研究課題/領域番号 |
23K20228
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補助金の研究課題番号 |
20H01842 (2020-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2020-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13020:半導体、光物性および原子物理関連
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研究機関 | 大阪公立大学 (2022-2024) 大阪市立大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
竹内 宏光 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 准教授 (10587760)
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研究期間 (年度) |
2021-03-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2025年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
2024年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2021年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
2020年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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キーワード | 自発的対称性の破れ / 超流動 / 位相欠陥 / ネマティック量子流体 / 磁性量子流体 / スキルミオン / ボース・アインシュタイン凝縮 / 量子渦 / ネマチック量子流体 / 量子粘性 / 量子流体力学 / ドメイン壁 |
研究開始時の研究の概要 |
多彩な自発的対称性の破れが起こる系である多成分超流体では,その多自由度性に起因して外部形体の異なる様々な位相欠陥が実現することが実験的に確認されているが,その内部構造についてはあまり理解されていない.内部構造の違いは動的性質にも影響するため,内部構造を含めた位相欠陥の動力学の解明は,多成分超流体の量子流体力学と相転移動力学を研究する上で避けては通れない.本課題では,冷却原子気体スピノール・ボース・アインシュタイン凝縮体におけるあらゆる位相欠陥の内部状態およびその動的性質を系統的に調べ,量子流体力学と相転移動力学を融合した「量子転移動力学」という新しいパラダイムを生むための理論的な礎を築く.
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研究実績の概要 |
交付申請書に記載した課題[II]に関して,2023年度前期に思わぬ進展があったため,計画を大幅に変更して本課題を優先的に実施した.スピン1ボース・アインシュタイン凝縮体の強磁性相において,磁壁に平行なスピン流を印加することにより,流体力学で知られるケルビン・ヘルムホルツ不安性が発現し,渦スキルミオンが生成されることを以前の研究で示した.このようにして生成されるスキルミオンの多くは,半整数のトポロジカルチャージを持つ新種のスキルミオンであり,これはスピンテクスチャーに特異点を持つことで実現する. この物理現象の実験的観測に向けて,韓国の韓国科学技術院(KAIST)の実験・理論グループと国際共同研究を進めている.KAISTのグループとは研究打ち合わせを重ね,2024年度前期には論文を学術誌に投稿する予定である.まだ未発表の内容のため,これ以上の記載は差し控える.
また,この問題に関連して,整数の渦スキルミオンの基本的な挙動を調べるために,慣性質量(渦質量)をもつ量子渦の挙動について理論的な解析を行った.渦質量の問題は超流動に関する長年の未解決問題である.近年の冷却原子気体の実験技術の向上により,この効果を検証可能である.本研究ではこの効果を最大限引き出す方法を提案すると共に,既存の実験結果から渦質量を定量的に検証できることを明らかにした.得られた成果については2023年度末の学会で既に発表しており,2024年度前期には論文を学術誌に投稿予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
スピン1ボース・アインシュタイン凝縮体の強磁性におけるスキルミオンの理論予言が,本科研費研究の実施期間中に実験的検証が行えるようになるとは当初は思いもよらなかった.スキルミオンは素粒子物理の分野に由来する概念だが,物性物理の分野にも幅広く適用されている.古くは1970年代に発見された超流動3He中の織目構造に応用され,最近では新たな科学技術として注目を集めるスピントロニクス分野でも関心が高まっている.もし,予言された新種のスキルミオンが実験的に確かめられれば,物理業界に広く大きなインパクトを与えるであろう.この問題をきっかけに韓国のKAISTのグループと新たな共同研究も始まった.このように課題[II]に重点を置いたため,課題[I]と[III]については進展はあまりないが,総合的に判断すると想定以上の成果が得らえたと言える.
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今後の研究の推進方策 |
スピン1ボース・アインシュタイン凝縮体の強磁性相におけるスキルミオンの相図を解明する.それと同時にスキルミオンのダイナミクスについて渦質量の効果についても理論研究を実施する.
課題[II]を優先したことで2023年度にやり残した課題[I]と[III]について研究を再開する.課題[III]については,海外の研究者と共同で実施しているため,相手先に直接渡航して研究を加速させる.課題[I]については,2023年度の途中で中断した数値解析を再開させ,ポーラー相における外部回転下の渦格子構造の相図を作成する.
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