研究課題/領域番号 |
23K20426
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補助金の研究課題番号 |
21H00479 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01040:思想史関連
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
小嶋 茂稔 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (20312720)
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研究分担者 |
黒川 みどり 静岡大学, 教育学部, 名誉教授 (60283321)
田澤 晴子 岐阜大学, 教育学部, 教授 (40737160)
山田 智 静岡大学, 教育学部, 准教授 (90625211)
廣木 尚 大正大学, 文学部, 専任講師 (00756356)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
15,080千円 (直接経費: 11,600千円、間接経費: 3,480千円)
2025年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2024年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2021年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
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キーワード | アジア認識 / 中国認識 / 戦後歴史学 / 石母田正 / 戦後思想 / アジア主義 / 国民的歴史学運動 / 民族 / 竹内好 |
研究開始時の研究の概要 |
第二次世界大戦終結後1950年代にかけての中華人民共和国の成立やアジア諸国の独立などに伴い、わが国の中国やアジアに対する認識は大きく変化した。本研究は、このアジア認識の変化が、戦後思想の中核に位置づく研究者―例えば日本政治思想史の丸山眞男や日本史学研究者である石母田正など―の思想形成に与えた影響を明らかにし、アジア認識の変遷を軸に新たな戦後思想史を紡ぎ出すことを目的とする。その際、特に、中華人民共和国や朝鮮戦争からの直接の影響を受けての1949年前後の変化、戦後に刷新されたアジアを対象とする言説や研究の影響を受けての変化に注目することとしたい。
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研究実績の概要 |
2022年度においても、前年度に引き続き、歴史学の分野から戦後思想の一翼を担った存在である石母田正の作品の精読を進めてきた。まず、2021年度中には検討を終えることが出来なかった『続 歴史と民族の発見』の残りを読み進めたところである。その結果、1950年代前半の講和問題をめぐる様々な運動に取り組みながら、石母田がマルクス主義歴史学者の立場から、社会との関わり、なかでも1949年に建国された中華人民共和国のあり方を同時代の日本と引き比べつつ自らの思想を錬磨した過程を明らかにすることができた。 『続 歴史と民族の発見』の検討を終えたのちは、1970年代に編纂された石母田の論文集『戦後歴史学の思想』に収録された論文の検討を進めた。『戦後歴史学の思想』には、戦前からの石母田の論考のうち、日本古代史・中世史の歴史学的な専門的成果を除く、方法論に関わる論考等が収録されており、それだけに石母田の歴史研究のバックボーンに存在する思想性を、より詳細に窺いしることができた。なかでも、1950年代前半の国民的歴史学運動を石母田自らが振り返る論考や、マルクス主義歴史学の方法論に関わっての石母田の独自の解釈を行おうとしている部分など、1950年代後半から1960年代にかけての石母田の思想的な深まりを読み取ることができた。 『戦後歴史学の思想』の検討を終えたのち、石母田史学の結晶とも言うべき、『日本の古代国家』の検討に着手することができている。 あわせて、最終年度における研究成果のとりまとめを意識しつつ、石母田正を中心に戦後思想のあり方を論じる論文集の作成についても、検討にはいっているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度は、新型コロナウィルス感染症の流行状況を睨みながら、対面形式による月例の研究会の比重をたかめながら研究活動を進め、石母田の重要な論考の検討を進めることができている。 また、本研究計画の最終的な成果として、石母田正を分析の中心において戦後思想を論じていくという方向性を確認することも出来、研究代表者・研究分担者・研究協力者それぞれにどのような課題に取り組んでいくかについても相互に認識を共有できるところまで達している。現時点では、研究代表者の小嶋は「1950年代の石母田正と国民的歴史学運動」について、研究分担者の黒川みどりは、「「国家史研究」と「日本の人民の解放」、山田智は、「歴史学と文学作品―石母田における文学作品研究とアジア主義」、田澤晴子は「石母田正と竹内好―戦後歴史学と「アジア主義」」、廣木尚は、「石母田正の史学史認識」について、また研究協力者の姜海守は、「戦後における石母田正の他者認識・朝鮮認識」について、それぞれ課題として取り組んでゆくこととなり、相互に検討を始めているところである。 以上のような理由から、現時点では、おおむね順調に進展していると判断することができる。
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今後の研究の推進方策 |
ひきつづき、石母田正を分析の中心に据え、月例の研究会活動を研究活動の中心に据えて研究を進めていくこととしたい。新型コロナウィルス感染症の流行もおおむね収束したとみられることから、研究会活動は対面で実施することとし、また、必要に応じて、研究活動推進のための合宿形式の研究会の開催や、石母田に関する資料調査なども積極的に進めていきたい。 研究代表者・研究分担者・研究協力者のそれぞれが、研究成果のとりまとめに際して検討する課題もおおむね固まりつつあることから、2023年度にあたっては、それぞれの研究成果のとりまとめの方向性について、仔細に検討する場を設けつつ研究活動を進めていきたい。 また、戦後思想の一角に石母田正を位置付ける研究を先行して進めてきている磯前順一氏の研究成果が今夏に刊行されるという情報を得たので、刊行された際には検討を行っていくこととしたい。
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