研究課題/領域番号 |
23K20326
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補助金の研究課題番号 |
20H03772 (2020-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2020-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55040:呼吸器外科学関連
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
井上 匡美 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10379232)
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研究分担者 |
井上 正宏 京都大学, 医学研究科, 特定教授 (10342990)
矢追 毅 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40311914)
下村 雅律 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90433268)
伊東 恭子 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80243301)
常塚 啓彰 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00453100)
岡田 悟 京都府立医科大学, 医学部附属病院, 専攻医 (20572085)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,810千円 (直接経費: 13,700千円、間接経費: 4,110千円)
2024年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2022年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2020年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
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キーワード | 肺癌 / STAS / オルガノイド / 気腔内転移 / CTOS |
研究開始時の研究の概要 |
Spread Through Air Space (STAS)は,腫瘍周囲気腔内に腫瘍細胞が散布される病態で,肺癌においてmicropapillary patternと相関することや予後不良因子であることが報告されている.免疫染色およびRNA-Sequenceによる免疫組織学的かつ分子病理学的解析を行い,STAS関連遺伝子を探索し病態解明を行う.切除新鮮標本から細胞間接着を保ったまま細胞塊を3次元培養調整するCancer Tissue-Originated Spheroid (CTOS)法を用いて,STAS関連遺伝子の発現強度介入により,腫瘍細胞の増殖能,遊走能の変化を細胞レベルで調べる
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研究実績の概要 |
Spread Through Air Spaces (STAS)は,原発性肺癌における新たな腫瘍進展形態として認知され,時に転移性肺腫瘍でも報告がある.一般的に予後不良因子のひとつされるが,その病理病態は明らかにされていない. まず,切除検体保存標本を組織学的にレビューしSTASの臨床病理学的意義について評価を行った.結果として,1期肺腺癌の42.5%の症例でSTASを認め,5年全生存率はSTAS陽性群で86.0%,STAS陰性群で98.6%と有意にSTAS陽性例は予後不良であった.無再発生存率はSTAS陽性群で65.9%,STAS陰性群で96.4%と有意にSTAS陽性例は予後不良であった.STAS陽性例は,浸潤腫瘍径が大きく,腫瘍マーカーCEAが高値で,脈管浸潤が多く,PET-CTでSUVmaxが高値で,組織学的にmicropapillary patternを示す症例が多かった.すなわちSTASは有意な独立予後因子であった.以上の結果については,Lung Cancerに掲載された. 次いで,Cancer Tissue-Originated Spheroid (CTOS) 法で調整したオルガノイドを用いて,in vitroにおいてSTASを再現するモデルの作成を行った.マウス肺より気道オルガノイドを調製し、2次元培養したものを気道上皮モデルとして用い、がんオルガノイドとの共培養による接着実験を行った。apical-out CTOSはapical-in CTOSよりも接着率が高かった。このことから癌-気道上皮間の接着にはapical membrane間の相互作用が重要であると考えられる。今後は炎症性サイトカインによる作用あわせて評価する予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
臨床病理学的研究のデータを踏まえて,in vitroでのメカニズム解明に進んでいる.共同研究の中で,当初の計画通り進捗していると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
炎症はがん転移を促進するという報告をふまえ、炎症性サイトカインによる接着への影響を検討する。気道上皮細胞のみをTGF-β1で前処理した後、共培養したところ、接着率が有意に上昇した。このことからTGF-β1が気道上皮に作用しSTASを誘発する可能性が示唆された。現在TGF-β1処理した気道上皮とCTOSのapical membrane間の相互作用に関与する分子の解析を行う予定である.
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