研究課題/領域番号 |
23K20446
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補助金の研究課題番号 |
21H00507 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
神楽岡 幼子 愛媛大学, 法文学部, 教授 (00277807)
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研究分担者 |
黒石 陽子 東京学芸大学, 教育学部, 名誉教授 (40247268)
野口 隆 大阪学院大学, 経済学部, 教授 (50288742)
赤間 亮 立命館大学, 文学部, 教授 (70212412)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
13,650千円 (直接経費: 10,500千円、間接経費: 3,150千円)
2025年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2024年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2021年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 歌舞伎 / 役者評判記 / 安永天明寛政享和 / 劇評 / 安永天明寛政 |
研究開始時の研究の概要 |
安永~享和期役者評判記の特徴としては、役者評判記出版の中心的書肆である八文字屋版の役者評判記の諸本異同が多岐にわたること、先行出版物からの本文流用、板木利用等が散見されること等、八文字屋の役者評判記作成の現場に大きな変化が生じていることが指摘され、この出版状況の実態を解明することが必要となっている。また、八文字屋以外の書肆による出版が活発化し、ことに、江戸の興行のみを対象にした、江戸の書肆、本屋清七による版行が継続していることも注目されるが、八文字屋版以外の役者評判記の出版についての分析は未着手になっている。そこで、本研究では出版物として見た役者評判記を切り口に、役者評判記の問題を検証する。
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研究実績の概要 |
本研究では役者評判記出版の中心的書肆である八文字屋の役者評判記作成現場に生じた変化、八文字屋以外の書肆による出版の活発化等、役者評判記の出版に関する問題を抽出し、それら見過ごされてきた役者評判記の出版に関わる諸問題を検証し、出版書肆によって公刊された演劇資料としての特徴を提示する。また、本文テキストから的確に情報を引き出すためのシステムを構築しつつ、役者評判記の情報活用のあり方を提示するための役者評判記総合情報アーカイブの完成を目指す。 本研究で大きな課題となるのは①役者評判記の諸本の調査・研究、②役者評判記総合情報アーカイブの構築、③役者評判記の出版に関する諸問題の解明の3点である。 令和3年度は、①については『歌舞伎評判記集成 第三期 第六巻』(2023年2月刊行予定)収載の天明7年~寛政3年(1787-1791)に刊行の役者評判記を中心に諸本調査を進め、異同状況を分析した。また、先行出版物からの本文流用、板木利用の実態を検証した。 ②については、1)新出の役者評判記原本(立命館大学アート・リサーチセンター所蔵ほか)を含めた「役者評判記閲覧DB」の一般公開を開始した。2)構築したテキストアノテーションシステムを使い、人名・演目名情報抽出を実施、演劇用語についても抽出作業を進めている。3)『歌舞伎評判記集成』第一期、第二期の電子テキストを検索システムに登載し検索可能とした。第三期についても準備を進めている。4)上記全体のシステムのポータルとVirtual Institute「役者評判記デジタル研究所」については公開準備を進めている。 3、については、京都の書肆、八文字屋八左衛門による役者評判記の展開および江戸の書肆、本屋清七による江戸版役者評判記の問題を中心に具体例を収集し、出版をめぐる諸問題について検討を重ねている。地方版役者評判記等についても事例収集につとめている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究課題①役者評判記の諸本の調査・研究については、安永2年(1773)から天明6年(1786)までに作成された役者評判記については『歌舞伎評判記集成 第三期』(2022年2月現在、第5巻まで既刊)として、諸本調査による異同状況および先行出版物からの本文流用、板木利用の実態の検証結果をまとめている。 研究課題②役者評判記総合情報アーカイブの構築については、演劇用語のテキストアノテーションと、第三期電子テキストの検索システム実装が遅れているが、研究ポータルとなる「役者評判記デジタル研究所」の一般公開を準備中である。また、予定よりやや遅れているものの、演劇用語についても作業を進めている。 研究課題③役者評判記の出版に関する諸問題の解明については、1)八文字屋版役者評判記の出版に関する諸問題の解明、2)江戸版役者評判記の出版に関する諸問題の解明、3)地方版役者評判記の作成に関する諸問題の解明の3点について検証するための情報の整理を行っている。1)の八文字屋版および2)の江戸版については、研究課題①の成果を踏まえ、検証を進めており、各書肆の出版実態が明らかになりつつある。3)地方版については残存数が少ないため、検討すべき事例の収集を継続している段階である。
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今後の研究の推進方策 |
研究課題①役者評判記の諸本の調査・研究については、引き続き諸本調査による異同状況および先行出版物からの本文流用、板木利用の実態の検証を行う。調査・検証の結果は、『歌舞伎評判記集成 第三期』第7巻~第10巻、補遺巻にまとめる予定である。 研究課題②役者評判記総合情報アーカイブの構築については、テキスト検索システムへの実装はほぼ完成しており、これと連動する研究ポータルについては、令和5年度前半には公開できるよう作業を進めている。演劇用語の抽出については遅れがあるが、次年度、これを挽回するよう計画している。 研究課題③役者評判記の出版に関する諸問題の解明については、京都の書肆、八文字屋による役者評判記の展開および江戸の書肆、本屋清七ほか各書肆の出版実態および出版をめぐる諸問題について検討・分析を継続する。
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