研究課題/領域番号 |
23K20247
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補助金の研究課題番号 |
20H02023 (2020-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2020-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分18010:材料力学および機械材料関連
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
前田 知貴 茨城大学, 応用理工学野, 助教 (00754730)
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研究分担者 |
堀田 篤 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (30407142)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,070千円 (直接経費: 13,900千円、間接経費: 4,170千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2020年度: 9,750千円 (直接経費: 7,500千円、間接経費: 2,250千円)
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キーワード | 重水素化ポリマ / ナノ複合材料 / 中性子散乱 / 構造解析 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、ポリマ分子鎖内の水素Hを重水素Dに置換した重水素化ポリマに注目し、中性子散乱による多成分系ナノ複合材料の精密構造解析の実現に向けた基盤研究を実施する。具体的な研究内容は、ポリマ分子鎖内の軽水素Hと重水素Dの比を制御した重水素化ポリマを合成し、この重水素化ポリマを用いてナノ複合材料を作製し、中性子散乱による構造解析を実施することである。最終的に、多成分系ナノ複合材料の構造解析を目指す。重水素化ポリマを用いた中性子散乱による構造解析の基盤技術を確立し、重水素化ポリマおよびナノ複合材料に関する先駆的研究を実施する。
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研究実績の概要 |
本研究では、ポリマ分子鎖内の軽水素Hを重水素Dに置換した重水素化ポリマに着目し、中性子散乱におけるコントラストの制御により、多成分系ナノ複合材料の構造解析の実現に向けた基盤研究を実施している。具体的な研究内容は、ポリマ分子鎖内の軽水素Hを重水素Dに置換した重水素化ポリマを合成し、この重水素化ポリマを用いてナノ複合材料を作製し、中性子散乱による構造解析を実施することである。 当該年度においては、昨年度に引き続き、重水素化率(軽水素Hと重水素Dの総数に対する重水素Dの割合)が制御された重水素化ポリマの合成を実施し、ナノ複合材料の作製、中性子散乱による構造解析を見据えて、重水素化ポリマの種類を拡大した。あわせて、中性子散乱測定、溶媒への溶解性評価を実施した。 重水素化ポリマの合成では、主に、エステル交換反応により、ポリマを重水素化ポリマに変換する方法を用いた。結果として、ポリマと重水素化アルコールの混合比を制御することで、重水素化率が制御された重水素化ポリマが得られた。 重水素化率が制御された重水素化ポリマの中性子散乱測定では、軽水素Hの数密度に比例する非干渉性散乱の強度が重水素化率に応じて変化すること、重水素Dの導入に起因する干渉性散乱が生じないことが確認された。 重水素化率が制御された重水素化ポリマの溶媒への溶解性評価では、(重水素化前の)ポリマと重水素化ポリマに顕著な差がないことが確認された。 以上より、重水素化率が制御された重水素化ポリマの合成技術を確立するとともに、ナノ複合材料の作製、中性子散乱による構造解析を見据えて、重水素化ポリマの種類を拡大することができた。あわせて、重水素化ポリマを活用した多成分系ナノ複合材料の構造解析において必要となる基礎データを取得することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ポリマ分子鎖内の軽水素Hを重水素Dに置換した重水素化ポリマを合成し、この重水素化ポリマを用いてナノ複合材料を作製し、中性子散乱による構造解析を実施するにあたり、研究計画目標においては、重水素化率が制御された重水素化ポリマの合成を実施し、ナノ複合材料の作製、中性子散乱による構造解析を見据えて、重水素化ポリマの種類を拡大するとともに、重水素化ポリマを活用した多成分系ナノ複合材料の構造解析において必要となる基礎データを取得する、としていた。そこで、主に、エステル交換反応により、重水素化率が制御された重水素化ポリマを合成し、中性子散乱測定、溶媒への溶解性評価を実施してきた。その結果、ポリマと重水素化アルコールの混合比を制御することで、重水素化率が制御された重水素化ポリマが得られた。また、重水素Dの導入に起因する干渉性散乱が生じないことや、重水素化の前後で、溶媒への溶解性に顕著な差がないことが確認された。 このことより、本研究の3要素(「重水素化ポリマの合成」、「ナノ複合材料の作製」、「中性子散乱による構造解析」)のうちの1つである「重水素化ポリマの合成」に関する技術を確立することができた。特に、「ナノ複合材料の作製」、「中性子散乱による構造解析」を見据えて、重水素化ポリマの種類を拡大することができ、残りの2要素「ナノ複合材料の作製」および「中性子散乱による構造解析」の実現可能性が高まったといえる。以上より、重水素化率が制御された重水素化ポリマの合成技術の確立により、重水素化ポリマを活用した多成分系ナノ複合材料の構造解析に向けて、おおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度に引き続き、ナノ複合材料の作製および中性子散乱による構造解析に向けて、重水素化するモノマおよびポリマの種類を拡大し、重水素化率が制御された重水素化ポリマの合成に取り組む。具体的には、軽水素Hを重水素Dに交換する反応(H/D交換反応)またはエステル交換反応により、重水素化率が制御された重水素化ポリマの合成を実施する。さらに、重水素化ポリマの中性子散乱測定や物性評価を実施することで、重水素化ポリマを活用した多成分系ナノ複合材料の構造解析において必要となる基礎データを取得する。 重水素化率が制御された重水素化ポリマの合成では、(1)H/D交換反応等により、市販モノマを重水素化モノマに変換し、これらのモノマを重合する方法、(2)H/D交換反応等により、市販ポリマを重水素化ポリマに変換する方法、(3)エステル交換反応により、市販ポリマを重水素化ポリマに変換する方法、の3つの方法を用いる。重水素化ポリマの種類に関しては,ポリアクリレート、ポリメタクリレートに着目し、分子量に関しては、ナノ複合材料の作製に向けて、10000 g/mol程度からより高分子量側にシフトする。 重水素化ポリマの中性子散乱測定では、軽水素Hの数密度に比例する非干渉性散乱の強度に着目し、重水素化率を評価するとともに、重水素の導入に起因する干渉性散乱の有無を評価する。 重水素化ポリマの物性評価では、熱物性の評価、力学物性の評価、溶媒への溶解性の評価を実施する。 上記に加えて、合成した重水素化ポリマを用いて、ナノ複合材料の作製にも取り組む。一例として、ナノ粒子を分散材に、重水素化ポリマを母材に用いて、溶媒キャストまたは加熱圧縮による方法で、ナノ複合材料を作製する。
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