研究課題/領域番号 |
23K20275
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補助金の研究課題番号 |
20H02719 (2020-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2020-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分33010:構造有機化学および物理有機化学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
鈴木 孝紀 北海道大学, 理学研究院, 教授 (70202132)
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研究分担者 |
石垣 侑祐 北海道大学, 理学研究院, 准教授 (60776475)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2024年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2023年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2022年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2021年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2020年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
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キーワード | バイオイメージング / エレクトロクロミズム / 近赤外光 / ジカチオン / 酸化還元 / 動的酸化還元系 / 近赤外色素 / 光線力学療法 / 近赤外 / イメージング / 動的酸化還元 / バイオプローブ |
研究開始時の研究の概要 |
生体内には様々な酸化還元活性な分子が存在する。それらの分子の局在と濃度を非侵襲的かつリアルタイムでイメージングする方法の開発は、病理学/医学の分野へと応用の期待される新技術となる。電位の入力によって近赤外光領域の非常に大きな吸収体のON/OFFが可能な有機エレクトロクロミック物質を利用し、肝炎や癌などの様々な疾患との関わりの深い硫化水素H2Sをイメージングできる方法論の開発を行う。特により大きなシグナル/バックグランド比を持つことで、更に鮮明なイメージが得られるような工夫が必要であるため、より長波長の吸収を持ち、より迅速にH2Sと反応する有機エレクトロクロミック物質を開発する。
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研究実績の概要 |
生体内での硫化水素の局在と濃度を非侵襲的かつリアルタイムでイメージングする方法の開発は、病理学/医学の分野へと応用の期待される新技術となる。応募者らはこれまで、電位の入力によって近赤外(NIR)光領域の非常に大きな吸収体のON/OFFが可能な有機エレクトロクロミック物質を利用し、肝炎や癌などの様々な疾患との関わりの深い硫化水素をイメージングできる方法論の開発を行ってきた。今年度は、硫化水素はガス療法に有望であることが示されている点に注目し、硫化水素が腫瘍微小環境に影響を及ぼして強力な抗腫瘍免疫を誘導できるかどうかについては、依然として議論の余地があった。そこで本研究では、腫瘍を標的とし、腫瘍微小環境に応答性を示す新たな脂質ナノ粒子を開発した。これは、腫瘍組織特異的に硫化水素をデリバリーして組織内で放出することができる機能を持ち、光力学免疫療法も可能である。 新規ナノ粒子は、酸性の腫瘍微小環境中で pHに応じた硫化水素の一気放出を可能にし、粒子中の有機エレクトロクロミック材料を即座に還元する。その結果、近赤外蛍光と光線力学療法の活性が出現する。さらに、高レベル濃度の硫化水素が腫瘍間質液圧の低下、血管新生の促進、血管透過性の増加、低酸素症の改善、免疫抑制状態の軽減によって腫瘍微小環境中を再構築できることを見出したが、それにより、ナノ粒子の腫瘍取り込みが増加して光線力学療法の有効性が高まることで、808 nm レーザー照射中によって、細胞死が誘発された。新規ナノ粒子は硫化水素ガスと光線力学療法の相乗効果を可能にし、乳がん腫瘍を効果的に根絶することで、腫瘍の転移と再発を予防できることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
"Smart Lipid Nanoparticle that Remodels Tumor Microenvironment for Activatable H2S Gas and Photodynamic Immunotherapy." L. Wu, Y. Liu, W. Zeng, Y. Ishigaki, S. Zhou, X. Wang, Y. Sun, Y. Zhang, X. Jiang, T. Suzuki, D. Ye, J. Am. Chem. Soc. 2023, 145, 27838-27849. のように、IFの高い論文誌にてその研究内容が発表されている。
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今後の研究の推進方策 |
硫化水素検出とイメージングをさらに推し進めるべく、電子供与基としてジュロリジンを有するヘキサアリールブタジエン誘導体を開発する。ナノ粒子構築に際して、弱い酸性条件下で近赤外蛍光のON/OFF が可能な発光体を共存させることで、癌細胞組織内のような弱酸性条件でのみ硫化水素依存的なNIR蛍光を示すシグナル系を開発する。これにより、検出誤差を最小化したイメージングが可能となる。
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