研究課題/領域番号 |
23K20420
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補助金の研究課題番号 |
21H00472 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01020:中国哲学、印度哲学および仏教学関連
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研究機関 | 京都先端科学大学 (2023-2024) 武蔵野大学 (2021-2022) |
研究代表者 |
丸井 浩 京都先端科学大学, 総合研究所, 特任教授 (30229603)
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研究分担者 |
岩崎 陽一 名古屋大学, 人文学研究科, 准教授 (40616546)
桂 紹隆 龍谷大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (50097903)
藤井 隆道 京都女子大学, 現代社会学部, 教授 (50783479)
稲見 正浩 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (70201936)
加藤 隆宏 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 准教授 (80637934)
川村 悠人 広島大学, 人間社会科学研究科(文), 准教授 (50739068)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
13,260千円 (直接経費: 10,200千円、間接経費: 3,060千円)
2024年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2023年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2022年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2021年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
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キーワード | インド哲学諸派 / 無の存在論 / 非存在の認識論 / 2種の否定機能 / 無と解脱論 / 無の認識論 / 二種の否定 / 無明と因果性 / ニヤーヤ・ヴァイシェーシカ / ミーマーンサー / 中論 / 仏教論理学派 / 文法学派 / 無の認識手段 / 言語情報認識分析論 / ダルマキールティ / 2種の否定 / インド哲学 / 無 / 否定辞 / 因果性 / 認識論・論理学 |
研究開始時の研究の概要 |
無ないし否定の概念は、古来インド思想においては非常に発達し、矛盾律では説明し得ない特殊な否定概念や、二項対立の超越を指向した絶対無などに関心が注がれてきたが、これとは別に矛盾律に反しない否定概念を前提とする論理学的議論も多元的実在論の思想体系では認められる。また無が因果的効力を持ちうるか否かも重要な論争点となった。そのほか認識論の文脈やテキスト解釈における否定辞の意味分析においても無の概念は非常に重要な役割を果たしている。しかし総合的、思想史的あるいは比較思想的研究視点はこれまで乏しかった。研究領域が異なる第一線の研究者の組織的な4年間の共同研究によって画期的な知見を拓くことを目指す。
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研究実績の概要 |
古来インドでは「無/否定」に関する哲学的思索が非常に発達し、ウパニシャッド成立以降、仏教を含む哲学諸学派の発展とともに、存在論・因果論、認識論・ 論理学、言語哲学・聖典解釈学、および解脱論という4領域と絡みつつ多様な展開を遂げた形跡がある。にもかかわらず、こうした「無」の思想の全体像を視野に収めた総合的研究は皆無に近かった。そこで本研究では、多元論を代表するニヤーヤ、ヴァイシェーシカ学派(丸井、岩﨑)、一元論を代表するヴェー ダーンタ哲学(加藤)、否定辞の機能分析に関わる言語哲学(文法学、ミーマーンサー学派:藤井)及びインド仏教哲学(桂、稲見)の第一線の専門家が、研究協力者11名と共に、上述の4領域のいずれかに該当する5企画を4年間推進し、テキスト実証的な個別研究と学派横断的・比較思想的な共同研究を通じて、インド哲学における「無」の思想の諸相に関する総合的知見の開拓を目指す。 2年目の本年度は、個別研究も共同研究も初年度の継承・発展を図ることに加えて、共同研究成果の発表に関して、一つは2023年度におけるパネル発表企画の策定、もう一つは最終年度における記念論文集刊行計画の具体化を行った。また「無・否定」をめぐるインド哲学の議論を、一般読者向けに解説する啓蒙書の出版企画が本格化した。さらに本年度から新たに3名の研究協力者が加わり、古ニヤーヤ学派の解脱観(室屋安孝)、アビダルマ仏教の無概念(横山剛)、及び仏教の無概念の比較哲学的考察(護山真也)を視座とした共同研究の進展が図られた。全体研究会を4回開催し(8月、10月、12月、3月)、延べ14名の本科研メンバーが研究発表を行った。特に集中研究会をハイブリッド形式で開催し(3月、松江)、ほぼ全員が参加し、活発な討論を交わすことができた。主な研究成果は、論文16件、学会発表8件(国際学会3件)、図書1件であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、主にインド哲学諸派の思想体系の違いに立脚して分類した4つの研究班(多元論哲学班/一元論哲学班/言語哲学・聖典解釈学班/仏教哲学班)を共同研究推進の基本単位に据え、そこに学派横断的な4つの思想領域(存在論・因果論/認識論・論理学/言語哲学/解脱論)を共通の分野課題として設定して、テキスト実証的な個別研究と、学派横断的、比較思想的な共同研究を有機的に組み合わせた5つの研究企画が軸となって展開するプロジェクトである。 2年目にあたる本年度も、初年度にスタートした共同研究運営体制を維持し、インド哲学専攻の若手研究者を事務補佐員に雇用した。また年に4回の合同研究会を実施して、合計で延べ14名、13件の研究発表を行い、かつ活発な討論を行った。特に「無・非存在の認識手段をめぐる議論の考察」(企画1(2)、企画3(2)、企画5(1))はニヤーヤ学派(丸井)、新ニヤーヤ学派(和田)、ミーマーンサー学派クマーリラ派(稲見、丸井)、ミーマーンサー学派プラバーカラ派(藤井)、仏教論理学派(稲見)それぞれのテキスト実証的な分析を踏まえつつ、学派横断的かつ思想史的な考察が進展する可能性が見えてきた。また室屋・横山両氏が研究協力者として加わり、それぞれ「ニヤーヤ学派の解脱観と無」ないし「アビダルマ仏教における涅槃観と無」というトピックをテーマ化したことは、学派横断領域Dの 解脱論と無という視点からの共同研究の発展が期待される状況となった。そのほか文法学の否定辞論と二種の否定、およびヴァイシェーシカの四種の無概念についても研究の進展が図られた。2023年度のパネル発表企画および研究論文集の出版計画の策定も予定通り進んだ。 ただし一元論哲学における無概念の考察(企画2)など、一部、研究が立ち遅れているところがあり、後半の2年間でその遅延をカバーする必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
すでに確立した研究組織(分担者5名、協力者11名)、4つの研究班(1. 多元論、2. 一元論、3. 文法学・解釈学、4. 仏教)、および学派横断的な4つの共通領域(A. 存在論、B. 認識論・論理学、C. 言語哲学、D. 解脱論)を、2023年度以降も堅持する。他方、これらを有機的に組み合わせた研究企画A, B, C, D, Eは一部縮小する一方、「非存在の認識手段」「二種の否定概念とその適用」「無の存在論・因果論と解脱論」を今後の共同研究の重点課題とする。オンラインによる合同研究会(4回程度)と年度末の集中合同研究会(松江、2泊3日)を今年度も行う。 特記すべき点は、2023年9月の日本印度学仏教学会学術大会でパネル発表「インド哲学における「無」をめぐる議論の諸相」を行う。丸井・和田・稲見・川村の4名が発表し、桂が司会とコメンテーターを務める。本パネルによって、ヴァイシェーシカの〈四種の無〉に代表される存在論的な無概念が新ニヤーヤの時代には大きく変容する点や、無の認識手段をめぐってニヤーヤ学派、仏教論理学派、ミーマーンサー学派(クマーリラ派とプラバーカラ派)の間で繰り広げられた哲学論争の論点と展開内容が明らかとなり、文法学の〈二種の否定〉概念との関連も明確になるだろう。 仏教を含めたインド哲学諸派の「無/否定」をめぐる議論の諸相に関する本科研(企画1,2,3,4,5)の学術成果は、適宜、各人が国内外での学術大会等で口頭発表し、学術雑誌等に論文発表していくが、それとは別に特別論文集として公刊する。そのための企画編集委員会を6月に立ち上げ、具体的な出版計画の詳細を詰める予定である。またこれとは別に非専門家に向けての啓蒙書の出版も行う。目下、素案の段階であるが、丸井と桂によってさらに具体的な出版内容、方針、執筆者を確定して、2023年6月には執筆依頼を行う方針である。
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