研究課題/領域番号 |
23K20366
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補助金の研究課題番号 |
20H04082 (2020-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2020-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59020:スポーツ科学関連
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
吉原 利典 順天堂大学, スポーツ健康科学部, 准教授 (20722888)
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研究分担者 |
町田 修一 順天堂大学, 大学院スポーツ健康科学研究科, 教授 (40421226)
内藤 久士 順天堂大学, 大学院スポーツ健康科学研究科, 教授 (70188861)
柿木 亮 順天堂大学, スポーツ健康科学部, 非常勤助教 (70614931)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2024年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2023年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2021年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2020年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
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キーワード | 性差 / アンジオテンシンII受容体 / サルコペニア / 運動適応 / 筋萎縮 / アンジオテンシンII1型受容体 / トレーナビリティ / 骨格筋萎縮 / 骨格筋 |
研究開始時の研究の概要 |
男女の生物学的な違いは運動効果の獲得や筋萎縮の生じやすさに多大な影響を与え、女性アスリートの競技力向上や高齢男性の加齢による筋肉 減少(サルコペニア)に深刻な悪影響をもたらす。これまで申請者らは、骨格筋適応に性差が生じる原因の解明に取り組み、雌性ラットでは単回のレジスタンス運動や筋萎縮に対して骨格筋量を負に調節する因子の活性化が生じやすいという証拠を得たが、制御メカニズムの特定には至らなかった。本研究は、これまでの研究の成果を踏まえ、骨格筋適応の性差を調節する分子として、アンジオテンシンII 1型受容体の働きに着目し、性差を生み出す根本的な原因の解明を目指す。
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研究実績の概要 |
当該年度は、AT1Rの阻害剤であるロサルタンおよび組換え型アデノ随伴ウイルスベクターによる遺伝子導入法を用いて、AT1Rの阻害あるいは発現制御が筋萎縮過程における活性酸素種産生やタンパク質分解系のシグナル伝達の活性化に与える影響について、遺伝子・タンパクレベルで検討した。実験1:若齢のWistar系雄性・雌性ラットをプラセボ群およびロサルタン投与群に分け、7日間の尾部懸垂により筋萎縮を誘導した。ロサルタンは尾部懸垂開始直後に腹腔内(20 mg/kg)へ投与し、その後は実験終了まで自由飲水(0.3g/L)により摂取させた。尾部懸垂前、1日後および7日後に抗重力筋であるヒラメ筋を摘出した。その結果、尾部懸垂7日後の相対筋重量および筋線維横断面積は雄雌ともに低下したが、ロサルタン投与は雌ラットでのみ軽減効果を示した。また、雌ラットでは、尾部懸垂1日後にSmad2 /3のリン酸化状態によって評価されるCanonical TGF-βシグナル伝達経路の活性化が認められたが、ロサルタン投与群の雌ラットでは有意に低下した。実験2:若齢のWistar系雄性・雌性ラットを用いて、片脚のヒラメ筋に生理食塩水で希釈したAT1受容体ショートヘアピンRNAを注入することでAT1受容体遺伝子発現を低下させる処置を行った後、4週間の回復期間を設けて7日間の尾部懸垂により筋萎縮を誘導した。また、反対脚には生理食塩水のみを注入し、コントロールとした。尾部懸垂前、尾部懸垂1日後および7日後にAAV脚および対照脚からそれぞれヒラメ筋を摘出し、分析を行った。その結果、雌性ラットではAT1受容体の発現低下による筋萎縮の軽減が認められることを明らかにした。引き続き解析を行い、AT1受容体を介した性別特異的な筋萎縮抑制メカニズムについて明らかにする予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、筋萎縮過程におけるAT1R発現量の性差を明らかにするために、AT1Rの阻害あるいは発現制御が筋萎縮過程における活性酸素種産生やタンパク質分解系のシグナル伝達の活性化に与える影響について検討を行った。当該年度に実施すべき実験は計画どおりに進行しており、AT1R抗体の特異性を確認した上でタンパクレベルの解析を追加するのみである。AT1R阻害剤投与の実験については、筋萎縮からの回復に与える影響も検討できており、その点については計画以上の進展が達成できた。これらのことから、本年度の実施計画についてはおおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、AT1R抗体の特異性を確認するとともに、組織学的なAT1R発現量の定量を行うことで、解析を進めていく予定である。また、サルコペニアモデルにおける、AT1Rの性別特異的な変化に対するAT1Rの発現制御影響や生じる変化のメカニズムについて明らかにする。さらに、筋生検により得られたヒト骨格筋におけるAT1R発現量の性差やAT1R発現の変化を調節する機構における性差について、環境要因による遺伝子発現調節筋機構の違い(マイクロRNA、ヒストン修飾等)に着目して詳細な検討を行う予定である。
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