研究課題/領域番号 |
23K20274
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補助金の研究課題番号 |
20H02638 (2020-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2020-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分30010:結晶工学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
Lee HeunTae 大阪大学, 大学院工学研究科, 講師 (90643297)
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研究分担者 |
Dino Wilson 大阪大学, 大学院工学研究科, 准教授 (60379146)
長久保 白 大阪大学, 大学院工学研究科, 助教 (70751113)
伊庭野 健造 大阪大学, 大学院工学研究科, 助教 (80647470)
佐藤 仁 広島大学, 放射光科学研究センター, 准教授 (90243550)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2021年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2020年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
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キーワード | ベータタングステン / 薄膜 / プラズマ / 第一原理計算 / 光電子分光 / 電子状態 / 弾性定数 / スパッタリング / beta tungsten / sputtering / plasma / electronic properties / elastic properties |
研究開始時の研究の概要 |
Recently, we have synthesized highly dense and pure beta tungsten (β-W) thin films of A15 structure - an important quantum material due to its giant spin Hall effect. Here, we elucidate the physical processes behind the synthesis of such high quality β-W films, by clarifying the role of particle kinetics, impurities, and defects by combined experimental and theoretical approaches. We clarify the relationship between synthesis conditions with β-W quantum properties, and apply such understanding to achieve breakthrough in synthesizing other novel quantum materials of A15 structure.
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研究実績の概要 |
本研究は粒子の挙動、不純物、欠陥が、スパッタ法により成膜されたベータタングステン(β-W)とA15構造を持つ薄膜の生成メカニズム及び機械的電子的特性に及ぼす影響を明らかにすることが目的である。令和5年度は不純物の影響に着目し, 研究実績は下記のとおりである。 1) 第一原理計算を用いて、β-Wとbcc構造W中の不純物(酸素、水素、ヘリウム)が構造の安定性及び電子状態に及ぼす影響を明らかにした。その結果を論文化した。2) 巨大なスピンホール効果が予想されているA15構造を持つタングステン-タンタル(W-Ta)とタングステン-レニウム(W-Re)成膜プロセスの確立に成功した。ただし, Ta,ReとWの組成率が約1%以上増加すると、A15構造が不安定になることが分かった。3) 不純物(水素、ヘリウム)がW-ReとW-Ta合金に及ぼす影響を実験的に調べた。その結果, 純Wと比べ大きな違いはなかった。また、不純物(He)による表面変化の応用技術を検討した。4) 不純物(水素)が機械的特性に及ぼす影響を実験的に調べた。水素がタングステン中に吸蔵されることで強度が低下する効果を定量的に解明した。また, 水素脆化より生じる亀裂発生に起因するアコースティック・エミッション(AE)信号の機械学習分類モデルの構築に成功した。5) レーザー誘起蛍光法計測システムを改良し、シグナルノイズ比を10倍増加することで、より精密なプラズマ中のW粒子の速度分布測定が可能になった。(粒子の挙動)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は粒子の挙動、不純物、欠陥が、スパッタ法により成膜されたベータタングステン(β-W)薄膜の生成メカニズム及び機械的電子的特性に及ぼす影響を明らかにすることを、目的としている。以下の点で当初の想定通り計画が進んでいるため、上記のように進捗状況を判断した。 ○不純物(酸素、水素、ヘリウム )が構造の安定性及び電子状態に及ぼす影響を明らかにしたため。 ○水素がタングステン強度に及ぼす影響を明らかにしており、加えて計算から強度の低下も定量的に評価したため。 ○A15構造を持つW-TaとW-Re成膜プロセスの確立に成功したため。 ○レーザー誘起蛍光法計測システムの改良に成功したため。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策としては、以下の様に考えている。 1)レーザー誘起蛍光法を用いて成膜時のタングステン中性粒子速度分布の計測を引き続き行い、β-W薄膜の生成メカニズムを明らかにする。さらに、スパッタされたタングステン粒子の挙動がベータタングステン薄膜の生成メカニズム及び機械的電子的特性に及ぼす影響について、得られた結果を取りまとめ学会発表を行う。 2)大きなスピンホール効果を示す新たなA15構造物質の合成にチャレンジする(W-Ta, W-Re化合物等)。また、第一原理計算を用いて不純物と欠陥が構造の安定性に及ぼす影響を明らかにする。薄膜の電子的特性は光電子分光法を用いて評価する。機械的特性はピコ秒超音波法を用いて評価する。
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