研究課題/領域番号 |
23K20314
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補助金の研究課題番号 |
20H03458 (2020-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2020-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49020:人体病理学関連
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
北澤 荘平 愛媛大学, 医学系研究科, 教授 (90186239)
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研究分担者 |
北澤 理子 愛媛大学, 医学部附属病院, 准教授 (00273780)
原口 竜摩 愛媛大学, 医学系研究科, 准教授 (00423690)
小原 幸弘 愛媛大学, 医学系研究科, 助教 (50792214)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
採択後辞退 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2024年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2023年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2021年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2020年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
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キーワード | 転写調節陰性 / 骨代謝 / 破骨細胞 / 骨芽細胞 / 腫瘍随伴症候群 / RANKL / 骨破壊 / 転写因子 / エピジェネティクス / 破骨細胞分化因子 / 転写調節因子 / DNAメチル化 / メチル化DNA / TATAボックス / 遺伝子改変動物 / 遺伝子発現制御 |
研究開始時の研究の概要 |
本申請課題では、加齢や糖尿病、骨転移巣で、遺伝子発現を制御する転写調節因子ネットワーク機構、エピジェネティクス変化について検討する。時間負荷(高継代数)の作用や生活習慣病による酸化的ストレスの作用を「遺伝子発現をpin-pointで規定するTATA-box直上のCpGメチル化による新規のエピジェネティクス機構」に着目し、個体レベルで検討する。またRANKL産生腫瘍で破骨細胞を誘導する骨巨細胞腫の病理組織や初代培養細胞を用いて、「ヒストン蛋白H3.3活性化による骨吸収メカニズム」を検討し、治療戦略に繋がる知見の集積を目指す。
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研究実績の概要 |
骨組織は、骨を作る骨芽細胞と骨を吸収する破骨細胞の2種類の細胞のバランスで保たれている。申請者等は、破骨細胞形成に関わる種々の遺伝子(RANK-RANKL-OPG)発現調節領域をクローニングし、破骨細胞分化因子RANKLのGFP可視化マウスなど種々の改変動物を作製し、個体レベルの研究へ展開し、加齢や糖尿病、骨転移巣で、遺伝子発現を制御する転写調節因子ネットワーク機構、エピジェネティクス変化について検討した。時間負荷(高継代数)の作用や生活習慣病による酸化的ストレスの作用を「遺伝子発現をpin-pointで規定するTATA-box直上のCpGメチル化による新規のエピジェネティクス機構」に着目し、個体レベルでこの部位に変異を導入した個体を作製した。加齢との関連では、代謝毒のin vitro実験系として、ST2細胞にメチルグリオキサール(MG)投与を行い、p16INK4a, RANKL増加/ Wnt signal低下という老化促進phenotypeが、MeCP2結合阻害による新規のエピジェネティクス機構によりもたらされることを確認した。加齢によるDNAメチル化による遺伝子不活化と、酸化的ストレス下での遺伝子再活性化現象として、p16INK4a増加、RANKL増加/OPG低下(骨吸収促進)、Wnt系骨形成低下の知見を得ており、老化要因のうち特に時間的負荷と酸化的ストレスに着目している。さらに、RANKL遺伝子3'側に存在するmRNAの安定性に関与する領域を同定し、エストロゲン、グルココルチコイド、ビタミンD3がその安定性にどのように関与しているかについて細胞レベルおよび試験管内のmRNAの構造解析により解明している。閉経後骨粗鬆症に至る新なメカニズムの一つとしてncRNAを含めた解析を現在進行中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナの影響により一次的に試薬の納品が遅れることがあり、研究の停滞する期間があったが、その間に研究計画の見直し、形態学的な検討を進め、計画研究全体としての研究遅延は殆ど無く、順調に研究を遂行することが出来た。また、一塩基のメチル化シトシンを塩基配列特異的に検出する方法の開発に成功し、国際誌への投稿を行い、受理されるに至った。遺伝子改変動物、培養実験については、原口が中心となり、筑波大学との連携のもとで設計、作製し、愛媛大学で維持を行い、骨形態計測などの検討も進行できた。病理組織については、附属病院病理診断科部長の北澤理子が、組織の一定の条件での固定、標本作製、資料の保管について厳重に管理しており、病理学会より示されているゲノム診療に関するガイドラインを全てクリアーしており、研究の遂行が順調に行われた。
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今後の研究の推進方策 |
RANKL遺伝子の安定性に関与するncRNAを同定し、その発現調節がどのように行われているのかについて検討を進めていく。とくに3'側の破壊を行った際に、雌のマウスのみ骨量が低下するという現象を観察しており、この領域を中心に研究を進めていく。また、骨巨細胞腫については、骨巨細胞腫の治療戦略として抗RANKL抗体であるデノスマブが現在用いられている。その結果、骨巨細胞腫の組織から巨細胞が消失すると同時に、類骨形成を伴う骨芽細胞系細胞の集団が観察されている。このように、未分化な間葉系細胞の形質を持つ腫瘍細胞が、抗RANKL抗体処理によって骨芽細胞への分化が誘導され、RANKLによる骨分化へのreverse signalの存在が示唆される。本申請課題の最終年度では、これまでに申請者等が系統的に保存した、骨巨細胞腫の一次培養細胞に、in vitroでデノスマブを投与し、RANKL発現と骨芽細胞(Runx2, Osterix, osteocalcin)および骨細胞(E11/gp38, DMP-1, Sclerostin)分化との関連を検討する。培養細胞におけるp16INK4a発現を確認し、siRNAによるp16INK4a抑制の効果を検討する。
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