研究課題/領域番号 |
23K20320
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補助金の研究課題番号 |
20H03568 (2020-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2020-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分51030:病態神経科学関連
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
高森 建二 順天堂大学, 医学部, 特任教授 (40053144)
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研究分担者 |
冨永 光俊 順天堂大学, 大学院医学研究科, 先任准教授 (50468592)
鎌田 弥生 順天堂大学, 大学院医学研究科, 准教授 (00410035)
古宮 栄利子 順天堂大学, 大学院医学研究科, 助教 (90647009)
外山 扇雅 順天堂大学, 大学院医学研究科, 特任助教 (50805893)
本田 耕太郎 順天堂大学, 大学院医学研究科, 非常勤助教 (70803625)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2024年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2021年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2020年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
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キーワード | 難治性かゆみ / mu-オピオイド受容体 / エンドモルフィン / 末梢神経 / ケラチノサイト / 感覚神経 / 鎮痒薬 / ドライスキン / アロネーシス / オピオイド / 皮膚 |
研究開始時の研究の概要 |
生活の質(QOL)を著しく低下させる「難治性かゆみ」の治療法は、オピオイド受容体標的薬の登場で大きく進展した。しかし、既存のオピオイド受容体標的薬の内服は中枢性・全身性の副作用を示すことから新たな観点の治療アプローチが必要である。そこで本研究は、我々が世界に先駆け作製したmu-オピオイド誘発性そう痒モデルを用いることで、末梢 mu-オピオイドシステムによるかゆみの制御機構の解明を目指す。本成果は、かゆみ患部に直接的で副作用の少ない難治性かゆみ治療法(例:外用薬)の開発に繋がることが期待される。
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研究実績の概要 |
抗ヒスタミン薬など既存治療に効果を示さない「難治性かゆみ」の治療薬として有効性を発揮しているkappa-オピオイド作動薬であるが、実臨床においてめまいや不眠など全身性・中枢性副作用が問題となっている。これに対し我々は、「かゆみ感覚は、皮膚に発現するオピオイドやその受容体群(オピオイドシステム)によって制御されている」との仮説を立て、外用薬等のオピオイドシステムを標的とした、現行より副作用の少ない難治性かゆみ治療薬の開発を目指し、末梢性mu-オピオイドシステムによるかゆみの発現メカニズムの解明を行っている。 本年度は、初年度において作用部位を同定した、MORリガンドであるエンドモルフィン-1および2(EM-1・EM-2)について、その特性を評価した。EM-1およびEM-2の濃度的・時系列的な特性を評価した。それぞれを、0, 12.5, 50, 100, 200 nmolずつ皮内投与したところ、両者ともに、100 nmolおよび 200 nmolの高濃度では、機械的かゆみに加えて自発的かゆみが観察された。一方、25 nmolおよび50 nmolでは自発的かゆみは観察されず、機械的かゆみのみが観察された。 さらに、EM-1・EM-2の分解調節機構を明らかにしようと先行研究を調べたところ、これらはDPPIVによって2つのジペプチドに分解されることが明らかになった。そこで、その2ペプチドを合成し、野生型マウスに皮内投与したところ、完全長EM-1・EM-2の有する自発的掻き行動と機械的掻き行動の両方の誘発作用が大幅に抑制されることが明らかとなった。以上より、EM-MORによる機械的アロネーシスの誘発は部分的にDipeptidyl peptidase IVによって制御されていることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、我々が初年度において作用部位を同定した、MORリガンドであるエンドモルフィン-1および2(EM-1・EM-2)について、その特性を評価するとともに、これらの神経ペプチドのかゆみ誘発機能調節因子として、dipeptidyl peptidase IVを見出したことから概ね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は、Dipeptidyl peptidase IVの遺伝子改変マウス等を用いて、2つのエンドモルフィンによるかゆみの調節機構をさらに調べる予定である。加えて、皮膚MOR/DORの発現細胞を同定することで、さらに末梢性mu-オピオイドシステムによるかゆみの発現メカニズムを詳細に解明し、新規鎮痒外用薬の開発を目指す予定である。
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