研究課題/領域番号 |
23K20331
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補助金の研究課題番号 |
20H03873 (2020-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2020-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57050:補綴系歯学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
山崎 裕 北海道大学, 歯学研究院, 教授 (90250464)
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研究分担者 |
渡邊 裕 北海道大学, 歯学研究院, 准教授 (30297361)
本川 佳子 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (60782026)
玉腰 暁子 北海道大学, 医学研究院, 教授 (90236737)
小笠原 克彦 北海道大学, 保健科学研究院, 教授 (90322859)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2024年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2022年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2021年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2020年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
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キーワード | 地域在住高齢者 / 通いの場 / 口腔機能向上 / 栄養改善 / 地域介入研究 |
研究開始時の研究の概要 |
地域在住高齢者の身体機能、栄養状態と口腔機能を含む口腔の状況と市販弁当等の購入状況を含めた栄養摂取状況、食事パターンを把握し、口腔機能および栄養摂取の状態、食事パターン別に過不足傾向のある栄養素等について分析し、状態別の口腔機能向上・栄養改善プログラムと食事栄養指導マニュアルを作成する。プログラムとマニュアルは無作為化比較対照試験によって効果を検証する。最終的に口腔機能向上・栄養改善プログラムと食事栄養指導マニュアルが、オーラルフレイル対策の推進、フレイル予防、地域包括ケアシステムの推進と健康寿命の延伸に寄与するか医療介護データも含めて検証する。
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研究実績の概要 |
本研究事業の主体となる「げんき発見ドック」において令和4年8、9月および令和5年9月にベースライン調査(参加者合計180名)、令和5年2月および令和6年2月に介入後調査(参加者合計128名)を実施した。データ欠損のあった4名を除いた124名の口腔機能向上・栄養改善プログラムによる改善効果を検討したところ、オーラルフレイルの判定項目の該当数に関して、32名(25.0%)が改善し、67名(52.3%)が維持、29名(22.7%)が悪化した。以上の結果から口腔機能向上・栄養改善プログラムによる改善効果が期待された。 昨年度高齢者の口腔細菌叢において着目した関節リウマチなどとの関連が報告されているPrevotella属とオーラルフレイルの関連については、令和2年げんき発見ドック参加者208名を対象にプレボテラ属の口腔細菌叢に占める割合に関して3群に分類し,オーラルフレイルと各項目との関連を順序ロジスティック回帰分析で検討した.結果3群間とOF の各判定項目では,OF該当項目数(OR:1.48,95%CI:1.14-1.92) ,OF該当者(OR:4.20,95%CI:1.52-11.58)で有意な関連が認められた.本研究結果は,口腔機能低下の検査及び管理が,高齢者の口腔内細菌叢の悪化予防,全身の健康の維持改善に貢献する可能性を示唆した.歯科衛生士、管理栄養士による口腔機能向上・栄養改善プログラムと食事栄養指導については、自宅でのセルフプログラムと郵送によるプログラム実施状況の確認とフィードバックを継続し、令和2年度および令和4年度、令和5年度参加者の介入前後の比較分析を行っている。以上の結果を踏まえ、口腔機能向上・栄養改善プログラム、食事栄養指導のマニュアルの改訂を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和5年度の「げんき発見ドック」に関しては、COVID-19の感染拡大がある程度収まってきていたが3年度目の実施となったことから、参加希望者数が減少した。しかし令和4年度と同様に感染対策を厳重におこない、介入前後調査、口腔機能向上・栄養改善プログラムとも実施できた。令和2年、令和4年、令和5年度のそれぞれの参加者に対しても継続してオンラインと対面で口腔機能向上・栄養改善プログラムを継続し、介入後調査を実施できた。 COVID-19の感染拡大によって当初予定した参加人数を満たしていないが、令和2年度と令和4年、5年度参加者の介入前後の調査において有意な結果が得られており、令和6年度の参加者を合わせれば、十分なサンプルサイズを得ることができ、当初の目的は達成できると考える。研究成果についても、すでに2本の論文が海外誌で公開され、1論文は査読中となっている。 口腔機能向上・栄養改善プログラムと食事栄養指導については、通いの場や保健センターにおいて対面およびオンラインでのプログラムを月1回開催し、介入効果の検証も行うことができた。オンラインでのプログラムは、フレイル対策や介護予防事業にも適用できることが確認されたことから、今後も検証していく予定である。 口腔機能向上・栄養改善プログラムと食事栄養指導のマニュアルの改訂については、オーラルフレイル悪化者および新規発生者と維持・改善者との比較を行い、プログラムの改訂を継続して行っている。昨年度課題となったプログラムへの参加回数の影響については、参加を促す方策として前日の連絡、家族との連携等で参加率の向上を行うとともに、欠席者に対しては自宅でのセルフプログラムの提供や動機付けのための情報提供を行いその効果を検証している。以上のように本研究事業の目的に沿った成果を上げるべく、適宜研究内容、方法を修正し、研究を遂行している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究事業の主体である「げんき発見ドック」については、令和6年度新規参加者を募集して、令和6年9月にベースライン調査を実施し、歯科衛生士、管理栄養士による口腔機能向上・栄養改善プログラムと食事栄養指導(月1回の通いの場における集団および個別指導と、自宅でのセルフプログラム)を6カ月間実施し、介入後調査を令和7年2月に実施する。また、令和2年度および令和4年度、令和5年度調査参加者に対しても継続して事後評価を行い、プログラムの長期効果と転帰(疾病の新規発症、介護認定、入院、死亡など)を国保データベースと突合し分析する予定としている。 また本年度も継続して歯科衛生士、管理栄養士による口腔機能向上・栄養改善プログラムと食事栄養指導の介入マニュアルの改訂のための根拠を得る目的で、オーラルフレイルと食事栄養摂取との関係、食事栄養摂取と口腔細菌叢との関連を検討する。他にCOVID-19感染拡大中とその後の通いの場における指導やプログラムの効果を比較検討するとともに、オンラインでのプログラムの効果も継続して検証する。それぞれのプログラムの効果を比較検討し、各プログラムの長所や短所、実施における注意点等をマニュアルに反映させ完成させる。 口腔内細菌叢とオーラルフレイルとの関連については、引き続き縦断的に検討していく、特にフレイルやサルコペニア、糖尿病、高血圧症など生活習慣との関連に注目し、それら疾患のバイオマーカーとなる細菌を検索する。口腔内細菌叢については、個人内での再現性や変化、その関連因子についても検討を行っていく。 市販の弁当や総菜の活用や欠食の状況別の栄養指導チャート案については、引き続き栄養改善プログラムで使用しその効果を検証する。外食、内食、中食等の比率の変遷についても引き続き調査し、栄養、身体組成、機能への影響についても検討し、プログラムやマニュアルを完成させる。
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