研究課題/領域番号 |
23K20218
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補助金の研究課題番号 |
20H01809 (2020-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2020-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12010:基礎解析学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
石井 豊 九州大学, 数理学研究院, 教授 (20304727)
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研究分担者 |
小木曽 啓示 東京大学, 大学院数理科学研究科, 教授 (40224133)
上原 崇人 岡山大学, 環境生命自然科学学域, 准教授 (40613261)
宍倉 光広 京都大学, 理学研究科, 教授 (70192606)
荒井 迅 東京工業大学, 情報理工学院, 教授 (80362432)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
16,120千円 (直接経費: 12,400千円、間接経費: 3,720千円)
2024年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2023年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2022年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2020年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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キーワード | 複素力学系 / 複素へノン写像 / ジュリア集合 / モノドロミー / パラメータ空間 / Lipaの予想 / 双有理力学系 / マンデルブロー集合 / 繰り込み理論 / Yoccozパズル |
研究開始時の研究の概要 |
石井が主に記号力学系的側面と複素力学系的側面を担当し、荒井が主に計算機を 用いた数値実験で具体的なモノドロミー作用による記号空間の自己同型群の計算を担当する。以上 の計画遂行のため、石井と荒井は数回相互訪問して議論を行ない、各年に1回程度の海外出張 で最新の情報を収集する。また、複素局面上の力学系の力学系的じすうの分布について上原が先行的な数値実験を開始した。この点の理解を深めるために、数回相互訪問して議論を行なうための国内旅費が必要となる。
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研究実績の概要 |
本研究の目標は、複素 Henon 写像など複素2次元力学系の重要なクラスに対し、そのパラメータ空間を位相的・組み合わせ論的に記述することで、大域的な分岐 現象や対応する Julia 集合の性質を理解する点にある。そのための手法として、力学系の相空間とパラメータ空間との間に今まで知られて来なかった新しい対応 関係を構築することが鍵となる。 昨年度は、それまでに引き続いて Bedford-Smillie, Dujardin らの定理に基づき、連結でないジュリア集合をもつ複素へノン写像を数値的に(しかも厳密に)判定するアルゴリズムの開発とその高速化を行った。この結果は中部大学の荒井迅氏との共同研究であり、その証明には計算機による精度保証計算を本質 的に用いる。 また九州大学数理学研究院のポスドクである Thomas Richards 氏と共同で、複素1次元の2次多項式族に対して pseudo-monodromy の概念を定式化して、それが conspicuous な双曲成分のニーディング列で完全に特徴付けられることを証明した。この結果は、複素2次元のへノン写像族における Lipa の予想が1次元に退化した場合の解決を与えている。 さらに九州大学マスフォアイノベーション連係学府博士課程1年生の弘中祐希氏と共同で得られた、ホースシュー領域近くの実へノン写像の位相同値類をある記号力学系の特別な記号列の個数で特徴付けるという論文は、レフェリーによる査読を経て Ergodic Theory and Dynamical Systems に掲載されることが決まった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
上述のように、複素2次元のへノン写像族における Lipa の予想が1次元に退化した場合を解決したから。
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今後の研究の推進方策 |
連結でないジュリア集合をもつ複素へノン写像を数値的に(しかも厳密に)判定するアルゴリズムの開発については、以前としてさらなる高速化が必要である。そこで今後はさらに新しい数学的アイデアと組み合わせることによっ て、パラメータ空間を大域的にサーチ出来るようにアルゴリズムを改良したい。 また複素1次元の2次多項式族に対する Lipa の予想の解決については、この結果を herd という概念と結びつけることによって、本来の複素2次元における Lipa の予想の解決に繋げていきたい。
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