研究課題/領域番号 |
23K20298
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補助金の研究課題番号 |
20H03159 (2020-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2020-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分42020:獣医学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
的場 章悟 国立研究開発法人理化学研究所, バイオリソース研究センター, 専任研究員 (20585202)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2024年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2023年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2022年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2021年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2020年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
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キーワード | 胎盤 / アミノ酸輸送 / 代謝プログラミング / SNATファミリー / 胎盤特異的ノックアウト / アミノ酸トランスポーター |
研究開始時の研究の概要 |
哺乳類では胎児の発生に必要な栄養素は全て胎盤を介して母体から供給される。そのため、胎盤での栄養供給に問題があると、胎児は低栄養状態に陥り深刻な生育異常を示す。しかし、その重要性にも関わらず、胎盤における胎児への栄養供給機構はほとんど分かっていない。本研究では、アミノ酸トランスポーターのSNATファミリー遺伝子の胎盤特異的ノックアウト(KO)マウスを用いて、胎盤でのアミノ酸供給機構の破綻が遺伝的に正常な胎児へ及ぼす影響を形態・エピゲノムの観点から包括的に理解することを目的とする。
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研究実績の概要 |
本年度はこれまでに作出したSNATファミリー遺伝子の新規KOマウスラインを用いて、それぞれの遺伝子KOが胎盤および胎児の発生へ与える影響を解析した。 (1) Slc38a1, Slc38a2, Slc38a4のトリプルKOマウスの作製および解析。 昨年までに作出したSlc38a1, Slc38a2,Slc38a4の3遺伝子の全領域を欠損するマウスライン(SNAT KO)の解析を進めた。SNAT Null KO胚は着床後の早い段階で胎性致死を示す一方で、SNAT paternal KO (PKO)マウスは出生後に完全な生後致死を示した。Slc38a4単独のPKOは2-3割程度の個体は成体まで発育するため、Slc38a4 PKOではSlc38a1およびSlc38a2が機能補償していることが明らかになった。SNAT PKOマウスとSlc38a4 PKOマウスそれぞれの胎仔の血中アミノ酸濃度を測定したところ、野生型と比べて有意にアミノ酸濃度が低下しており、いくつかのアミノ酸はSNAT PKOで大きく低下していたためこれらの血中アミノ酸濃度の低下が出生後致死の原因である可能性が示唆された。 (2) SNAT遺伝子の胎盤特異的コンディショナルKO(cKO)マウスの作製。 Slc38a4のExon4を挟む形でloxpを二か所に挿入したfloxマウスについて、胎盤特異的(Tpbpa-Cre)および胎仔特異的(Lefty2-Cre)にCreを発現するマウス系統と交配し、それぞれの組織特異的にSlc38a4をKOしたときの表現型解析を進めた。Lefty2-Creマウスでは予想に反して胎盤側でも組換えが生じていたため、Sox2-Creマウスを導入して検証を進めている。また、Slc38a1, Slc38a2, Slc38a4を挟む形でloxpを二か所に挿入したSNAT floxマウスの作製にも成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
まず計画していた通り、SNATファミリー遺伝子のトリプルノックアウトマウスの解析を進めることができた。その結果、SNATファミリーNull KOは着床後の比較的早い段階で胎性致死を示すことが明らかになった。また、SNAT PKOマウスは全て出生後致死となり、Slc38a4 PKOよりも重篤な表現型を示すことから、SNATファミリー遺伝子間に相互補償するシステムがあることが示唆された。さらに予定していた通り、SNAT PKOマウスおよびSlc38a4 PKOマウス胎仔血漿のメタボローム解析を進め、SNATファミリー遺伝子間に実際に相互補償システムがあること、そして特定の血中アミノ酸濃度の低下がSNAT PKOマウスでみられる生後致死の原因である可能性を示すことができた。 また、コンディショナルノックアウトについてはSlc38a4-Ex4-floxマウスがCre依存的にSlc38a4の機能欠損を起こすことを確認した。Slc38a1, Slc38a2, Slc38a4の3遺伝子をloxpで挟んだSNAT floxマウスの作出にも成功した。これらのマウスと胎盤特異的なCreマウス(Tpbpa-Cre)、および胎仔特異的なCreマウス(Lefty2-Cre)との交配を進めたが、Lefty2-Creマウスでは予想に反して胎盤側でも組換えが生じていたため、Sox2-Creマウスを導入して検証を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度はSNATファミリー遺伝子のNull KOマウスおよびPKOマウスの表現型解析を進めつつ論文化する。これまでの研究からPKO胚は約半数が胎生致死である一方、残りの半数は出生に至ることが分かった。ただし、これらの出生に至ったPKO胚は体重が40%程度小さく、全てが生後致死を示した。胎仔血漿のメタボローム解析を実施した結果、アミノ酸の低下が明らかになった。一方でNull KO胚はE8.5までに致死であることが分かっており、胚盤胞期まではNull胚は正常に発生するため、着床直後に発生停止している可能性が高い。そこで今後はさらにステージをさかのぼり、E4.5-6.5を中心として、細胞増殖、および細胞分化への影響は、増殖・アポトーシス・細胞種特異的マーカーなどによる組織解析に加えて胎盤全体を用いたトランスクリプトーム解析も検討する。各KO胚から胎盤幹細胞を樹立済みであるため、それらの性情解析およびメタボローム解析を実施する。 一方でSlc38a4-Ex4-floxマウスおよびSNAT floxマウスと胎盤特異的なCreマウス(Tpbpa-Cre)、および胎仔特異的なCreマウス(Sox2-Cre)との交配を進めることで、Slc38a4およびSNATファミリー遺伝子の胎盤での機能および胎仔側(肝臓)での機能を切り分けて解析を進める。特に、胎盤特異的コンディショナルKO (CKO)マウスで胎仔の生育や代謝プログラムに変化が起きるのかについて着目して解析を進める。必要に応じて、理研BRC内での表現型解析パイプラインの利用も検討する。
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