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宇宙活動の長期的持続可能性に向けた未知宇宙ごみの探索に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 23K20265
補助金の研究課題番号 20H02355 (2020-2023)
研究種目

基盤研究(B)

配分区分基金 (2024)
補助金 (2020-2023)
応募区分一般
審査区分 小区分24010:航空宇宙工学関連
研究機関九州大学

研究代表者

花田 俊也  九州大学, 工学研究院, 教授 (30264089)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2024年度)
配分額 *注記
14,170千円 (直接経費: 10,900千円、間接経費: 3,270千円)
2024年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2021年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2020年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
キーワード宇宙活動 / 長期的持続可能性 / 宇宙ごみ / 光学観測 / 持続可能性 / スペースデブリ
研究開始時の研究の概要

内部エネルギーの解放に起因する破砕は余剰燃料が爆発するロケット上段機体だけでなく、充電池が破裂する人工衛星でも発生する。ロケット上段機体の爆発破砕と人工衛星の破裂破砕とでは、発生する破片の物理特性が異なると考えられるが、前者の数学モデルしか存在しない。本研究では人工衛星の縮尺模型を用いて実験・分析することで、発生する破片の物理特性を記述する数学モデルを新たに提案する。さらに、この数学モデルを実際に充電池が破裂した人工衛星に適用し、観測と比較することで数学モデルを改良する。

研究実績の概要

ロシア放送衛星EKRAN 2(国際標識77092A)の充電池破裂破砕は,衛星本体内部に配置された充電池が破裂したことで発生したガス・破片等が衛星本体を内部から完全に破壊したと考えるよりは,衛星本体外部に配置された充電池が破裂したことで発生したガス・破片等が衛星本体を外部から推したために付属物が衛星本体から分離したと考えるのが妥当であることがわかった.このロシア放送衛星EKRAN 2の破壊モードをアメリカ航空宇宙局の標準破砕モデルおよび欧州宇宙機関の改良版破砕モデルに制約(破片のサイズを1 m以上に限定、また、単一の正規分布で記述されている破片の面積質量比→破片の放出速度の信頼区間を68.2%に制約)を付加する形で反映した。実際にロシア放送衛星EKRAN 2の充電池破裂破砕に適用し、研究代表者が保有するペガスス天体観測室向けに観測計画を立案し、ロシア放送衛星EKRAN 2の破片を探索したが、静止軌道近傍の人工物は何も撮像されなかった。
また、構築した破砕モデルを東京大学木曽観測所シュミット望遠鏡用モザイクCMOSカメラによる可視光広視野動画サーベイ(トモエゴゼン)のデータの中で、ロシア放送衛星EKRAN 2の破片が撮像された日にも適用して観測計画を立案し、比較・検証した.ロシア放送衛星EKRAN 2の破片が撮像された座標は計画と一致するものの撮像された時刻は計画と一致しなかった。
以上のことから、ロシア放送衛星EKRAN 2の充電池破裂破砕は比較的規模が小さく、破片の数が極めて少ないので、破片の存在量を時間平均する本研究課題の提案手法では適切に観測計画を立案できなかったと結論づけた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

ロシア放送衛星EKRAN 2(国際標識77092A)の充電池破裂破砕を人工衛星の縮尺模型内部にロシア放送衛星EKRAN 2の充電池が破裂した際のエネルギーに等価な爆薬を配置し、再現を試みた結果、衛星模型は完全に破壊され、比較的多くの破片を放出した。一方、ロシア放送衛星EKRAN 2の充電池破裂破砕で発生した破片の数、レーダー断面積と軌道履歴から、ロシア放送衛星EKRAN 2本体の外側に配置された充電池が破裂したことで,充電池から発生したガス・破片等が衛星本体を推したために付属物(アンテナや太陽電池パドル)が衛星本体から分離したと仮設した。仮説を検証するため、追加で、人工衛星の縮尺模型外部にロシア放送衛星EKRAN 2の充電池が破裂した際のエネルギーに等価な爆薬を配置し、再現を試みた結果、衛星模型は部分的に破壊され、比較的少ない破片を放出した。仮説をアメリカ航空宇宙局標準破砕モデルに制約を付加する形で反映し、ロシア放送衛星EKRAN 2の破片を探索する計画を立案するも検出できなかった。
東京大学木曽観測所シュミット望遠鏡用モザイクCMOSカメラによる可視光広視野動画サーベイ(トモエゴゼン)のデータを利用して、ロシア放送衛星EKRAN 2の破片を探索する計画を検証したが、トモエゴゼンがロシア放送衛星EKRAN 2の破砕を撮像した座標は計画と一致したが、トモエゴゼンが撮像した時刻は計画と一致しなかった。別件で、ロシア放送衛星EKRAN 2と関連づけられた物体の半数がUCT(Uncorrelated Target)で、国際標識1977-092J(ロシア放送衛星EKRAN 2の破片の一つ)と関連づけられた物体の3分の2がUCTであることがわかったので、再検証が必要となった。

今後の研究の推進方策

昨年度に続き、ロシア放送衛星EKRAN 2の破壊モード(衛星本体内部に配置された充電池が破裂したことで発生したガス・破片等が衛星本体を内部から完全に破壊したと考えるよりは,衛星本体外側に配置された充電池が破裂したことで発生したガス・破片等が衛星本体を外部から推したために付属物が衛星本体から分離したと考えるのが妥当であること)を検証するために、研究代表者が保有するペガスス天体観測室を使用してロシア放送衛星EKRAN 2の本体と破片の観測を続け、データを蓄積することに専念する。昨年度までの観測によって、ロシア放送衛星EKRAN 2の本体・破片は露光時間2秒の間でも著しく変光していることがわかったので、動画を撮影するために口径8インチ、絞りf/2.0の明るい鏡筒を別途導入して、光度曲線の取得にも努める。また、ロシア放送衛星EKRAN 2と同じバスを有するEKRANシリーズ17機も同様の破壊モードで破砕している可能性があり、その場合はロシア放送衛星EKRAN 2の本体・破片と同様の変光・光度曲線が得られるかもしれない。逆に、破砕していない場合は正常な形状での変光・光度曲線を得ることができる。そのため、これらを観測し、変光と光度曲線をEKRAN2の本体・破片と比較・検証する。さらに、東京大学木曽観測所シュミット望遠鏡用モザイクCMOSカメラによる可視光広視野動画サーベイ(トモエゴゼン)のデータとペガスス天体観測室での観測とを比較・検証する。最後に、破砕事象ごとの差異(破砕デブリの起源に対する軌道周期や軌道傾斜角の変化量など)を表すパラメータを組み込むことができる階層ベイズモデルに基づいて、ロシア放送衛星EKRAN 2の破壊モードを記述できるようにNASA標準破砕モデルを拡張できないか検討する。

報告書

(4件)
  • 2023 実績報告書
  • 2022 実績報告書
  • 2021 実績報告書
  • 2020 実績報告書
  • 研究成果

    (10件)

すべて 2023 2022 2021

すべて 学会発表 (10件) (うち国際学会 3件)

  • [学会発表] Investigation into Fragmentation of the Russian EKRAN 2 Spacecraft2023

    • 著者名/発表者名
      Nagisa INOKUCHI, Hidehiro HATA, Kumi NITTA, and Toshiya HANADA
    • 学会等名
      The 34th International Symposium on Space Technology and Science, Kurume-Fukuoka, June 3-9, 2023
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] ロシア放送衛星EKRAN 2破砕破片の光学観測とその考察2023

    • 著者名/発表者名
      奥平清明,花田俊也,中島健介,吉村康広
    • 学会等名
      日本航空宇宙学会西部支部講演会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] Tomo-e Gozenの観測データからみる静止軌道帯の宇宙デブリ環境2022

    • 著者名/発表者名
      高橋雄文
    • 学会等名
      第66回宇宙科学技術連合講演会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] 模擬人工衛星の爆発破砕実験方法に関する基礎研究2022

    • 著者名/発表者名
      井ノ口凪紗
    • 学会等名
      第66回宇宙科学技術連合講演会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] ロシア放送衛星 EKRAN 2の破壊モードについて2022

    • 著者名/発表者名
      花田俊也
    • 学会等名
      日本航空宇宙学会西部支部講演会(2022)
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] 内部爆発エネルギーによる衛星破壊への影響評価2022

    • 著者名/発表者名
      波多英寛
    • 学会等名
      日本航空宇宙学会西部支部講演会(2022)
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] 模擬衛星を用いた爆発源位置による影響評価と実例による考察2022

    • 著者名/発表者名
      波多英寛
    • 学会等名
      第10回JAXAスペースデブリワークショップ
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] BATTERY EXPLOSION FRAGMENTATION TEST OF A MOCK-UP SATELLITE2022

    • 著者名/発表者名
      Nagisa INOKUCHI
    • 学会等名
      Hypervelocity Impact Symposium 2022
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] Analysis of Orbit Propagation Error2022

    • 著者名/発表者名
      Kazunobu Takahashi
    • 学会等名
      The 33rd International Symposium on Space Technology and Science
    • 関連する報告書
      2021 実績報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] 地球影の再現性が軌道計算に与える影響2021

    • 著者名/発表者名
      高橋雄文
    • 学会等名
      第65回宇宙科学技術連合講演会
    • 関連する報告書
      2021 実績報告書

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公開日: 2020-04-28   更新日: 2024-12-25  

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