研究課題/領域番号 |
23K20279
|
補助金の研究課題番号 |
20H02832 (2020-2023)
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2020-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分36020:エネルギー関連化学
|
研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
長谷川 崇 秋田大学, 理工学研究科, 准教授 (10564742)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2024年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2023年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2022年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
|
キーワード | 磁性材料 |
研究開始時の研究の概要 |
鉄コバルト(FeCo)合金は全遷移金属合金中で最大の磁化を有するので非常に高性能な磁石になる潜在力を有するが、そのままでは永久磁石にはなれない。永久磁石化するには結晶構造を正方晶化する必要がある。先行研究では、膜厚が5nm未満の極薄膜でのみ正方晶化が実証されている。将来的な応用を考えると、それ以上の厚みにおいて正方晶化を実現する必要がある。しかしながら正方晶FeCoは不安定なため、現実世界で合成するには工夫が必要となる。そこで本研究では、FeCoを正方晶化する効果がある添加元素Xを探索する。まず理論計算によって形成エネルギーを最小化する添加元素Xを探索し、次いで実験で確認するスタイルをとる。
|
研究実績の概要 |
本研究は、一般的には永久磁石にはならないことで知られる鉄コバルト合金(FeCo)に注目し、結晶構造や組織を人工的に制御することで永久磁石特性の向上をはかることを目的とする。FeCoは全遷移金属合金中で最大の磁化を有するが、結晶構造が立方晶(より正しくは体心立方晶bcc)であるため、そのままでは磁気異方性と保磁力が極めて小さいので永久磁石にはなれないと考えられてきた。そのような背景を受けて本研究では、FeCoの結晶構造を正方晶(bct)に変形させ、さらに組織をナノスケールに微細加工することで、結晶磁気異方性と保磁力の向上をはかる。本年度は、昨年度に引き続き理論計算によってFeCoXのbct構造の形成エネルギーを最小化する添加元素Xの探索を行い、次いで、成膜装置を用いた実験的な確認を行った。理論計算では商用の第一原理計算機を使用して密度汎関数理論DFTに基づく擬ポテンシャル法を用いた。成膜実験では超高真空多元合金マグネトロンスパッタ装置を用いた。成膜では、MgO単結晶基板上にRh下地を成膜したものとSTO基板を用いて、その上にFeCoX磁性薄膜を成膜し、その上に酸化防止層としてSiO2キャップ層を成膜した。昨年度に続く理論計算による添加元素X探索の結果、X=VN, V(rich)N, VZrN, VTaN, VAlN, ZrTaNにおいてbct構造が安定化することが示された。次いで成膜実験の結果、これらの中ではX=VN, V(rich)N, VAlNがbct構造を効率よく安定化することがわかった。今後は、成膜実験での検証結果を理論計算にフィードバックしながら、より効果的な添加元素Xを探索する。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルス感染症の影響がほぼ無くなり、予定通りに研究協力者との連携がとれるようになったため。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、引き続き理論計算と実験を併用し、理論計算によりFeCoXのbct構造をより一層安定化させる効果をもつ添加元素Xを明らかにし、次いで成膜実験で確認を行う、というサイクルを回していく。またFeCoXの組織をナノテクで微細加工することで保磁力が向上する条件を明らかにし、その結果を成膜実験にフィードバックして、熱処理等をほどこすことで試料組織がナノスケールに孤立微粒子化する条件を明らかにする。
|