研究課題/領域番号 |
23K20248
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補助金の研究課題番号 |
20H02035 (2020-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2020-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分18010:材料力学および機械材料関連
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
坂田 誠一郎 近畿大学, 理工学部, 教授 (80325042)
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研究分担者 |
新井 悠希 近畿大学, 理工学部, 助教 (50980166)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,720千円 (直接経費: 14,400千円、間接経費: 4,320千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 16,380千円 (直接経費: 12,600千円、間接経費: 3,780千円)
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キーワード | 複合材料 / マルチスケール確率応力解析 / 材料強度推定 / 不確実性伝播 / 不均質材料 / 三次元造形材料 / 強度推定 / ランダムフィールドモデリング / 等価弾性率推定 / 多孔質材料 / 材料強度 / 不確定性伝播 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,三次元プリンタで作製された材料や複合材料などの,比較的新しく挙動が複雑な対象物について,材料の変形のしにくさや壊れにくさを数値シミュレーションを用いて精度良く推定することを目指す.特に,それらの材料の内部は複雑かつランダムであることに注目し,効率的な特性推定手法を開発するとともに,実際の材料内部の幾何学的特徴を非破壊で調査し,それに基づく数値シミュレーションと実験との比較により手法の妥当性を検証する.将来的には,不均質材料内部の複雑さとランダム性を考慮した新たな力学体系の発展につなげることを目標としている.
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研究実績の概要 |
当該年度に実施した研究は、主に複合材料およびFDM法を用いて作成した樹脂部材について、内在する幾何学的不確定性を2次元的または3次元的な微視的観察を経た画像処理等を援用したランダムフィールドモデリングによりモデル化するこれまでの成果を援用し、確率均質化およびマルチスケール確率応力解析に適用してその有用性を調査したことである。特に、それに基づく複合材料の微視的な破壊進展状況を考慮した局所的強度のランダムフィールドモデリングを実施し、実試験片内の局所的強度の確率特性を調査した。 これらについて、実材料内で存在する幾何学的不確定性をモデル化し、数値解析に援用したことは初めての試みであると共に、それを用いた局所強度評価やそのモデリングは、本研究課題遂行の上で中心的な成果につながると考えられる。 当該内容で得た知見は、これまで複数の著名な国際会議で口頭発表行ったことに加え、本研究の狙いの一つとしていた、不均質材料の微視的ランダムフィールドモデリングの先導的研究者であるStefanou教授との共同研究に発展し本課題採択を起点としたあらたな国際共同研究となり、、オンラインでの議論に加え、昨年度対面で開催された応用科学に関する計算手法の欧州会議(ECCOMAS2022)での対面議論を経て実際にElsevierの英文論文誌に共著で成果を公表するなど、当初目標とした国際共同研究による成果につながっている。 また、FDM部材についても三次元的な微視的構造計測およびそのランダムフィールドモデリングとそれを用いた確率均質化解析について一定の成果を得ており、その一部は昨年度国際会議等で口頭発表しているが、本年度もさらなる進展を国際会議で発表する。 これらの内容については、Stefanou教授の共同研究として引き続き議論を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請時の研究計画においては、昨年度までに(1)三次元非破壊ランダムフィールドモデリング、(2)マルチスケール確率解析および(3)実験・妥当性検証の各項目について計画を示している。(1)については、昨年度までに、不均質材料の微視構造の実測に基づく二次元及び三次元ランダムフィールドモデリングの実施および自動化を目標としており、一部内部構造が非常に密な場合については微視構造の幾何学的特徴量の抽出が難しい点があるが、それ以外については順調に実施できている。昨年度まででは主にFDM材を対象とする予定であったが、それに加え一方向繊維強化複合材料についても実施できた。(2)については、昨年度までにFDM材について(1)を考慮した解析を実施する計画であり、計画通りに進捗しその成果を昨年度のWCCM等の国際会議発表した。また、さらなる進捗について今年度のUNCECOMPでの発表を予定しており、論文も執筆中である。また、あわせて確率応力解析や強度評価のための基礎検討も行っている。(3)については、昨年度までにFDM材についての実験データ(見かけの弾性率、強度)を予定通り取得し、特に見かけの弾性率については誤差評価も行い妥当性検証を行った。FDM材については強度に係る実験データは取得済みであり、今後解析との比較により妥当性検証を進める。また、複合材料についても一部先んじて実験データ取得を試み、特に比較的少数の介在物がある場合について、解析と実験の比較を研究計画に先駆けて実施している。 以上から、一部想定外の困難な点は生じているが、計画より進んでいる点も有り、進捗状況については総合して概ね順調に進展しているとの自己点検に基づく評価とした。
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今後の研究の推進方策 |
前述の通り、本研究課題については順調に進捗している一方で、当初の目標としていた不均質材料の強度評価のうち、特に複合材料の微視的破壊挙動解析については、従来の有限要素法や重合メッシュ法などの解析では期待した結果が十分に得られているとは言えない。この点について、近年提案された手法などについても基礎的な検討を行っていたところ、Peridyamicsによる解析の有用性が期待できることとなったため、当該研究で成果を上げている研究者に新たに本課題に参画いただき、協調して研究を進める方針である。 また、FDM部材の強度推定については、微視的な変形応力状態と見かけの応力ひずみ関係の対応などを明らかにしつつ、本課題で目標としている不均質材料の見かけの特性の定量的推定につなげたいと考えている。 これらについては、本年度も引き続き国際共同研究として進めるべく、Stefanou教授と既に相談を開始している。特に、本研究課題の主題である不均質材料のランダム場を考慮した材料強度推定法について、目処が立てられるように進める方針である。
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