研究課題/領域番号 |
23K20277
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補助金の研究課題番号 |
20H02737 (2020-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2020-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分33020:有機合成化学関連
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研究機関 | 関西学院大学 (2022-2024) 京都大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
倉橋 拓也 関西学院大学, 理学部, 教授 (50432365)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,940千円 (直接経費: 13,800千円、間接経費: 4,140千円)
2024年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2021年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2020年度: 7,540千円 (直接経費: 5,800千円、間接経費: 1,740千円)
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キーワード | オペランド測定 / %Aocc(r) / 配位子設計 / 配位子構造二次元変換 / ニッケル触媒 / コバルト触媒 / operando XAFS / operando EPR / 反応設計 / 選択的反応 / 還元的カップリング / 反応経路設計 / 触媒機能設計 / Operando測定 / カップリング反応 / 量子化学計算 / 合理的解釈法 / 触媒反応開発 / Operando 測定 / Operando XAFS / Operando EPR / スペクトルシミュレーション / Steric Congestion / 非共有結合性相互作用 / 電子移動 / 励起エネルギー移動 / 光触媒 / 機械学習 / 反応機構解釈 / 認知科学 / ベイズ最適化 / クロスカップリング / In-situ / operando 解析 / 触媒機能解析 / Marcus パラメーター |
研究開始時の研究の概要 |
遷移金属を用いる触媒反応の研究は、触媒を用いない場合とは異なる反応経路を創成することで、新たな炭素-炭素結合形成方法の実現に貢献してきた。その中でも、上述したニッケル触媒による有機クロム反応剤の調製を鍵とするアルデヒドとハロゲン化アルケニルのカップリング反応は、特に有用な合成手段の一つである。これまでに有毒な塩化クロムの使用量を減じた反応が報告されているが、全く使用しない触媒反応に成功した例は未だない。本研究では、従来とは異なる新たな反応経路を設計して、塩化クロムを使用しない汎用性の高い触媒反応の実現に挑む。
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研究実績の概要 |
本研究では、塩化クロム(II)を使用しない立体選択的・官能基選択的なアルデヒドとハロゲン化アルケニルのカップリング反応を開発する。これまでのニッケル 触媒反応開発に関する研究結果から、3d遷移金属であるニッケルが配位子により異なるスピン状態および構造に由来する固有の反応性を有していることを明らか にしている。実際に、配位子としてbpy誘導体を用いることで、ハロゲン化アルケニルとアルデヒドの官能基選択的なカップリング反応が進行することを確認している。この反応では、ニッケルとアルデヒドおよびハロゲン化ケイ素により酸化的付加体が生成し、一電子還元によりニッケル(I)錯体が生成する。これに対し て、ハロゲン化アルケニルの酸化的付加と続く還元的脱離によってアリルアルコールが生成すると考えている。配位子としてbpy誘導体を用いることで、三重項 ニッケル(II)の生成が優先される結果、続く一電子還元の活性化エネルギーが低下して、ニッケル(I)錯体への還元が可能となっていると推定している。実際に分光測定および理論化学計算により、この仮説が尤もらしいことを確認した。さらに、XAFS測定においても確認することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
d遷移金属元素、すなわち鉄やニッケルのイオンは最外殻電子軌道として3d軌道を有している。したがって、主量子数のより大きい遷移金属元素、例えば4d遷移 金属元素であるパラジウムや5d遷移金属元素の白金などよりも、炭素や窒素、酸素原子が有する最外殻軌道との軌道のエネルギー準位が近いために、有機合成に おいて結合の形成を促す触媒として本質的に潜在能力が高い。実際に、様々な形式の遷移金属触媒反応が鉄などの3d遷移金属元素で置き換え可能であることが近 年示されている。一方、3d遷移金属元素は3d 軌道における電子の局在性・方向性が強く、電子分極率、つまり『電気的なやわらかさ』が低い。したがって、反応設計において配位子の選択は4dまたは5d遷移金属元素を用いる場合よりも、いわゆる『空間的構造と電子的構造』の観点から厳密に行う必要がある。本研究では、溶液XAFS測定や量子化学計算をもとにして触媒となる錯体の構造を明らかにした。現在までに、当初に予定していた溶液中の触媒構造の解析など、研究課題目的を達成するために必要な情報ならびに知見の収集を達成した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究で明らかにした知見をもとにして、ニッケル以外の金属をもちいる触媒反応への応用を検討する。具体的にはコバルト触媒の活用を検討する。
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