研究課題/領域番号 |
23K20253
|
補助金の研究課題番号 |
20H02139 (2020-2023)
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2020-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21010:電力工学関連
|
研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
小倉 政彦 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 主任研究員 (80356716)
|
研究分担者 |
西村 智朗 法政大学, イオンビーム工学研究所, 教授 (80388149)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2024年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2021年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2020年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
|
キーワード | イオン注入 / パワーデバイス / ダイヤモンド / 伝導性制御 / 半導体 / デバイスプロセス / pn接合 / MOSFET / ホッピング伝導 |
研究開始時の研究の概要 |
ダイヤモンドは低損失で耐環境な次世代パワーデバイスの材料として嘱望されているが、デバイスプロセスに不可欠なイオン注入技術の適用が難しいとされてきた。本研究では、ホッピング伝導を有する高濃度ドーパント領域作製にイオン注入技術を適用を活用することによりこの問題を解決するというコンセプトのもと、必要な技術を構築するために、モチーフデバイス作製・特性評価等を通して課題を洗い出し、フィードバック・最適化を行う。
|
研究実績の概要 |
ダイヤモンドは低損失で耐環境な次々世代パワーデバイスの材料として嘱望されているが、デバイスプロセスに不可欠なイオン注入技術の適用が、照射欠陥やグラファイト化に起因する問題が解決できていないために難しいとされてきた。イオン注入プロセスは添加する元素の濃度分布を容易に制御することができ、デザインフレキシビリティの点で非常に有利であるため、ダイヤモンドのデバイスプロセスに適用できれば大きなブレークスルーとなる。本研究ではダイヤモンドのデバイスプロセスにイオン注入プロセスを適用させるために必要な技術を構築する。そのためには、Siなどで行われているように、キャリア活性層たる母体層のリンドープn型層にホウ素をイオン注入することで局所的にp型に転換させ、更にそのp型領域とn型領域による接合がpn接合として機能する必要がある。 本年度の大きな成果は、母体のn型層とこのイオン注入によるp型への転換層を用いたMOS構造が、ノーマリーオフのFET(電界効果トランジスタ)として動作したことである(ダイヤモンドでは世界初)。即ち、ソース-ドレイン間が電圧印加により電流の飽和特性が見られ、飽和電流がゲート電圧に依存した。ここに、イオン注入はフォトリソグラフィーとリフトオフを用いてTiにて選択的にマスクを施して微小領域(数10μmの領域)に注入した(前年度までの成果を利用)。なおこのMOSFETは、飽和電流レベルがCVD薄膜成長とエッチングを用いて作製された従来の素子に比べて5桁も小さいなど、解決するべき課題がある。前年度までのpn接合での大きな直列抵抗と共通の課題もあると考えられ、今後メカニズムを明らかにして大きく改善したい。また欠陥の制御、ドーパント濃度分布のより高度な制御を目的としてダイヤモンドへのチャネリングイオン注入の検討も進め、国際学会で発表を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
ダイヤモンドに於いて、選択的イオン注入によるp型転換層を用いたMOSFETのFET動作に、世界で初めて成功した。抵抗が大きいという解決すべき課題があるものの、通常の半導体プロセスで用いられる選択的イオン注入を用いたMOSFET作製プロセスがダイヤモンドにも適用できることを実証することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
ダイヤモンドに於いて、選択領域へのイオン注入によるMOSFET構造を試作してFET飽和特性が得られたものの、選択成長やエッチングなどを駆使した非イオン注入プロセスに比べてまだ5桁ほどON時の抵抗が大きい。原因はまだ明らかではないものの、pn接合ダイオードの順方向の抵抗が大きいことと共通の課題があるのではないかと推量される。イオン注入元素濃度のピークの深さ以外の、イオン注入p型層と母体n型層の間の領域に着目し、デバイス作製のためのp型転換層を生成するイオン注入の条件の最適化を目指す。
|