研究課題/領域番号 |
23K20375
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補助金の研究課題番号 |
20H04149 (2020-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2020-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分60030:統計科学関連
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研究機関 | 統計数理研究所 |
研究代表者 |
鎌谷 研吾 統計数理研究所, 統計基盤数理研究系, 教授 (00569767)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
11,050千円 (直接経費: 8,500千円、間接経費: 2,550千円)
2024年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | Markov chain / Monte Carlo / Bayesian statistics / Stochastic processes / Hamiltonian / Bayesian Statistics / Scalability / ベイズ統計学 / モンテカルロ法 / マルコフ連鎖 / 確率過程 / ハミルトニアン / Discretisation / Stochastic Process / Bayesian inference / Stochastic process |
研究開始時の研究の概要 |
ベイズ統計学は,統一的な考え方が特徴である.すべての不確実性を,事後分布と呼ばれる確率分布を通して解釈する.解釈する際には積分計算が必要だから,ベイズ統計学において数値計算は不可欠である.数値計算可能な問題がすなわち,ベイズ統計学で扱える問題ということである.計算近似問題は,興味のある確率分布に対応する,ハミルトニアンと呼ばれる関数をうまく捉えることに集約される.多くの従来研究では,その近似を試みていた.本研究はそうしたアプローチとは異なる.おおざっぱな「近似」をあえてつかうことで,返って数値計算のパフォーマンスが良くなることがある.「おおざっぱ」をうまく利用するのが本研究である.
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研究実績の概要 |
ベイズ計算手法の革新を目指し、柔軟な疑似ハミルトニアンを用いた研究を進展させている。研究初年度および二年度は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により従来の形態での研究交流が阻まれたが、本年度はようやく海外を含む出張が可能となり、情報収集および研究交流が再開された。
本年度の研究では、区分的確定的マルコフ過程(Piecewise Deterministic Markov Process, PDMP)の解析に特に注力した。PDMPを用いたモンテカルロ法、すなわちマルコフ過程モンテカルロ法は、近年ベイズ統計学において注目を集めている。この方法の大きな特徴は、データを誤差なく分割して解析できる点にあり、従来のマルコフ連鎖モンテカルロ法(MCMC)と比較して計算負荷の軽減が期待される。歴史も浅く、理論的にも技術的にもまだまだわからないことが多い。
本年度に柔軟な疑似ハミルトニアンを用いた新しい手法を提案し、その解析を行った。アルゴリズムのデザインは概ね完成しており、エルゴード性をはじめとする理論的な発展を目指している。新手法は直感的には従来手法を凌駕することが自然に感じられるデザインである。実際のパフォーマンスは期待を下回り、理論的証明も従来の対称なマルコフ連鎖に基づく手法ほど順調には進展しなかった。パフォーマンスの問題については、直感に反する結果が得られたことが興味深いものの、その非効率性は技術的な問題に起因すると推察される。すなわち、新しいアルゴリズムに対する効果的なプログラミング実装が未だ不十分であることが一因と考えられる。また、理論的証明の遅れについては、従来とは異なる技術的不足があり、さらなる情報収集および研究交流によってこれらの問題を解決する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度に柔軟な疑似ハミルトニアンを用いた新しい手法を提案し、その解析を行ったが、実際のパフォーマンスは想定通りではなく、理論的証明も従来の対称なマルコフ連鎖に基づく手法ほど順調には進展しなかった。前者、後者の問題点ともに改善するアイデアはあるが、年内には完成をすることはできなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究においては、提案手法のパフォーマンス向上および理論的証明の確立に注力し、一層の発展を目指す計画である。特にパフォーマンス向上に関しては、研究協力者を加えることを検討している。これにより、柔軟な疑似ハミルトニアンを用いる新手法の有効性を実証し、ベイズ計算における革新を達成することを目指している。今後の研究活動においては、さらなる情報収集と国際的な研究交流を推進し、研究の質と成果を一層高めていく。
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