研究課題/領域番号 |
23K20278
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補助金の研究課題番号 |
20H02830 (2020-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2020-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分36010:無機物質および無機材料化学関連
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研究機関 | 富山県立大学 (2024) 一般財団法人電力中央研究所 (2020-2023) |
研究代表者 |
清水 直 富山県立大学, 工学部, 准教授 (60595932)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2020年度: 9,490千円 (直接経費: 7,300千円、間接経費: 2,190千円)
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キーワード | 熱電効果 / ナノ材料 / 低次元 / 電界効果 / 電気二重層 |
研究開始時の研究の概要 |
現在までの約200年に及ぶ熱電効果の研究の歴史において、1990年代に量子効果、すなわち低次元系の熱電の理論が提案され、精力的なナノ材料の研究が幕を開けた。様々な低次元材料、例えば近年のマテリアルサイエンスの中心課題の一つである二次元ナノシートにおいては、Bi2Te3系等で得られる 40 uW/cm/K2を上回る高い出力因子が報告されるようになってきた。このような実験結果は、ナノ材料が高いポテンシャルを有すること、そして構造やキャリア数を精密に制御した実験が極めて重要であること示す。研究代表者のこれまでの熱電効果研究で得られた知見を基に、ナノ構造における熱電現象の学理構築を目指す。
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研究実績の概要 |
優れた熱電変換効率を有する熱電素子の実現に向け、低次元複合材料やナノ材料における熱電効果の研究が世界中で進められている。新規材料の合成、新たな理論計算や評価手法の開発に基づいた、次世代の新規熱電材料の開拓を継続的に進める必要がある。本研究では、様々なナノ材料の熱電特性を評価する方法の開発と、それを実際に熱電材料探索に適用する。 本年度は、酸化タングステン(WO3)の薄膜作製および熱電効果の測定を行った。WO3薄膜は、土台となる基板の材料を適切に選択することにより、結晶構造を制御することができる。本研究ではイットリア安定化ジルコニア(YSZ)基板上に、数ナノメートルから数十ナノメートルの厚さのWO3薄膜を作製した。フォトリソグラフィーにより、WO3薄膜を半導体チャネルとする電界効果トランジスタ構造を作製し、また同一基板上に温度計とヒーターを金属蒸着により作製した。これにより、試料温度とWO3薄膜中のキャリア密度を連続的に変化させながら、WO3の熱電効果を測定することが可能になる。イオン液体をゲート絶縁体とし、0 Vから3.9 Vのゲート電圧を印加したところ、電気抵抗の温度依存性が絶縁体的な振る舞いから金属的なものへ変化した。同時にゼーベック係数を測定したところ、ゲート電圧の増加に伴い、絶対値が減少した。これらの結果は、ゲート電圧の印加により、WO3薄膜に連続的に電子キャリアが注入されていることを示す。さらに、10 Kから室温までの温度範囲、0 Vから3.9 Vのゲート電圧の範囲で熱電出力因子を系統的に測定した結果、半導体から金属的な電子状態に移り変わるキャリア密度領域で最適化されることがわかった。 本成果はScientific Reports 12, 7202 (2022).において報告した。今後、国内外の学会で本成果を発表する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度は、WO3薄膜を中心とした研究を順調に進め、成果を学術論文および国内外の学会で報告した。また計画をおおよそスケジュール通りに進めることができたことから、本研究の進展具合は「おおむね順調に進展している。」と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は本研究課題の最終年度であるが、研究代表者の海外渡航に伴い、2022年5月から2023年7月の期間で本研究課題を一時中断する。2022年度の交付申請の留保届は、すでに日本学術振興会に提出済である。帰国後には速やかに本研究課題を再開し、中断期間中に行う予定であった研究を進める予定である。
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