研究課題/領域番号 |
23K20208
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補助金の研究課題番号 |
20H01797 (2020-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2020-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分11010:代数学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
大川 新之介 大阪大学, 大学院理学研究科, 准教授 (60646909)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2024年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2023年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2021年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2020年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
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キーワード | 非可換代数幾何学 / 導来圏 / 代数曲面 / 極小モデル理論 |
研究開始時の研究の概要 |
種々の数学的対象に対して(増強された)三角圏と呼ばれる加法的かつホモトピー的な圏が定まるが、これを通じて元の対象を研究するという視点・手法の重要性が認識されるようになってきた。このような研究を総称して非可換代数幾何学と呼ぶ。本研究ではこの分野の基礎付け、特に三角圏の分解について研究すると共に、ある種の代数曲面や3次元代数多様体の非可換変形について詳細な研究と分類を行った。
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研究実績の概要 |
今年度は、まず、中心上有限な非特異非可換代数曲面に関してEleonore Faber(Leeds大)、Colin Ingalls(Carleton大)、Matthew Satriano(Waterloo大)諸氏と研究した。その成果をarXiv:2206.13359として発表した(to appear in TAMS)。主結果は、上記のような非可換非特異代数曲面に対して非特異なArtin stackを構成する手続きを与え、その上の連接層のなすabel圏の1つの既約成分が非可換代数曲面上の連接層のabel圏と同値になることを証明したというものである。特にそのような非可換代数曲面がOrlovの意味のgeometric noncommutative schemeであることがわかった。 また、Colin Ingalls、Susan Sierra(Edinburgh大)、Michel Van den Bergh(Hasselt大)諸氏と非可換3次曲面について研究し、一般のR(1,3)型非可換3次元射影空間の3次曲面を非可換射影平面の6点爆発として記述することに成功した(論文準備中)。具体的には、非可換6点爆発にそのambient spaceとして得られる非可換3次元射影空間を対応させる対応をモジュライ空間の間の有理射として定義し、それが極めて初等的な2つの有理射の合成であることを証明した。前者は6次元のアーベル多様体になるが、その上にE6型のWeyl群が自然に作用しており、その商が重み付き射影空間P(1,1,1,2,2,2,3)となる。一方、後者のモジュライ空間は重み付き射影空間P(1,1,1,2,2,2)である。主結果は、重み付き射影空間の最後の座標を忘れる有理射と商射の合成が、上述の有理射に一致するというものである。主結果のフォーミュレーションを見出すまでが困難であったが、一度それがわかってからは、直線加群のHilbert schemeを利用する議論が比較的すぐに思いついたので解決することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
非可換代数曲面に関する上記の研究を論文として無事完成させることができた。また、長年取り組んでいた非可換3次曲面を非可換射影平面のblowupとして記述する研究にブレークスルーがあったことがとても大きく、他の次数の非可換del Pezzo曲面の射影幾何に関しても見通しが立った。特に、主定理のフォーミュレーションを見出すことに成功したのが大きかった。一方、論文発表までは至れなかったので、進捗状況の判断を上記のように判断した。
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今後の研究の推進方策 |
非可換3次曲面に関する研究成果を論文にまとめるのが最優先課題であるので、これに取り組む。半古典極限に関するものと非可換曲面に関するものの2本を準備中である。これに加えて、非可換del Pezzo曲面をAS正則代数として記述する研究も着実に進め、出来たところまでを細かく論文として発表していきたい。
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