研究課題/領域番号 |
23K20438
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補助金の研究課題番号 |
21H00494 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01070:芸術実践論関連
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
三船 温尚 富山大学, 芸術文化学部, 客員教授 (20181969)
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研究分担者 |
三宮 千佳 富山大学, 学術研究部芸術文化学系, 准教授 (10454125)
廣川 守 公益財団法人泉屋博古館, 学芸課(本館), 館長 (30565586)
高浜 秀 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 学芸研究部, 客員研究員 (60000353)
長柄 毅一 富山大学, 学術研究部芸術文化学系, 教授 (60443420)
村田 聡 富山大学, 学術研究部芸術文化学系, 教授 (70219921)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2025年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2024年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2023年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2022年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
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キーワード | 3D計測 / 古代青銅器 / 常温固体油脂 / ポリゴンデータ解析 / 鋳造技術 / 3D計測 / 古代青銅器技術 / ポリゴンデータ / 技法解析図 / 技術変遷 / 液化消失 / 燃焼焼失 / 微細文様形状 / 高精細3D計測調査 / ポリゴンデータ解析ソフト / 消失原型材料 / 青銅器全形形状 / 抜け勾配 / ロウ型鋳造法 / 3Dスキャニング調査 / 成分分析 / 鋳造シミュレーション / ポリゴンデータ加工検査 / 抜け勾配検査 / 断面図検査 / 寸法検査 / 凹線の縁返り / 3Dスキャニング / 液化消失原型 / 燃焼消失原型 / 鋳造実験 |
研究開始時の研究の概要 |
青銅器は表面の緻密な緑青錆が内部を守り、数千年前の遺物の形が正確に読み取れる。そういった遺物は多くない。そのために各地の青銅器の技術研究は、その伝播ルートなどの研究にとって重要な遺物である。しかし、鋳造技術は漆器や陶器のように素材の形を完成まで通して加工する技法ではなく、原型から反転する鋳型をつくり、その時点で不要になった原型を工程から捨てる。鋳型に青銅を流し込めば、鋳型は不要になってこれを壊して製品を取り出す。こういった製品の技術研究は目視観察では結論に至ることが難しい。そのために、高精度、高精細の3D計測データを解析して科学的に検証する必要がある。本研究は新たな手法で技法の具体を解明する。
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研究実績の概要 |
古代から各地で青銅器はつくられ、その技法は近世まで大きな変化はなかった。近代になり、工業製品としての量産が始まり、古代の陶製鋳型から樹脂などで砂を固める新素材の鋳型などが登場したが、鋳造の原理は古代のままであった。高度に進んだ現代の鋳造の技術者の知識で古代の鋳造技術を解明することは容易に思えるが、長年の研究によっても未解明の問題が山積する。限られた材料で複雑精緻な紋様や形状を鋳造するために、現代の鋳造の常識を超えた工夫があったのだが、その全貌は未だに見えていない。 鋳造技術は西から東へ変遷したと考えられているが、そのルート上の変遷もよくわかっていない。中央アジア、東アジアの青銅器のなかには、消失材、焼失材を用いて原型をつくったのではないかと思える青銅製品も多くある。消失原型の代表的なものが常温固体油脂のロウ原型であり、温めて自在に変形し複雑な形状をつくって土で包んで加熱すれば、ロウは液化して鋳型から抜け出て空洞をつくる。その空洞に青銅を流し込めば、簡単に複雑形状の青銅器ができる。これが一般的に知られるロウ型鋳造法であるが、ロウの他の使用方法も用いたのではないかと思われる青銅器もある。 青銅器形状からロウなどを含めた原型の材質を解明する研究で重要な点は、科学的に青銅器形状を示して、それを共有して議論することである。本研究で2023年度に研究発表した内容、あるいは2023年度に投稿して査読を通過して刊行が2024年度にずれ込んだ内容は、全て青銅器を高精度、高精細の計測器で3D計測したポリゴンデータをソフトで解析して考察したものである。客観的で科学的なポリゴンデータ解析によって、古代青銅器の詳細な技術と変遷が解明できる入り口に立ったと言える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実際の青銅器調査で、アジアの鋳造製品にロウなどの消失原型を使用した形状痕跡を確認し、3D計測によってポリゴンデータを入手できるかが成果をあげるための第一歩である。ポリゴンデータは調査時のその場の観察記録ではなく、長時間をかけて解析、検討が可能で客観的である。そして、研究代表者は専用ソフトでポリゴンデータ解析をはじめて10年が経過し調査精度が向上したことと、3D計測で有用なポリゴンデータが入手できていることから、これまでの技術史研究では解明できなかった様々な事象に新視点の研究提案が可能になっている。古代中国籍銅器の考古学研究者、中国北方系青銅器の考古学研究者、中央アジア青銅器の考古学研究者などとの共同研究で幅広い青銅器を調査できたことが、より確実な成果に結びついている。重要な点として、ポリゴンデータで青銅器の形状を正確に微細に把握しても、鋳造技術の経験が無ければ、古代鋳造技術の解明には至らない。本研究代表者は美術大学で古代鋳型と同類の伝統的な陶製鋳型で鋳造作品を制作してきた。その経験を基に30年間古代技術研究を進めてきた蓄積が、本研究の土台となっている。これらの点から、当初よりおおむね順調に進展しているが、計画以上に進展している部分も少なからずある。
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今後の研究の推進方策 |
3D計測のポリゴンデータは、個々の青銅器の技術研究に有効であることは、これまでの研究で明らかである。ほかには同地域、同時代の同種類の青銅器の形状に規格性があるのか、あるいは、その規格が時代、地域で変化していくのかなど、3Dデータ解析の件数を増やしていけば、やがて解明できるはずである。そのためには、計測データのシェアが重要である。こういう体制が構築できれば、古代からの青銅器研究は大きく発展する。土中にあっても古代の形状を大きく損なわず維持できる青銅の特性と、古代社会の中心でつくられてきた青銅器の特徴から、青銅器技術史研究は古代からの長期間の歴史研究にも貢献できると考えている。今後も、これまで同様に個々の青銅器技術解明を進めながら、周辺研究への展開を視野に取り組む。
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