研究課題/領域番号 |
23K20257
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補助金の研究課題番号 |
20H02245 (2020-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2020-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分22030:地盤工学関連
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
小高 猛司 名城大学, 理工学部, 教授 (00252271)
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研究分担者 |
安原 一哉 茨城大学, 地球・地域環境共創機構, 特命研究員 (20069826)
森口 周二 東北大学, 災害科学国際研究所, 准教授 (20447527)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2024年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2023年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2022年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2021年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2020年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
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キーワード | 細粒土 / 人工地盤 / 液状化 / 盛土 / 浸透破壊 / 河川堤防 / 火山灰質土 / 浸透 / 地震 / 三軸試験 / 一面せん断試験 / 細粒分 / 一面せん断 |
研究開始時の研究の概要 |
細粒分を多く含む細粒土は,土質工学上では粘性土と分類され,粘着力に起因する非排水せん断強度を用いて設計や照査が実施される場合が多い。本研究では,細粒分が多いだけで力学特性は粘性土とは異なる「粘土もどき細粒土」があることに着目し,特に浸潤時や地震時には急激な強度低下を引き起こす現象を解明し,粘土もどき細粒土の適正な強度評価法を構築するとともに,粘土もどき細粒土で構成されている河川堤防や盛土などの訂正な設計法,照査法,補強法を提案する。
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研究実績の概要 |
本研究では,細粒分が多いだけで力学特性は粘性土とは異なる「粘土もどき細粒土」で構成される細粒土人工地盤を対象として,主に豪雨時の浸透に伴う崩壊と地震時の崩壊の2つの崩壊を主眼として,その崩壊メカニズムの解明と予測法の開発を目的とした研究を進めてきている。研究3年目にあたる令和4年度に実施した成果は以下の通りである。 細粒土が卓越する河川堤防の人工盛土を検討対象とし,福井県の九頭竜川堤防ならびに愛知県の半場川堤防にて地盤調査ならびに試験試料のサンプリングを実施した。現場では現地の盛土の締固め度を正確に評価する為に水置換法による現場密度試験を実施するとともに,現場透水試験も実施し,細粒土盛土の正確な飽和透水係数を求めることを試みた。さらに,採取した不攪乱供試体ならびに再構成供試体を用いた三軸試験を実施した。 一方,2021年7月に発生した熱海土石流災害を引き起こした逢初川源頭部に残置された盛土から採取した細粒土について,現地密度で再構成した供試体を用いた三軸試験によって,その力学特性を評価した。具体的には,通常の三軸圧縮試験によって,典型的なゆる詰め構造の土の挙動を呈することが明らかになったとともに,吸水軟化試験によって,地下水浸透に伴う弱化が進行し,やがて泥土化することが示された。さらに,火山灰質土の盛土材料の浸透条件下の崩壊危険度を検討するために,三軸試験ならびに吸水軟化試験を実施し,細粒土盛土の力学特性のデータの蓄積を行った。 堤防浸透模型実験を前年度に引き続き実施し,浸透すべり破壊のメカニズムの解明とともに,すべり破壊の防止対策法を提案した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3ヶ年にわたり,コロナ禍における活動制限の影響も受けてきたが,今年度は現地調査を2回に実施することができ,細粒土の試料採取や現地試験によるデータの蓄積を進めることができている。また,熱海土石流災害を実際に引き起こした盛土による室内試験の結果により,浸透時に細粒土地盤の強度が低下し,崩壊に繋がるメカニズムを実際に解明することもできた。また,堤防浸透模型実験による流動破壊の実験データの蓄積も進み,研究代表者が提案する基盤排水工による浸透時のすべり破壊を防止する対策工法の力学的な合理性の確認も完了した。さらに,浸透に伴う崩壊現象のシミュレーション手法の構築も進んでいる。比較対象となる浸透や地震によって強度低下が発生しない本当の粘性土についての実験データの整理も概ね完了した。
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今後の研究の推進方策 |
概ね順調に研究が進行しており,前年度に引き続いて各種の実験的研究を進める。前年度実施した九頭竜川堤防ならびに半場川堤防で採取した試験試料を用いた室内試験を引き続き実施して,細粒土堤体土の実験データの蓄積を行うとともに,令和5年度も現地にて試料採取を実施し,粘土もどき細粒土の浸透時の脆弱化のメカニズムを引き続き明らかにしていく。 さらに,浸透すべり崩壊とそれに伴う流動破壊現象の解析手法の開発を進めるために,従来進めてきた模型堤防実験を継続するとともに,前年度実施できなかった斜面崩壊の模型実験も実施し,流動崩壊のデータの定量的な計測を試みる。
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