院)、扇澤史子氏(東京都長寿医療センター)に加わってもらう。また、グループホーム等の居住者のためのQOL尺度開発に関しては、研究協力者として大庭輝氏(弘前大学)、五十田莉菜氏(筑波大学附属病院)に加わってもらいさらなるデータ収集を行う。
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