研究課題/領域番号 |
23K20305
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補助金の研究課題番号 |
20H03313 (2020-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2020-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45030:多様性生物学および分類学関連
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研究機関 | 沖縄県立芸術大学 |
研究代表者 |
藤田 喜久 沖縄県立芸術大学, 音楽学部, 教授 (20771463)
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研究分担者 |
下村 通誉 京都大学, フィールド科学教育研究センター, 准教授 (30359476)
井口 亮 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 主任研究員 (50547502)
岡西 政典 広島修道大学, 人間環境学部, 助教 (70639278)
角井 敬知 北海道大学, 理学研究院, 講師 (70723360)
斉藤 知己 高知大学, 教育研究部総合科学系複合領域科学部門, 教授 (80632603)
藤井 琢磨 鹿児島大学, 国際島嶼教育研究センター, 特任助教 (30772462)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2020年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
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キーワード | 洞窟水圏 / 海底洞窟 / 生物多様性 / 琉球列島 / 生物相 / 洞窟水圏環境 / アンキアライン環境 / 保護・保全 |
研究開始時の研究の概要 |
琉球列島には,島々の陸域および浅海域に数多くの洞窟や海底洞窟が存在し、地表面から隔離された独特の水圏環境と動物群集がある。本研究では、1)洞窟水圏性動物の種多様性、2)洞窟水圏性動物の分子系統・適応進化、3)洞窟水圏における動物群集の構造と個体群維持機構、に関する諸々の調査研究を進めることで、当該地域の洞窟水圏における生物多様性の全容を解明することを目的とする。また、得られた成果を国内外の研究者や一般社会に発信していくことで、洞窟水圏生物多様性の研究のさらなる発展を促し、当該地域の洞窟水圏環 境および生物の保護・保全につなげていく。
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研究実績の概要 |
本研究では、1)洞窟水圏性動物の種多様性、2)洞窟水圏性動物の分子系統・適応進化、3)洞窟水圏における動物群集の構造と個体群維持機構の3つの主要研究テーマに注力した調査研究を実施し、当該地域の洞窟水圏における生物多様性の全容を解明することを目的としている。2022年度は、沖縄島、伊江島、宮古島および下地島の海底洞窟における合同野外調査を実施し、さらに沖永良部島・与論島・多良間島の陸域洞窟での調査を実施することができた。その結果、以下のような研究実績を挙げることができた。 「1)洞窟水圏性動物の種多様性」と「2)洞窟水圏性動物の分子系統・適応進化」の研究項目については、採集された生物の分類学的研究を進め、遺伝子解析作業も進めることができた。 これらの研究成果(の一部)として、新種記載論文2編および新産地報告論文3編の出版と、2題の学会発表を実施することができた。また、さらに3編の新種記載論文の投稿も行い、次年度(2023年度)に出版される予定である。 一方、「3)洞窟水圏における動物群集の構造と個体群維持機構」の研究項目については、調査対象の洞窟の洞内形態の特性を可視化するために、最新のフォトグラメトリー技術(SfM-MVS)を用いて、3D測量手法および洞窟地形図作成の試験実施を行った。得られたデータは次年度(2023年度)に解析を行い、今後の研究の進展を図る予定である。また、多良間島固有の地下水性甲殻類であるタラマメアミを保護・保全するための生態研究を通年にて実施し、周年の繁殖を確認した。 これらの研究成果に加え、講演会(多良間・宮古・与論)や地域行政との調整など、洞窟水圏生物の保護・保全に向けたアウトリーチ活動も実施し、沖縄県希少野生動植物保護条例の指定種に洞窟性動物が3種追加指定され(本年1月1日付指定)、過年度までの研究成果の社会還元を少なからず果たすことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた野外調査(生物採集合同調査、3D測量による洞窟地形図作成の予備調査など)がほぼ順調に進み、データも集まっているため。今後は、データの解析と論文化をさらに進める必要がある。 過年度までの調査研究結果を活用した洞窟水圏生物の保護・保全に向けたアウトリーチ活動をようやく開始することができ、初年度より一定の成果を挙げること(沖縄県希少野生動植物保護条例の指定種に洞窟性動物が3種追加指定された)ができたため。 一方、新型コロナウイルス感染症の余波が残っている状態でもあり、国外研究者を招聘したワークショップ実施の計画・準備の進捗状況は芳しくなかった。洞窟水圏生物研究のさらなる発展を目指すためには、国内外の研究者間にて交流・連携を進めることが重要であり、今後、注力する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
本年度(2022年度)は、充実した野外調査を実施することができたため、次年度(2023年度)の野外調査は、過年度研究の補足調査のみに限定し、次々年度(最終年度:2024年度)の最終取りまとめに向けたデータ解析や論文執筆に注力する予定である。本研究の3つの主要研究テーマ(洞窟水圏性動物の種多様性、洞窟水圏性動物の分子系統と適応進化、洞窟水圏における動物群集の構造と個体群維持機構)に係る次年度以降の研究計画は以下の通りである。 1)洞窟水圏性動物の種多様性研究:過年度に引き続き、これまでに得られた未記載種の記載分類学的研究(論文執筆)を加速させる。野外調査は、記載分類学的研究に不足している種のみに限定し、採集調査を実施する。 2)洞窟水圏性動物の分子系統と適応進化:過年度に引き続き、採集した動物種のDNAバーコーディング作業を進め、これを基盤とした海底洞窟内での環境DNA調査と解析を行う。また、分類学的・生態学的に「特筆すべき種」について、分子系統解析や集団遺伝学的解析を実施し、論文化を目指す。 3)洞窟水圏における動物群集の構造と個体群維持機構:過年度までに調査を実施した3D測量による洞窟地形図作成の解析作業を進め、「1)洞窟水圏性動物の種多様性研究」にて明らかになった種多様性(動物相)情報を元に、各洞窟における動物群集構造に関するデータ解析を実施し、論文化を目指す。 これまでの研究成果を活用し、洞窟水圏生物の保護・保全に向けたアウトリーチ活動を促進させるとともに、国外研究者を招聘したワークショップを実施し、研究者間のさらなる交流・連携を進め、洞窟水圏生物研究のさらなる発展を目指す。
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